基本データ・おススメ度
『避暑地で魔が差して』
2015年、フランス
監督:ジャン・フランソワ・リシェ
出演:ヴァンサン・カッセル、フランソワ・クリュゼ、ローラ・ル・ラン、アリス・イザース
おススメ度★★★☆☆(3/5)
中年男性の親友コンビが、娘たちの奔放さに振り回されるコメディ。避暑地、イケメンおやじ、若い女の子の裸…見どころ満載。「融通の利かないオトナ」と「柔軟なコドモ」の対比が面白い。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
コルシカ島での休暇にそれぞれの娘を連れていく中年男性の親友コンビ。ロラン(ヴァンサン・カッセル)とアントワーヌ(フランソワ・クリュゼ)。
ロランと娘のマリ。アントワーヌと娘のルナ。二組の親子で避暑地に行く。
ルナがロランを誘惑する。「ありえない」と拒絶するロランだが、それでも言い寄るルナの押しに負けて浜辺で(友達の娘と)ヤッてしまう。
翌日、真っ先に気づいたのはマリ(ロランの娘)。さすが女の勘。かたやアントワーヌはまったくきづかない。
すっかりロランを好きになってしまっているルナは「愛してる」と迫るが、ロランは、アントワーヌに知られたら大変だとばかり、「あれは間違いだ。魔が差しただけだ。」と必死に逃げまわる。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
ルナは辛い想いから父のアントワーヌに事実を話そうとするが、どこまでも鈍感なアントワーヌに呆れて途中で喧嘩になり、結果的に「好きな人ができた。お父さんと同じくらいの歳の人」という情報だけで話は終わる。
そこから「誰だ、俺の娘に手を出した奴は!許さん」と、相手をつきとめようとする。みつけたら殺してしまいそうな勢いにビビりながら、引き続きなんとかこまかそうとするロラン。
娘のマリからも「娘の親友と寝る最低中年」などと罵られたロランは、ついにアントワーヌに真実を告げ、殴られまくる。
ルナはマリに「ロランは悪くない。あたしが悪い。ごめん。」と謝り、二人でどこかに出かけていく。
娘ふたりが帰ってこない夜、荷物をまとめるロラン。ただ呆然と考え込んでいるアントワーヌ。深刻なおとなふたり。
翌朝、若い男友達に送られて笑いながら朝帰りするマリとルナ。
深刻な表情の父親ふたりに対して、まるで何事もなかったかのように「どうしたの?」というマリ。アントワーヌの「なんでもない。帰りを待ってたんだ。」のセリフと、ロランに笑いかけるルナの顔で映画は終わる。
つまりこんな映画(語りポイント)
ヴァンサン・カッセルはイタリアの至宝モニカ・ベルッチの旦那さんだった人。昔からセクシーですが中年になってもまだまだイケる。中年側がヴァンサン・カッセルだけに17歳の娘と間違いを起こしてしまっても、納得できるし絵的にも見ていられる。
フランソワ・クリュゼは「最強のふたり」の好演が記憶に新しい。
コメディ・タッチを狙っているのか、ところどころ笑わせようとする部分があるが、そこがまったく笑えない。それはもしかしたら日本人の感覚…つい、娘を親友にヤラれてしまった父親の気持ちをマジメに考えてしまうから、シャレにならない、笑えない、のかも知れません。
とはいえ、コメディではなくシリアス作なんだと思えば充分に面白い映画ですし、語りポイントもあります。
17歳のルナは、浜辺で全裸になってオジサン・カッセルに迫るし、惜し気もなくオパーイを見せまくるし、サービス・カット多し。
全編それなりに楽しんで観れると思います。
最後…おやじたちにとっては切ない終わり方になりますけども…
すべてがバレた後、すっかり深刻になっている大人二人に対し、娘同士ちは一言「ごめんね」なんて謝っただけでアッという間に仲直りして夜遊びにでかける。
半面、親父たちはすっかりブルーになって落ち込んでいる…なんて構図なのですが…
大抵のことは時間が解決してくれる…少々シビアな出来事が起ころうがなにしようが、17才の娘ふたりには、この先「忘れるための時間」がたっぷりとある。
かたや50前の中年ふたり…「忘れるための時間さえ、さほど残されていない」
その対比を描いていると思えば、ちょっぴり味わい深い視線で観れる。
※ちなみに、これ書いてる筆者はこの映画のオヤジたちよりさらに年上ジジイです。
世の中年の皆様に自戒と反省と哀しさを味わってもらうための映画か。
最後の、娘ふたりのあっけらかんとした顔を見ると「ロランは、アントワーヌに真実を告げなくても済んだんじゃないか?」と思えるところは「ミスト」と同じ「やっちゃった感(やらないでも済んだんじゃないの感)」の虚しさを狙っているのか?
あとは、こんな映画、日本の俳優で作ってもきっと見てられない。
こんな設定でもかっこいいフランス男。うらやましい。