基本データ・おススメ度
「コップ・カー」
原題:COP CAR 2015年 アメリカ
製作総指揮:ケビン・ベーコン
監督:ジョン・ワッツ
出演:ケビン・ベーコン
おススメ度★★★☆☆(3/5)
非常にシンプルな構成で良い。前半から中盤のハラハラドキドキな展開は、誰が観ても普通に「面白い」はず。最後の展開と結末はちょっとしたリトマス試験紙になっている。つまり観る人によって評価や捉え方が変わる。良質な脚本の傑作だと思います。ケビン・ベーコンの悪徳警官は見もの。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
家出中の少年、トラヴィスとハリソンは森の中で一台のパトカー(コップ・カー)を見つける。車内でキーを見つけた二人は大はしゃぎでパトカーを暴走させるのだった。だが、そのパトカーの持ち主であるクレッツァー保安官は私欲のためなら殺人すら行う恐ろしい人物だった。盗んだのが少年二人だと知ったクレッツァーは無線で二人に車を返せと要求する。動揺する二人だったが、さらにトランクの中に縛られた男が入っているのを発見する。(wikipediaより)
森の中で無人のパトカーをみつけた少年二人は、車内でキーをみつけ走り出す。「俺たちのクルマだ!」とはしゃぐ二人。
パトカーは、悪徳保安官クレッツァーが殺した人間の死体処理の合間に停めていたもので、トランクの中にはまた別の男を監禁していた。トランクの男ごと、パトカーが少年たちに盗まれたと知ったクレッツァーは無線で「俺の車だ、返せ。」と要求する。
前半は、悪徳保安官が少年たちを追いかけるお話。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
やがてトランクの中に縛られた男がいるのを発見する少年たち。男に騙され、今度は自分たちが車内に監禁されてしまう。
車を挟んで、保安官と男の撃ち合いが始まる。通りすがりの女性をも巻き込んで全員被弾。車の中で怯える二人。
窓ガラスを割って、少年ハリソンは車外に脱出しますが、もうひとりの少年トラヴィスは、拳銃をガラス窓に投げつけた際に、暴発した銃弾をお腹に受けていた。
ハリソンは苦しむトラヴィスを病院に連れていくためにパトカーを発進させ、暗い道を全速力で飛ばす。サイレンを鳴らしながら。
つまりこんな映画(語りポイント)
ケビン・ベーコンの怪演
興味本位からオトナの世界に踏み込んでしまった少年二人の冒険劇、と言ってしまうと、スタンド・バイ・ミー的な子供の成長ストーリーを想像しますが、悪徳保安官であるケビン・ベーコンのメチャクチャな人格設定や、子供相手でも容赦しない壊れ具合に、この映画を安易な方向に行かせないぞ、と云う気迫を感じる。
脚本が良質。
良質な脚本でクオリティが高い。拳銃ドンパチやハラハラドキドキは満載ですが、決して、ハリウッド風味の軽薄なアクション物ではありません。設定もシンプルで、単館上映系の味わいがある。
登場人物がほぼ5人だけ。
出演者が少ないうえに、回想シーンでそれぞれの過去を見せるといった常套手段も使っていません。そのために、余計な情報がないために、非常にシンプルに、保安官と少年たちの争いに集中できる。
子供たちがひたすら危なっかしい。
閉じ込められたクルマから脱出しようと、持っていた拳銃をドアガラスに投げつけるとか、防弾チョッキを来て銃弾を受けてみようとするとか、少年二人の行動はが危なっかしい。
子供たちの「無知であるためになんでもできる強さ」
大人たちの「保身に走るがゆえの滑稽さ」
その対比が面白い。
前半から中盤のハラハラドキドキな展開は、誰が観ても普通に「面白い」はずです。ただ、最後の展開と結末はちょっとしたリトマス試験紙になっています。つまり、観る人によって評価や捉え方が変わる。
万事解決良かったね♪なハート・ウォーミングでは終わらず、かといってバッド・エンドとも言いにくい。負傷したトラヴィスを助けようと勇気を出して車を飛ばすハリソンの姿は少年がこれから成長していくであろう予感を与えてくれるし、トラヴィスが救われたであろうと想像させるカットもある。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。
あえて言うなら「普通の現実で終わる」。そこが、この脚本を「良質」と感じた理由でもある。
少年たちは、これからの長い人生、自分の行動から得たもの、失くしたもの、経験を通して感じながら、生きるという意味を知っていくのだろう。
特に驚くような意外な結末がなくても、映画の先に広がる未来を観客に想像させるに十分な要素があれば、映画は良質なものになる。