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基本データ・おススメ度
『ニューヨーク2014』
原題:Battle Dogs
2013年 アメリカ
監督:アレクサンダー・イェレン
出演:クレイグ・シェイファー、デニス・ヘイスバート、ケイト・ヴァーノン、アリアナ・リチャーズ
おススメ度★☆☆☆☆(1/5)
小学生が脚本を書いて中学生が監督をしたみたいな映画。開始3分でCG丸出しの狼が登場して脱力できます。「箸にも棒にもかからない」としか言いようがない映画ですが、ヒロインが死ぬとこの演出など、本当にイラつくのでぜひ観てください(薦めてる?)観て、僕と一緒に腹立ってください。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
空港。金髪のお姉さんの様子がおかしい。トイレの個室で狼に変身。ロビーで人々を襲いだした。喉元を食いちぎられる人が続出し、噛まれた人がさらに狼に変身。空港パニック。
やがて薬が散布されると、狼たちは人間に戻って倒れている。どうやら、狼になってもまた人間に戻るらしい。
彼らは隔離され、心拍数を下げる注射をされる(心拍数が上がると狼に変身してしまう)。40歳くらいに見える女性は、名前と年齢を聞かれ「ドナ、28歳」と答える。「私のせいよ。狼に噛まれた。」と告げる。どうやら彼女が第一感染者。
ドナを快方するのはホフマン少佐。ドナは野生動物を追いかける写真家だという。抗体センターのゴードン女史は、第一感染者の傷口を調べればウイルス抗体を作れるかも知れないと考え、ドナを探す。
ホフマン、ゴードン、ドナの三人は、協力して抗体を作ろうとするが、軍の上層部は「(狼たちは)軍の兵器になる。」と考え、ホフマンたちを煙たがる。
▼▼以下ネタバレ▼▼
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ネタバレあらすじ
軍の上官は、狼ウイルスに侵された二人を地下室に連れてきて、わざと興奮させる。狼に変身した二人は殺し合いをはじめる。それをみてほくそえみ「最も革新的な兵器だ」と言う上官。
ホフマンのところにJFK空港の監視員が来る。騒動当日の監視カメラは壊れていたが「別の方法がある」と、手荷物受取所に当時の立体映像を再現する。5分毎の静止画を巻き戻すとドナが並んでいる。ホフマンは立体ドナが持っていたカメラを気にする。押収物を調べるとカメラの実物があった。カメラの中身をチェックすると、カナダの風景、狼、噛まれた腕の傷口、の写真。「やはり彼女だ。彼女がカナダで狼に噛まれたんだ」と、今さら言う。
さらに「カナダには狼男伝説があるからだ」というわけわからないことをのたまう。
ドナは逃げるが、軍に捕まる。軍はドナを殺せと指示するが、ゴードンとホフマンは彼女を殺すと抗体が作れなくなると反対する。狼たちを戦場に出せばウイルスが世界中に広がる。抗体は必要で、彼女を殺してしまうと研究もできないという。
ロビーの人間たちが狼に変身して暴動を始める。狼たちはマンハッタンの街に出ていき暴走。アメリカ大統領も登場し、軍の「兵器にしよう」に賛成の大統領は、ホフマンとゴードンを逮捕するよう指示を出す。
逃げるホフマン、ゴードン、ドナの三人。彼らを追う軍。軍と狼軍団も激しい闘い。大統領は街を閉鎖。街を全壊するよう指示。封鎖された街に一人残されたホフマン。
ドナの腕から抗体となる狼の牙が取り出される。軍の指示で、牙から抗体を作成するゴードン。できた瞬間、ゴードンは殴り倒される。
ホフマンに合流したゴードンとドナ。ドナのピンチに、ホフマンは自分でオオカミウイルスを使って狼になり、ドナを助ける。が、やはりやられそうになったところを今度はドナが銃撃で助ける。助けた後、ドナ絶命。
街が爆破される。ホフマンとゴードンは泳いで岸にたどり着き助かる。呑気に抱き合って終わり。
