【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『LOOP/ループ -時に囚われた男-』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『LOOP/ループ -時に囚われた男-』
原題:Hurok
英題:Loop
2016年 ハンガリー
監督:イシュティ・マダラース
出演:ディーネシュ・サーラズ、ドリナ・マルティノヴィチ、ジョルト・アンゲル
 おススメ度★★☆☆☆(2/5)
 タイムループ物は、映画というよりアトラクションに近い。そう割り切って「わけわからなさ」を楽しむのが正解。ネタもオチも、過去のループ物を超えてはいないですが、このタイプが好きな人なら普通に楽しめます。ただ、かなりややこしい。ややこしくなってる原因を探りたくなり、今回は通常レビューに加えて【ループ解析】をしてみました。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 プロローグは電車の中。アダムは物乞いをするホームレスにパンをあげる。別の席に移動してパンを食べるホームレス。アダムの手の甲にはナジックペンで無限大マーク(∞)が書いてある。

 アダムは薬の密売人。ただ、次の仕事を最後にボスのデシューを裏切り、彼女のアンナと共に遠くに逃げようとしていた、しかし、アンナが妊娠が発覚。思いっきり中絶を薦めるクズなアダム。アダムの父は産婦人科医で、父の元へ行って中絶手術をするように指示する。

 デシューから金とブツを受け取ったアダムは、自室でアンナ向けのビデオメッセージを録画する。このまま金とブツを持ってトンズラし、どこかでアンナと合流するつもりだった。部屋を出ようとするが、飛行機のチケットがないことに気付く。アンナが持って行ってしまったと考えたアダムは部屋を飛び出す。

 街中でアンナと出くわし「チケットどこだよ」と言うが、アンナの様子がおかしい。「あなた、どうして生きているの?さっき殺されたのに?」「このビデオテープが証拠よ。」

 死んだと思っていたアダムが生きていたことに喜ぶアンナだが、アダムはクズだ。アンナと口論しさっさと逃げようとする。チケットを渡そうとして道に飛び出したアンナが車にひかれて死んでしまう。手にしていたビデオテープは路上に落ちた。周囲にいた人たちから「この人が口論していた。怪しい」と詰め寄られ、「関係ない、知らない人だ」とトラックの荷台に隠れて逃げてしまうクズ。

 父親の元(病院)へ行く。父に車を借り現場に戻ると、路上のビデオテープを拾ってアパートに戻る。ビデオを再生すると、やがて、現在の部屋の中の状況と録画映像がシンクロしていることに気付き「?」となる。早送りしてみると、デシューがアンナ(生きている!)を連れて部屋に押し入ってきて、自分を殺すシーンが映し出される。

 わけわからなくなるアダムだが、その後、ビデオに写っていた通りに、デシューがアンナを拘束しつつ部屋に押し入ってきて、アダムに銃を突き付けた。裏切る算段がバレたのだ。アダムはデシューに撃たれて殺される。

 ビデオテープを持ち出して外に逃げるアンナ。追いかけるデシュー。アンナは街中でアダムとぶつかる。アダムは「チケットどこだよ。」と言う。アンナは「あなた、生きてたの?さっき殺されたのに。」……。

 以降、同じ流れが何度も繰り返され、どうやらタイムループに入り込んだと悟ったアダムは、なんとかしてアンナの事故を防ごうと奔走する。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 アダムは、当初、アンナに中絶を迫っていたが、何度も同じ時間をループするうちに、アンナの自分への想いの強さや父親の気持ちを知り、徐々に改心していく。

 途中、浴槽で死にかけている自分に「あの女のせいだ。あの女を捨てて逃げろ。」と忠告される。アンナがなにか鍵を握っているのか?

