【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『ウェディング・テーブル』を語れるようになるネタバレあらすじ

f:id:kyojikamui:20180212203318j:plain

基本データ・おススメ度

『ウェディング・テーブル』
原題:Table 19
2017年 アメリカ
監督:ジェフリー・ブリッツ
出演:アナ・ケンドリック、リサ・クドロウ、クレイグ・ロビンソン、トニー・レヴォロリ、スティーヴン・マーチャント、ワイヤット・ラッセル
 おススメ度★★★★☆(4/5)
 結婚式の末席「19番テーブル」に集められた「来ても来なくてもどっちでもいい招待客」たちのお話。アイデア絶品なハートウォーミング恋愛コメディ。アナ・ケンドリックの魅力全開。恋愛したくなること必至。ぜひカップルでどうぞ。なかなかに深い「恋愛語録」「結婚観」もちらほら出てきます。

<広告>

 

◆目次

 

あらすじ(ネタバレなし)

 結婚式の末席、19番テーブルに座った見知らぬ6人。
 
 エロイーズ(アナ・ケンドリック)は、新婦の友人。実は当初の予定ではベストマン(立ち合い人)の予定だったが、つきあっていた新婦の兄・テディにフラれたため末席にいる。招待状をもらった時も悩みに悩んだが、出席することに。式場でテディに会い「どうして来た?」と言われる始末。

 あまり仲が良さそうにない夫婦、ビーナーとジェリーは、事あるごとに皮肉を言いあっている。

 新婦兄弟の最初の乳母だったというおばあちゃん、ナニー。新婦たちとは長い間会ってもいない。

 やたら母親と電話しては妙な会話をしている男の子ヘンゾは「新郎の父の友人の息子」。どうやら母親から彼女をみつけるよう常にハッパをかけられているのだが、あきらかに母の教育がおかしくて「結婚式で酔っぱらってる女の子はチャンスよ。行ってきなさい。」と言われて来た。席に夫婦がいると電話すると、母は「スワッピング趣味があるかも知れないからチャンスよ」と言われてる。

 ウィルターは一応、新郎側の親族だったが、叔父である新婦の父親からお金を盗んだ罪で服役していて今は更生施設にいる。みんなに職を聞かれ「成功している実業家」と嘘をつく。「なにで成功してるの?」と言われても答えられない。

 式の席次を一緒に決めたというエロイーズが他のメンバーに説明する。「この席は『お祝いだけ送って欠席するべき人たち』の席なの。私たちは、資金集めの帳尻合わせで招待状を送られてただけの「来ても来なくてもどうでも良い客」よ。」

 どうでもいい招待客として「19番テーブル」に集められた人たちのお話。

=以下ネタバレ==

<広告>

 

ネタバレあらすじ

 エロイーズは、廊下で見知らぬ男、ハックにナンパされるが、その男は式に招待されていない男だった。適当に会話しているとどこかに行ってしまう。テディの今の彼女にも皮肉を言われる。

 好みのアジア系女性をみつけたヘンゾは、勇気を出してダンスの誘いに行くが、父親と本人に思い切り断られる。

 トイレで新婦の母親に話しかけてもロクに覚えられていないナニーおばぁちゃん。
 叔父のグループの会話に入ろうとして変な顔で観られるウォルター。

 またナンパ男・ハックと会い、ダンスをするエロイーズ。周りにけしかけられてキスをする。それを遠くから見て複雑な表情のテディ。
   
 直後に挨拶に立ったテディは、エロイーズに見せつけるように、壇上で今の彼女と思い切りキスをする。それをみて吐き気をもよおすエロイーズ。トイレに逃げる。

 「あれは妊娠よ」とナニーが追いかける。確かに、エロイーズは妊娠していた。テディの子だった。ナニーは「妊娠を伝えたらメールでフラれた」ことに怒り「テディは小さい頃から薄情な子だった。私があげた金の鳥のおもちゃもすぐにどこかにやってしまって…」と言う。全員が様子を見に来る。「いいから、みんな早く女子トイレから出ましょう」とエロイーズ。

 廊下に出た6人の前にテディが来る。6人がかりで「ひどい男」と責める。エロイーズに「誤解だ」と言い返すが、エロイーズも言い返す。

 謝ってケーキにぶつかってしまい全身ケーキだらけになった6人は、一旦、自分の部屋に着替えに戻る。エレベーターの中で、ウォルターが「嘘をついていた。成功してる実業家なんて嘘。本当は服役してた。」とカミングアウト。ジョーが「最低のテーブルね」と言う。

 部屋に戻って泣き崩れるエロイーズ。

 それぞれ部屋で普段着に着替えた6人は、ナニーの誘いで「葉っぱを吸いに」ナニーの部屋に集まる。見得を捨てて本音で会話する。楽しくなってくる。ウォルターは刑務所内での面白話。ビ―ナは夫とのセックスの話。6人は笑いあう。

 テーブルから全員が消えても、誰にも気づかれない19番テーブル。それもまた笑い話にする。さらに、若い頃の夢の話。

 庭に散歩に出る。

 またビーナとケンカしたジェリーは、ヘンゾに「本能に従え」とアドバイス。式場に戻ったヘンゾは、ジェリーが見守る中、もう一度、アジア女性にプロポーズに行くが「僕のペニスは大きい」とアピールして大失敗。「言葉を考えたほうがいい」というジェリー。

