基本データ・おススメ度
『ネオン・デーモン』
原題:The Neon Demon
2016年 フランス、デンマーク、アメリカ
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:エル・ファニング、カール・グルスマン、ジェナ・マローン、ベラ・ヒースコート、アビー・リー、デズモンド・ハリントン、クリスティーナ・ヘンドリックス、キアヌ・リーブス
おススメ度☆☆☆☆☆(0/5)
作ったひとのマスターベーションでしかない。これをお金払って見せられる観客の身にもなってください、お願いします。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
ロサンゼルス。18歳のジェシーはモデルを目指して田舎から出てきた女の子。
控室で先輩モデルと話すジェシー。モデルたちは「整形しないの?」「誰かと寝た?」と、売れるための当然の会話をする。意味がわからないジェシー。面接をした女性は彼女の美しさを認める。芸能事務所と契約をかわし宣材写真を撮る。
ジェシーはモーテルに滞在しているが、部屋が何者かに荒らされていて昔からの彼氏らしきディーンと一緒に見に行く。管理人の男(キアヌ・リーブス)が「弁償しろよ」と怒る。部屋をあけたらヤマネコがいた。
有名なカメラマンのスタジオ。カメラマンはジェシーを観て撮影意欲がわいたのか、他のスタッフをシャットアウトし、ジェシーを裸にして金粉を塗り、写真を撮る。
スタジオの外で、メイクのルビーと話す。カメラマンは手が早いから注意しろと助言。ジェシーは「私、ヤワじゃないから」と答える。ルビーは自分の名刺を渡し、何かあれば連絡してきてと言う。
ルビーはレストランで先輩モデル二人に、ジェシーが撮影をしたという話をする。あの子が売れてしまうのでは?私たちの仕事がなくなるのでは?と不安になる二人。
以降、トントン拍子に売れていくジェシーと、妬む先輩モデルたち。
▼▼以下ネタバレ▼▼
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ネタバレあらすじ
下着姿でのオーディション。ジェシーは合格。不合格だった先輩モデルはトイレの鏡を割って当たり散らす。驚いて様子を見に行ったジェシーが「あなたよかった」とフォローするが「私は幽霊同然なの」と自虐する。そして、ガラスの破片で手を切って流れ出したジェシーの手をとると、その血を舐めた。驚いて逃げるジェシー。
ディーンがモーテルの管理人の元に「弁償の件で来た」と言うが、キアヌリーブスは「ヤマネコを追い出すのに大変だった」と、えらく怒っている。
ディーンとレストランへ行くと、業界の男と先輩モデルたちがいた。整形の是非などを話す話題に参加させられたディーンは、ジェシーに「帰ろう。」というが、ジェシーは「帰れば?」と言う。ひとりで出ていくディーン。
ジェシーがモーテルに戻るとディーンが「あれはなんだ?ああいう世界がお前の憧れか?」と聞く。部屋で寝たジェシーは、管理人キアヌリーブスが侵入してきて口にナイフを差し込まれる夢を見る。さらに誰かがドアをガタガタ開けようとする。そして隣の部屋から、少女が誰かに襲われている声を聞く。怖くなったジェシーはルビーに電話をしてモーテルを飛び出す。
ルビーの家に行くジェシー。ずっといていいと言われる。ルビーは優しくしてくれたが、実は同性愛者だった。「私、処女なの」とうちあけるジェシーに「あなたの最初になりたい」と強引に押し倒す。ジェシーはルビーを突き飛ばす。ルビーは自室に戻り、怖い顔で、鏡に変な絵を落書きする。
ルビーは、華やかなファッション業界だけでなく、亡くなった人の死化粧をする仕事もしていた。若い女性の遺体を裸にし身体をなぞりながら、恍惚な表情をしているジェシーを想像していた。遺体にキスをし、その上で自慰をするルビー。
「私は自分で美しいと知っている。みんな私になりがたる。顔を削って、私の二流版でもいいいからなりたがる。」と言うジェシー。
ルビーと先輩モデルたちが三人でナイフを持って襲ってきた。刺されるジェシー。血が流れていく。全身血だらけになったルビーと先輩モデル2人がシャワーを浴びている。上半身裸にペイントをしたルビーが庭に水を撒いている。庭に寝転がっている。
数日後。撮影現場にいるモデルたち。若いモデルが雑談の中で「若いコに仕事をとられたことは?」と聞かれ「あるわ」と答える。「それでどうしたの?」「食べた」。
ジェシーを食べたからなのか、カメラマンに「前にどこかで会ったか?」と聞かれる、そして、若いモデルはその場で首にされ、先輩モデルたちが採用される。
プールサイトでの撮影。具合が悪くなる先輩モデル。トイレへ行ってなにか吐き出そうとしている。もうひとりが様子を見に行くと。彼女はジェシーの目玉を吐き出した。
さらに「彼女を出さなきゃマズイ」と言うと自分の腹にナイフを突き刺して死んでしまった。
もうひとりの女は、その目玉を手に取ると、食べる。
つまりこういう映画(語りポイント)
モデル業界の闇を言いたいのか、偽りの美しさの下にある醜さを言いたいのか、あるいは「整形」に対してのアンチテーゼなのかも知れないけども、いずれにしても「だから?」という感想になる。芸能界が決してキレイなだけの世界じゃないことは今どき子供でも知っていて…特に、比較的、女性の間では一段と妬みや嫉みが凄そうなことも容易に想像がつくわけで。今さら感が拭えない。
どうせなら、フィクションでもいいから「え~そんな裏があったの?」という設定でもあるほうが映画として面白い。
一歩譲って、そこを描くのは良いとしても、描き方があまりにもマスターベーション。
後半の、遺体の上での自慰や、ジェシーを食べる…なんて表現に、さほどの意味もなければ芸術性もなく、ただ趣味が悪いだけに思える。
映画という媒体は、さまざまなジャンルの人が、さまざまな使い方をするモノだと思っています。だから「こういうのが映画、これは映画じゃない」なんてことを言うつもりはないけども…。好みの問題を差し引いても、とにかくすべてが面白くないのだからどうしようもない。
ネットで、映画のプロモ―ションで来日した時の監督のドヤ顔を目にしましたが、ドヤ顔されても…って感じです。
そもそも、主人公は「誰もが羨む美貌」ではないとこの物語は成立しない。エル・ファニングが可愛くないと言っているのではない。エル・ファニングは美貌の持主です。ただ、この物語の設定を成立させるには、例えばもっとエキゾチックな顔の女優さんとか、まるで彫刻のような顔をした女優さんとか。誰もが驚く風貌じゃないと追いつかないでしょう。ただ普通に可愛い女優じゃ弱い。
比喩表現はいろいろ出てきますが、さすがにわかりにくい。伝わらなくてもいいというレベルでやるのもアリはアリだけども、それをお金払って見せられる観客の身にもなってください、お願いします。