【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『ヘイトフル・エイト』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『ヘイトフル・エイト』
原題:THE HATEFUL EIGHT
2015年 アメリカ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演者:サミュエル・L・ジャクソン カート・ラッセル ジェニファー・ジェイソン・リー ウォルトン・ゴギンズ デミアン・ビチル ティム・ロス マイケル・マドセン ブルース・ダーン チャニング・テイタム

 おススメ度★★★☆☆(3/5

 タランティーノが好きな人には脳汁垂れ幕りの傑作!絶賛★5ですが、一般的なおススメ度としては★3くらい?ちなみに、公式発表のあらすじや予告編は完全に詐称。けっして「密室ミステリー」などではないし「犯人は誰だ?」なんて話でもありません。ジェニファー・ジェイソン・リーとカート・ラッセルのコンビが最高に笑えます。ほとんどコント

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◆目次

 

あらすじ(ネタバレなし)

 黒人の賞金稼ぎ・マーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、凍った死体みっつをカネに変えるため、レッドロックという町に向かっていたが、吹雪で動けなくなる。そこに通りかかった駅馬車に乗っていたのは、同じく賞金稼ぎで「首吊り人」と呼ばれるジョン・ルース(カート・ラッセル)と、絞首刑にされるべくジョンに護送されている囚人女・デイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)。さらに新任保安官だというクリス(ウォルトン・ゴギンズ)も相乗りとなり、吹雪から一時避難すべく「ミニーの紳士服飾店」に向かう。

 そこでは、店主のミニーの代わりに男数人が留守番
をしていた。絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)元将軍サンディ(ブルース・ダーン)母とクリスマスを過ごしたいカウボーイ・ジョー(マイケル・マドセン)ら。

南と北、黒と白、一触即発の対立状況がテンコ盛り。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 やがて言い争いから殺しが起きる。さらに、何者かがコーヒーポットに毒を入れ、ジョン・ルースを含む数人が死ぬ。「誰が毒を入れたか」の猜疑心が高まり、争いはさらに激化。

 床の下には、囚人デイジーの弟・ジョディが隠れていた。
実は、オズワルドら4人は弟の仲間で、絞首刑にされるデイジーを救い出すために集まった仲間だった。昼間のうちにミニーたちを皆殺しにして待ち伏せしていたのだ。その素性は、それぞれに賞金がかけられたワルたち。
  床下からジョディがマーキスを撃つ。アッという間の銃撃戦で全員が瀕死の傷を負う。

 最後の取引が始まる。デイジーはクリスに「その黒人を撃て。そうすれば全員の賞金が手に入る。私はメキシコに逃げる。」と取引を持ち掛ける。しかし、クリスは取引に応ず、デイジーを殺そうとするところで、マーキスが待ったをかける。

 マーキスの提案は「ジョン・ルースは良い奴だった。彼の望みは、この女を絞首刑にすることだった。俺たちの手で叶えてやろう。」ということ。

 差別主義者だった白人クリスと黒人マーキスが手を組み、悪い女・デイジーを首吊りの刑に処す。

 

つまりこんな映画(語りポイント)

 基本ポイント。

人種や男女間の「差別」「偏見」をこれでもかと見せられる。
・予告編や公開されているあらすじには相当偽りあり。「閉じ込められた空間でのサスペンス」でもなければ「犯人は誰だ?」に焦点を置くミステリーでもまったくない。いつものタランティーノらしい「ちょっと哲学チックな要素を適当に入れて、あとは殺し合うバイオレンス」である。
・悪者にみえたジョン・ルースが実は一番マトモで良い奴である。
ラストは「白人と黒人が手を取り合う」。ここは真面目なのか皮肉なのかさえ良くわからない。
美術が素晴らしい。ミニーの店のセットがすごくいい。
・デイジーが最高にイカレてて面白すぎる(個人の感想)
とにかくタランティーノ好きにはたまらない傑作。逆に、興味のない人には後味悪い。

 この映画に関しては、タランティーノが実に様々なオマージュやトリビアを仕込んだこともあり、語るべきポイントは、すでに散々語られています。あらためて書くことはあまりない。そこで、なるべく他の方とは違う、独自の(と思われる)語りポイントはないか?と考えました。そこで

「8人の悪党」といいながら「9人」いる件。

(さらにネタバレで10人目が登場しますが。)

 これもネット上の他の方のレビューでは「誰々はサブの役だからメインは8人」とか「ひとり(ジョン・ルース?将軍?)が悪人ではないから数に入っていない。」等の解釈を拝見しましたが、そこで僕なりの解釈を…。


  「みんな、自分の事は決して悪だと思っていない」という意味ではないでしょうか。
 あるいは、悪という自覚はあるとしても、自分にとって自分は特にヘイトフルではないから数に入らない。
 9人いる。つまり、それぞれの登場人物の目線から見ると「8人のウザい奴らがいる状況」という意味。割と的を得た解釈ではないかと思いますが…

 きっと実のところは「タランティーノ自身がそこまで深く考えていない」が、真実に最も近いような気もします。 わざとちょっとしたイレギュラーを入れ込んで、観る人の解釈を楽しんでいる悪戯映画小僧タラちゃんの顔が思い浮かびます。

 それにしても、登場するなりすでに片目に青タンを作っている囚人女・デイジーが、個人的にツボに入りすぎて、ずっと笑っていました。ジョン・ルースとのコンビはほとんどコント。リアクション芸人かと思いました。良い味出してます。

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 それにしても、45万ドルもするアンティーク・ギターを誤って壊してしまったエピソードと、その時のジェニファー・ジェイソン・リーの役柄から完全に外れたリアクション(素でビックリしている)は笑えます。ユーチューブで「ヘイトフルエイト ギター」などと検索してご覧ください。