映画『LOOP/ループ -時に囚われた男-』
劇中のループ解析です。
▼通常の「ネタバレあらすじ&レビュー」はこちら。
以下、映画を未見の方にはサッパリわからないと思います。また、映画を観た方でも、読むだけではワケわからないと思います。フローチャート図にでもすればもう少しわかりやすいのでしょうが。すいません、そこまでする映画では…(略)。
ご興味のある方は、映画を観直しながら確認してください。
そして、以下は、あくまで個人の推理です。間違いも多々あるでしょうが、何卒、ご容赦のほど、よろしくお願いします。
★ポイント
・アンナの蘇生を基点に「5つの時間軸」「5人のアンナ」が存在。
・時間軸をまたいで「3人のアダム」が登場。ちなみにアダム3は、アダム1と2から記憶を継承している。
時間軸に関しては、アダムではなく、劇中何度も殺されるアンナの蘇生タイミングに依存しています。アンナは死んでしまうのでループを意識することはありません。なぜかアダムが一緒にループしてしまうことと、映画がアダム目線であることが、この映画をややこしくしています。
どこで生き返ったか(時間が戻ったか)が明確ではないから混乱するのです。一か所だけ、あきらかにアダム(と観客)が、時間逆行を感じるシーンがありますが。
そこに気づいたアダム1がアダム2に「あの女が原因だ。」と言ったのだと見ています。
では、映画冒頭から順を追って列記します。
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赤文字=重要項目
青文字=矛盾。不明な部分
◆アンナ1(時間軸1)
【アダム1】
手の甲に「∞」マークのあるアダム1。
「ホームレスにパンをあげる」
※無限大マークは、映画のラストシーンでアダム3にアンナ5が書いたもの。
「アダム帰宅」
「アンナに妊娠を聞かされ中絶を薦める」
「金を受け取り逃げる準備。メッセージを録画する」
「チケットがない。部屋を飛び出す」
「街中でアンナとぶつかる」
「生きてたの?」※死んだのはアダム0。
「飛行機のチケットは?」
「アンナ、車にひかれる」※アンナ1死亡
「現場で男に膝蹴りで怪我させる」
「トラックの荷台に飛び乗る」
「病院へいく」
「怪我させた男を見かけ、階下に飛び降りる」
「父が留守電を入れていたところへ(ひとりで)登場」
「車のキーを貸してもらえない」
「喫煙所で父と会い、やはり貸してくれることに。」
「父の車で出発。ガソリン少ない。」
「路肩に車をとめて徒歩で移動」
「現場でテープを拾う」
◆アンナ2(時間軸2)
【引き続きアダム1】
「自室に戻ってビデオ再生」
「映像と、現在の行動がシンクロ」
「自分が殺される場面を確認」
「デシューがアンナを連れて押し入ってくる」
「デシューに殺される」※アダム1死亡
「アンナ逃げる。デシュー追いかける。」
【アダム2】
「街中でアンナとぶつかる」
「生きてたの?」※死んだのはアダム1。
「飛行機のチケットは?」
※アダム1の記憶はない。
「さっきと一緒だ…。」
※突如、アダム1と記憶がリンクする。
が、その後にアンナがひかれることはなぜか知らない。
「アンナ、車にひかれる」※アンナ2死亡
「さっきと同じじゃマズい」
⇒「すぐに逃げない」「男に膝蹴りをしない」
「トラックの荷台のアダム1を確認。」
※それがアダム1であることもわかっている(記憶にある)。
★以降、アダム2はアダム1の記憶も継承している。
【アダム2新行動】
※アダム1にはなかった行動。
「洗車しているデシューを襲う」
「死んだはずだろ?」※死んだのはアダム1。
「デシューを殺す」
「クスリの入ったバッグは置きっぱなしで逃げる」
◆アンナ3(時間軸3)
「病院の駐車場へ行くが、クルマのキーが開いていない。」
※父に車の使用許可をとったのはアダム1であり、アダム2はまだ父に会っていないはず。
=これもアダム2がアダム1の記憶を継承している証拠。
「病院内に入る。」
※アダム2は、男に蹴りを入れていないので怪我をした男とは出会わない。
「留守電を入れているアンナに会う」
「屋上にいってキスをする。」
「アンナ去る。」
「非常階段、湿ったハンカチと女性の靴をみかける」
「用務員に『あんたの彼女をデシューが外に連れて行った』と聞かされる。」
「駐車場、クルマがない。すでにアダム1が出発している」
「現場に行くと、路肩にガス欠の車が停めてある。」
「アパートの廊下。デシュー、アンナ、アダム1がやりあっている」
「隠れる。猫を抱く。」
「アンナ逃げる。デシュー追いかける。」