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つまりこういう映画(語りポイント)
「人が獣に変身してしまうウイルスが蔓延し…」との設定を聞いて、とりあえず、どんなSFXだろう?と観始めたところ…いきなりCG丸出しの狼が登場。あまりのチープさに脱力しました。
あれをやってしまうと、CGの技術なんてまるで無駄使いになり、意味や効果としては50年前の「バンパイヤ」(※1)と同じでしかなくなる。
「これはCGの狼です」とハッキリわかってしまうモノであるなら、それは「これはアニメの狼です」とわかってしまうのと、こと効果の面ではなんら変わらない。つまり、1968年から何ひとつ進歩していないことになる。それは、真剣にCGを開発している人にとっても迷惑な話。
▼「バンパイヤ」=1968年の日本のドラマ+アニメ。手塚治虫さん原作。水谷豊さんとアニメ狼の合成シーンがあった。↓こんな調子。
脚本も演出も穴だらけで「箸にも棒にもかからない」としか言いようがないのですが、「突っ込みどころ満載」という表現も、この映画には使いたくない。「突っ込みどころ満載だけど面白いB級映画」に対して失礼になりそうで。
小学生が書いた脚本を中学生が演出したレベル。
問題点を書きだすとキリがないですが…。
・狼になる設定(ルール)が曖昧。噛まれたら狼になる、それはいい。ただ、噛まれて死んじゃう人もいれば狼になる人もいる。狼のときに殺されたけど人間に戻って生き返るのもいる。どうやったらやっつけられるんよ?そこの設定がきちんと説明されないと観客はどこでドキドキすればいいかさえわからない。
例えば、ヴァンパイアであれば「噛まれた人は吸血鬼になる」「ただし、噛んだ後に首の骨を折れば変身せずにそのまま死ぬ。」と明確にあるじゃないですか、それがない。
それ以前に、そもそも人間に戻るってどういうことよ?DNAが狼のものになって、また人間のDNAに戻って、興奮したら狼になって、また人間に…とコロコロ…いや、楽しそうだけども。
・質問)カナダで狼に噛まれた女性が、なぜ狼に変身したり人間に戻ったりするのですか? 答え)カナダに狼男伝説があるから。…えっと…
・「こいつは兵器になる。」との考えがアホすぎる。理由として「人間の知識と獣の強さを持った新生物だ」などともっともらしい事を言ってましたが、どう見ても狂暴な狼にしか見えないし、敵を噛んだら相手も狼になるわけだし、抗体も制御方法もない獣をどうやって自軍の兵器にするのか。アメリカ国民全員が狼になって他の国民をみんな食い殺して、勝ったよかった、めでたし…って、みんな狼になっちゃったらダメじゃんか。
・ヒロインが死ぬところが腹立つ 文字で説明しにくいので、そこはぜひ実際に映画を観てほしいのですが(結局、薦めてる)とにかく腹立つ!ものすごくイライラする演出なのです。無理に文字にするなら、主人公ピンチ⇒ヒロイン、口笛で狼を振り向かせる⇒JAWSのロイ・シャイダーみたいに「くたばれ畜生」的なセリフをかっこつけて言ってから発砲⇒主人公助かる⇒親指を立てて合図⇒1秒後に頭を「ガクン」とさせて倒れる⇒もちろん、その後は、主人公に抱き起されつつ充分な量のセリフをしゃべってから頭ガクン。あー腹立つ。
ああいうのを「ここ、感動させるぜ」と真剣に思って作っていると思うと、なんだか痛々しい。
・題名がおかしい 原題「Battle Dogs」て、狼って言ってんじゃねぇか。邦題「ニューヨーク2014」に至っては、ほぼ何も関係ない。
・主演陣の俳優に魅力がない。
脇役にはそれなりの人がいるのに、主人公がデブでかっこよくないし、ヒロインは28歳という設定ながら40歳にしか見えないし。
・脱がない。女性が誰ひとり脱がない。…えっと、それは仕方ないです。
これくらいにしときます。
皆さまにおかれましては、この映画をぜひ観ていただいて、僕と一緒に腹をたてていだだきたいです。