 ナニーはエロイーズに「いっそ新しい出会いよ。あのダンスを踊ったカレを探すのよ」とけしかける。エロイーズがハックを探しに行くと、ハックは隣の部屋で別の結婚式をしている最中の新郎だった。「なるほどね」とシラケる。

  式の終わりごろ、ようやく新郎新婦が19番テーブルに挨拶にくる。しかし、挨拶はあきらかに形式で、新郎新婦はすぐに行ってしまう。しかし、そこで、テディが、ナニーがあげた金の鳥をどこかにやってしまったのは、失くした姉(新婦)に、代わりに自分の金の鳥をあげたのだとわかる。

 同じ頃、テディは廊下でエロイーズを呼び止め「もう会いたくない男だろうけど。俺は、もし認めてくれるなら、最高の父親になる」と言う。

 ナニーがエロイーズの元に走る。「テディは優しい子だったの。」みんながエロイーズを応援する。全員で、新郎新婦を見送る船着き場に走る。テディは、立会人として一緒に船に乗っていた。横には今の彼女。

 船に向かって「あなたは最低だったけど、私はもっと最低だった」と叫ぶ。それをイチイチ茶かす今の彼女だが「赤ちゃん」と聞いて驚く。エロイーズはさらに「あなた以外に失望されたくない!あなた以外を失望させたくない!」と叫ぶ。必死の叫びはテディに響いたのか

 夫婦は、妻ビーナの不倫を軸にまだ喧嘩しているが、エロイーズを見て「あなたはみんなの前でああやって叫べる?」と聞く。「俺は結婚当初から変わってない。おかしなことを言うな」「みんなロクデナシだけど生きていかなきゃいけない。その中で愛してくれる人を探すの。それが人生」というビーナ。ジェリーは「愛の90パーセントは現場に来ることだ。俺はお前の前に来たぞ」とつぶやく。部屋に戻り、何年振りかにキスをする二人。

 誰もいない式場に戻る6人。19番テーブルに集まり、食べていなかった食事に手をつけていると、そこに走ってきたらしき汗まみれのテディが来る。「聞こえなかった。さっき、なんて言った?」とエロイーズに聞く。何を言ってるのかわからない会話をしながらも、キスをするテディとエロイーズ。

 バンドの演奏が始まる。踊る6人+テディ。式のかたづけが行われている中、踊りは続く。楽しそうな19番テーブルの面々。

 それぞれの場所に戻った6人。

 ウォルターは同居の男に「家族がいたのか」と冷やかされ嬉しそう。ヘンゾには彼女ができた。夫婦は仲良く食事、足元にはおばあちゃんが飼っていた犬を引き取っている。テディとエロイーズには、赤ちゃんが産まれていた。

つまりこういう映画(語りポイント)

 アナ・ケンドリック。飛びぬけた美人でもない。でも、服装や雰囲気が「こういう子、いるいる」と思える女優さん。身長が低くてかわいいから日本受けもするのでしょう。序盤の「ふてくされたコメディ芝居」がめっちゃウマい。「モテない女子」の演技が絶妙なのです。いえ、実際はめっちゃ可愛いのでしょうけど、半分はスか。

 結婚式で、どうでもいい人たちが集められる「19番テーブル」に目をつけたアイデアに拍手。ただ、どうでもいいというのは、この場合「新郎新婦とその家族にとって」という意味であり、彼らが、人生でどうでもいい人たちでは決してない。

 でも、人間は置かれた環境の中の評価に敏感で、傷つき、一喜一憂する。そんな枠組みを外せば、なんら恥じることない人間であるにも関わらず、枠の中の評価にこだわる。そんな構図のバカバカしさまで、作り手が計算していたかどうかは知りませんが、計算していたなら巧いと思います。計算外なら副産物ということになるけど、いずれにしろ、映画の題材として秀逸なアイデア。

 「そんな小さい世界での評価にイチイチ傷つくな」ということだ。

 それぞれの結婚観、人生観を語るセリフがいくつか出てくる。アネケンが叫ぶ「あなた以外を失望させたくない。あなた以外に失望したくない。」これは、結婚するということはお互いに失望しあうことも当然ある。それも受け入れるのが結婚、という意味。「みんなロクデナシだけど生きていかなきゃいけない。その中で愛してくれる人を探すの」とか愛の90パーセントは(なにはともあれ)一緒にいること」とか、脚本家が大人の感覚を持っているのがわかる、割と熟練された恋愛観、結婚観が多いと感じた。僕のようなオヤジにも響きます。

 例えば夫婦のネタでも、妻の不倫に絡めた、やや複雑な設定にしていて、誰でも理解できるハートウォーミングには留まらない深みもある。恋活中の男の子にしても、あきらかに曲がった教育がされているとか、キャラクター設定でひねりを加えている。

 ラストの後日談に、おばあちゃんが出てこなくて、飼っていた犬を夫婦が引き取っている…。そのあたり、必要以上に説明せず、さらっと見せるセンスは良い。それでも設定は充分にわかるので。

 結婚式に出席したら恋をしたくなるというけど、この映画もまさにそれ。めっちゃ恋したくなる。そんな暖かいお話。

 ただ一点、例によって邦題への文句。「TABLE 19」があまりに秀逸な題名だけに「ウエディング・テーブル」にしちゃったのは本当にもったいない。「テーブル19」あるいは「「19番テーブルの客」なんてことで良かった。

 

▼アナケン、もういっちょ。