「浴槽へ行く。アダム1と会う。」
「アダム1『女のせいだ。女を捨てて逃げろ』」
アダム1絶命
◆アンナ4(時間軸4)
アダムが顔を洗っていると、いきなり時間が変わる。
浴槽からアダム1の死体がなくなる。
アンナ3の死の描写はないが、時間軸があきらかに変わっている。「アンナの蘇生を起点にループしている」という仮説に基づいて、アンナも4に更新されていると考えます。
【アダム3】
※記憶はアダム1・2を継承
「バイクで現場へ急ぐ。」
「デシューの車に併走して話しかける。」
「道では、アンナ4とアダム2が口論をしている」
「アンナひかれる」アンナ4死亡
「隠れて、階段の上から状況を観察」
「2人のアダムを確認」
※道に、男を蹴っていないアダム2
、トラックの荷台の上にアダム1。三人のアダムが共存。
「アダム2は逃げていった。」
「死んだアンナを見て、道に出ていく」
「捕まりそうになり、男を蹴る。」
※アダム2は男を蹴らなかったが、アダム3はアダム1同様に蹴った。
「洗車場へいく」
「アダム2とデシューが格闘中、助手席で見ている。」
「デシュー、アダム2に殺される」
【アダム3新行動】
「薬のカバンを持ち出す。」
※アダム2は、置きっぱなしで去った。
「アダム2を尾行」
◆アンナ5(時間軸5)
「(アダム2を尾行して)病院へ行く。」
「アダム2が怪我した男たちとすれ違いそうになり、階下に飛び降りている。」※アダム2は怪我をさせなかったが、さっき、アダム3が膝蹴りを入れたために怪我をした男が存在する。アダム3の行動によりアダム2の歴史が変わった?
「電話ボックスでアンナ5と会う。」
※留守電を入れる前に声をかける、留守電メッセージ存在しなくなる。
「父が留守電を入れている。そこに登場するアダム3とアンナ5」
「父に犯罪のことを話す。」
「アンナ5に二つに破った写真の片方を渡す。」
「エレベーターでデシューを気絶させる」
「地下室に運ぶ。idカードを奪う。」
「監視室で、外を歩いているアダム2(あるいは1)を発見。」
「デシュー、自力で地下室から上にあがり、アンナ5をさらう。」
「非常階段、湿ったハンカチと女性の靴をみかける」
「用務員に『あんたの彼女をデシューが外に連れて行った』と聞かされる。」
「どうして?」
※「どうして、同じ流れになっちゃうんだ?」という意味。
「駐車場へいく。」
「ガラスを割って車に乗り込む。」
「駐車場のスロープの上では、父と話しているアダム1(※下記)」
「車を借りる許可をもらって居りてきたアダム1」
※アダム2は父のところへ行っていない。車のキーにまつわる病室から喫煙所での父との絡みがあるのはアダム1である。
「アダム1を一瞥して走り出す。」
「ガス欠の車を途中から手で押し別の場所に止める。」
「現場でテープを拾う」
「自宅に戻る。」
「留守番電話2件を聞かずに消去」
※アンナ5は留守電を入れていないのになぜ2件?
「レッカー車を呼ぶ。(デシューの乗る車をなくすためか)」
「デシューが押し入ってくる」
「デシューに殺される」※アダム3死亡…に見せかける。
「アンナ5逃げる。デシュー追いかける。」
※この時、廊下にはアダム2が隠れている。
「浴槽の中でアダム2を待つ」
「アダム2が来る。」
「アダム2を殺し、浴槽に入れる。」
「現場へ急ぐ。」
「アンナとぶつかった…のは別の男」
【ループ脱出?】
アダム1、どこ行った?と思ったら…、
◆エピローグ
電車の中
「破った写真を確認。お互いがアダム3とアンナ5であることを確認して安心する」
「アンナ5が、アダム3の手に無限大マークを書く」
「プロローグでアダム1がパンをあげたホームレスを見掛ける」
「別のシートにアダム1がいる」(と思われる)
【ループ継続】
以上となります。
【矛盾する部分についての解釈】
そもそも、劇中で判別できる「アダム1」「アダム2」「アダム3」…等は、映画を観る限りで判別しているに過ぎず、ずっと無限ループが続いているとすれば「何番目のアダムか」を特定するのは困難です。
アダムの行動によって過去が変わっているところもあり、矛盾に見えるのは、あくまで「描かれている事象しか知らない」観客が矛盾と感じるに過ぎず、それをもって、脚本上の不備と言いたいわけでは決してなく、作品を批判する意図は一切ありません。
以上、解釈間違いもきっとあるでしょうが、寛大な心でお許しください。少しでも、映画を楽しむためのお手伝いができれば幸いです。
▼3分で映画『LOOP/ループ -時に囚われた男 -』を語れるようになるネタバレあらすじ