【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『アノマリサ』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『アノマリサ』
2015年 アメリカ
監督:デューク・ジョンソン チャーリー・カウフマン
出演者:デビット・シューリス(声)、ジェニファー・ジェイソン・リー(声)、トム・ヌーナン

 おススメ度 ★★☆☆☆(2/5)

 全編、CGなし、ミニチュア人形をコマ撮りしたストップモーションアニメ。1コマずつ、人形やミリ単位で作られた小道具を動かしながら撮る技法は、実写なら一週間で全編撮り終える内容の映画に丸二年かかったとのこと。そんな途方もない労力を使って「傲慢な中年男の悲哀と末路を必要以上にリアルに描いた救いようのない話を作る」…なんて「アタマおかしい」以外の誉め言葉が出てこない(褒めてます)。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 作家でもあり企業アドバイザーのマイケルには、変な病気があった。

「すべての人の顔と声が同じに見える(聞こえる)」病気。

ある日、講演をするためシンシナティーを訪れたマイケルは、そこで「周りと違う声と顔の」リサという女性に出会う。長い間、すべての人間の顔声が同じだったマイケルにとって、彼女は「天使」に見えた。

 マイケルにとって、いつからか、自分以外のすべての人が、同じ顔、同じ声になっていた。著書の講演会の仕事で訪れた街。タクシーの運転手もホテルのフロントマンも街行く人々も、全員が同じ顔、同じ声をしている。

 性別に関係なく決まって野太い男の声。ホテルの部屋から自宅に電話をかける。妻も子供も同じ声に聞こえる。癒されるはずもない。部屋に氷を用意し一人で晩酌を始めるが、どうにも寂しい。
 この街には、十年前に「ひどい振り方をした元カノ」が暮らしている。電話帳から番号が調べ、誘いの電話をかけるマイケル。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 元カノとバーで待ち合わせる。しかし、全員が同じ顔に見え同じ声に聞こえる彼にとって、女性に気の利いたセリフを言うことすら困難な作業だった。ふとしたことで彼女を怒らせてしまう。元カノはお酒一杯で席を立ち10ドル札をテーブルに叩き付けて帰ってしまった。

 とぼとぼとホテルに戻る道すがらのアダルトショップで、日本製のダッチワイフを買うマイケル。
  部屋で就寝の準備をしていると、廊下から女の声が聞こえる。女の声!ひさしぶりに聞く女性の声だった。あわてて服を着て廊下に飛び出した。必死に走り回り、声の主、リサをみつけた。この世にひとりの女神をみつけたマイケルは、リサの友達をほぼ無視して、リサだけを自分の部屋に誘う。

 幸い、自分のファンで明日の後援会を聞きに来たというリサを、口説き、セックスをするマイケル。リサは自分の容姿に自信がない奥手の女性だったが、マイケルの強い押しに負けて、気持ちとカラダを許していく。
 翌朝、プロポーズをするマイケル。妻とは別れて君と一緒にいたいという。リサも戸惑いながらも喜ぶ。

 しかし、リサが食事中にフォークをカチカチ噛む癖が勘に障る。口の中に食べ物を入れたまましゃべる仕草が許せなくなったマイケルは口頭で注意をする。リサ自身も悪い癖だと自覚して反省をする。
 次の瞬間、女神のはずだったリサの声は、聞きなれた、みんなと同じ、あの忌々しい男の声に変わっていった。 
 失望のまま、出張を終え、自宅に戻ってきたマイケル。相変わらず、みんな同じ顔をしている。アダルトショップで買った日本製人形が機械的に歌う日本の童謡の声だけが、女性の声をしていた。

つまりこんな映画(語りポイント)

  題名は「他とは違う特別な女(リサ)」という意味の劇中の造語。
 全編、CGなし、ミニチュア人形をコマ撮りしたストップモーションアニメ。

 監督が「マルコビッチの穴」の脚本家チャーリー・カウフマンだと聞いたら、アタマおかしい系の映画であるとの想像はつく。そして、期待通りにアタマおかしい。

 もちろん褒めてます。だって、1コマずつ、人形やミリ単位で作られた小道具を動かしながら撮る技法は、実写なら一週間で全編撮り終える内容の映画に丸二年かかったとのこと。そんな途方もない労力を使って、傲慢な中年男の悲哀と末路を必要以上にリアルに描いた救いようのない話を作る…なんて「アタマおかしい」以外の誉め言葉が出てこないじゃないですか。

  声優が3人しかいません。だって、マイケルとリサ以外は全員「同じ声」だから。

トム・ムーナンという人が、たくさんの人の声をやっています。大変そう。

 リサの声を演じるのは、ジェニファー・ジェイソン・リー。「ヘイトフル・エイト」でかっとんだお芝居を見せてくれたベテラン女優さんです。劇中、シンディ・ローパーの"Girls Just Wanna Have Fun"を歌ってくれますが、味があって素晴らしいです。

さて、この映画の最大のテーマでもあり、物語の問題点は「傲慢」 

 主人公・マイケルが、そんな病気にかかったことも、また、今回、リサを手放してしまったことも、すべては「本人の傲慢さ」が原因。

 「傲慢の罪」は、誰もがふとした瞬間に犯してしまいがちな怖さがある。

表面的に偉そうにしているから傲慢、と思うのは間違いで、表向きの態度や言葉づかいはまったく関係ない。傲慢とはもっと根底の部分…ココロの問題。

 人は、言葉で会話をしているようで、実はココロで会話をしている。相手のココロを読みとらなければ、何を聞いても理解できないのは当たり前のこと。逆に、ココロが読めた時は、耳で聞いた言葉と正反対の本音さえ聞こえる。ココロを解放しなければ、何を言っても伝わらないのは当然。上辺だけの言葉が届かないのも当たり前。

 いろんな意味で、ココロを鍛えること。かも知れませんね。