 アダムは、父親に自分がやってきた悪事を告白、これっきりにすると約束する。写真をふたつに破り、アンナに片方の切れ端を渡す。「次に会った時に僕がこれを持っていれば、君はもう安心だということだ。」と言うと、ひとりで自宅アパートへ行く。

 また同じ流れで殺されるのだが、今回は左胸に防弾用の板を入れていた。浴槽に入れられたアダムの元に別のアダムがやってくる。アダムは別のアダムに「俺たちは同じ人間だ。ただひとつだけ違うことがある。アンナを大事に思っているかどうかだ。」と言うと、別のアダムに襲い掛かり殺し、自分の代わりに浴槽に入れる。

 その後、アンナが街中でぶつかった相手は…、今までのようにアダムではなく別の男性に変わっていた。アダムは(以前の)自分を殺すことでループを止めたのだった。
 
 アンナの交通事故も回避され、幸せそうな二人。

 電車の中でいちゃつく二人。アンナはアダムの手の甲にマジックペンで
無限大マーク(∞)を書く。「二人の仲が永遠でありますように。」との願いを込めて。

 そのとき、アダムは、映画の冒頭でパンをあげたホームレスをみかける。悪い予感。おそるおそる少し先のシートのほうに顔を向けるアダム。

 アダムの視線の先には冒頭のアダムがいるのか?ループがまだ終わっていないことを示唆して…エンドタイトル。

 

つまりこういう映画(語りポイント)

 ループの謎に関しては、別途「ループ解析」をしてみました(下記)。

 まずは感想を…。

 それにしても、タイムループ物って、何故、どれもこれも似たようなものになるのか。判で押したように「殺された自分」「死んでしまう家族」を救うために、過去を変えるために主人公が奔走するのが定番。

 その答えはきっと「観客が求めているから」だろう。 

 タイプループをひとつの要素としつつ拡げていけば、もうちょっと深いテーマの映画を作ることも、やろうと思えばできるはず。でも、それをしないのは、意図的に「同じものを作ろうとしている」としか思えない。

 つまり、タイムループのネタ合戦。大喜利みたいなもの。

 そこから生まれるテーマも、どうしたって「後悔先に立たず。後悔しないように、普段から周りに気を配って、愛する人を大切に、生きていかなきゃね。」に落ち着く。それ以外に着地点がない。

 この映画のアダムも、最初、救いようのないほどのクズ男で、クズ男が思い直してアンナを大事にしようとする…って、ちょっと極端だとは思うけども。同じ構図。

 もはや、タイムループというひとつのジャンルなのですね。

 個人的好みでは『ミッション:8ミニッツ』と『シャッフル』で、ほぼタイムループは完成されてしまった感があります。『ミッション~』は舞台設定(列車の中)と時間(8分)を制限したこと。『シャッフル』は戻る日をハッキリ曜日で説明したことで、ややこしくなりがちな設定にメリハリをつけています。

 この『LOOP/ループ -時に囚われた男-』が、一段とややこしい話になっているのは、ループの基点が、アダムではなく、劇中何度も殺されるアンナの蘇生タイミングにあるからです。それでいて、なぜかアダムもループし、そもそも映画がアダム目線であることで観客が混乱する。

 だとしたら、きっと狙いでしょう。「ややこしくしてやれ」と。

 同じタイプの映画ががたくさんある以上、その中で、なにかしらの方法で興味を引こうという野心?は、好きです。タイムループが生じさせるパラドックス、矛盾点、わけわからなさが人知を超えているのは明白で、そこを明確に説明できてしまうとむしろ面白くない。

 だから、作った人も観た人も、みんなで「わけわからなさ」を楽しめばいいじゃん。が本当は正解なのでしょう。

 気になって二度目の鑑賞…なんてことになれば、倍の時間、映画を楽しめるということですしね。

 一点、斬新だったのは、複数いる自分と自分に、普通に会話させて格闘までさせたこと。斬新と言っても、新しい思いつきという意味ではなく、みんなあえてやってなかった部分。いわば反則。「同じ人間が接触してはいけない」は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』以来の不文律だったのではないかと思いますが、タブーをいじってきました。

 いや、それがアリなら「自分を六人くらい集めて、悪い奴をやっつければいいじゃんか。」と思いましたが、それじゃ「おそ松くん」になってしまうので、さすがにダメでしょう。

 【ループ解析】

 わけわからなさが良いとか書きつつ、ループを解析してみました(長くなるので別ページにしました。)間違いも多々あるでしょうが、ご容赦のうえ、ご興味ある方はぜひ。

cinema.kamuin.com