【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

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3分で映画『アパートメント(1995)』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『アパートメント(1995)』
原題:L'appartement
1995年 フランス・スペイン・イタリア
監督:ジル・ミモーニ
出演:ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、ロマーヌ・ポーランジェ

 おススメ度 ★★★★★(5/5)

 「恋愛映画こそ、至上のミステリー。」登場人物の強烈な想い、いくつかの嘘、思惑、…それだけの要素で、銃も殺人も強盗も出てこない物語が立派なサスペンス映画に仕上がってしまう。恋愛における男女の心の動きと行動こそ、先が読めない、本人さえ読めないミステリーということ。若いヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチが見れます。二人はこの作品で出会って結婚しました、ロマーヌ・ボーランジェを加えた3人主演。90年代のテイスト、ノスタルジーも満点。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 二年間のニューヨーク出張からパリに戻って来たマックス。彼の頭の中には2年前に突然姿を消した元・彼女リザのことがあった。すでにニューヨークで知り合った別の婚約者もいるマックスだったが、街でリザらしき女の声を聞いたことから2年前の想いが再燃し、彼女の居場所を探そうとする。しかし、なぜかそこに絡んでくる謎の女・アリス。男女の愛憎劇を二年前と現在の三人を同時進行で見せる脚本の妙に、軽い謎解き要素も加わった「ミステリー仕立てのラブ・ストーリー」

   マックス(ヴァンサン・カッセル)は赴任先のニューヨークからパリに戻って来た。彼にはニューヨークで知り合った婚約者もいた。
 マックスは、ニューヨークに行く二年前、つきあっていた彼女・リザ(モニカ・ベルッチ)に、突然、手紙も連絡もなしに姿を消された過去があった。リザのことは諦めていたマックスだったが、ある日、カフェの公衆電話でリザの声を聞く。しかし、リザらしき人は、勢いよくカフェを飛び出していってしまったため、会うことも確かめることもできずに終わる。今日から東京へ出張の予定だったが、婚約者には東京へ向かったフリをして、リザを探すことにするマックス。

 リザのアパートを突き止めたマックスだったが、その部屋にいたのはリザと名乗る別の女性(ロマーヌ・ボーランジェ)だった。童顔巨乳の魅力に負けたマックスは彼女と一夜を共にしてしまう。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

  彼女の本名はアリス。実はリザの友達で、リザの恋人であったマックスのことを密かに恋い焦がれたいた。マックスとリザの別れを仕組んだのはアリスだった。イタリアでの2か月間の舞台公演が急きょ決まったリザは、急だったためにマックスに直接話すことができず、マックス宛ての手紙をアリスに手渡したのだが、アリスがその手紙を渡さなかった。それによって、マックスは彼女が何も告げず突然消えたと思い込んだ。そして、失意のまま赴任先のニューヨークへと旅だったのだった。

 帰国して二年ぶりに親友のリュシアンと会うマックス。リュシアンから「彼女ができた。アリスという名前だ。」と聞く。かたやマックスも、リザを追って他の魅力的な女と一夜を共にしたという話をする。まさか、同じ相手の話をしているとはお互いに思いもせず。アリスがリシュアンとつきあっていたのは、実はそれもマックスに近づくためだった。

 リザは、マックスの後につきあった危険な男から逃げるために、アリスに自分の部屋の鍵を預け、アリスの部屋に隠れていた。

 リザとマックスは、お互いに連絡をとろうとするが、アリスに邪魔されたり、やっと電話をしたら彼がシャワー中で電話に出なかったり、街ですれ違いそうになるのにお互いに気付かないままで通り過ぎたり。ニアミスだらけで会えない。

  しかし、ついにアリスの嘘がばれる。マックスがリシュアンとカフェにいる時にアリスが来てしまう。何も知らずに「彼女のアリスだ。」と紹介するリシュアン。マックスはその場で取り乱すことはしなかったが、「部屋であった女とはどうなった?」と聞くリシュアンに(本人の前で)「あの女はとんでもない嘘つきだった。酷い女だ。」と罵倒する。アリスも「その娘は、嘘はついたかも知れないけど、あなたに、その娘の何がわかるの?」と言い返してその場を去る。わけがわからないリシュアン。
 
 リザとマックスはようやく連絡を取り合うことに成功する。マックスが、カフェの店員にを託していたリザ宛ての手紙が、本人に届いたのだ。喜ぶリザ。待ち合わせ場所は懐かしい広場のベンチ、

 マックスを待つリザ。その頃、マックスは、アリスのことが気になっていた。アリスがなぜ嘘をついたか。どうしてこうなったのか。その原因は、自分への一途な愛だと気付いたマックスはリザとの待ち合わせをすっぽかす。マックスに会えなかったリザは寂しそうにその場を去る。

 リザにつきまとっていた元・彼は、リザのアパートに忍び込みリザが戻って来たことを確認して部屋に火をつける。爆発する部屋。

 どこかに旅立つために空港にいたアリスの前にマックスが現れる。しばしの抱擁。しかし、同時に、空港には、マックスが出張から帰ってくる(と思っている)婚約者が、彼を迎えに来ていた。

  婚約者の元へ行くマックス。抱き合う婚約者の肩越しにアリスを見るマックス。その姿をみて、微笑みを浮かべるアリス。

 つまりこんな映画(語りポイント)

  恋愛映画が面白いのは、その性質上、最初からサスペンスやミステリーの要素が備わっているため。物語としての潜在的なポテンシャルが高い。

 どういうことかというと…

 「わからない」ことがミステリーになる。そして、僕らの日常は、他人のことは実際にはほとんど「わからない。」それが当たり前。増してや恋愛なんて一段とわからない。なにせ本人さえ、自分の気持ちやその後の行動がわからないのだから。

 そこに「ちょっとした嘘」を落とし込めば、それだけで自動的にミステリーになる。

 ミステリーの作り方は、どんな難解な設定を作るかではなくて「誰は知ってるか」「誰は知らないか」を設定すること。「誰」には「観客」も含みます。観客は知っているけど登場人物Aは知らない。登場人物Bは知っているけど観客は知らない、なんていくつものパターンが作れます。

 片思いが生み出す「みっともなさ」と「狂気」

 片思いに苦しんでいる人は、男女関わらず、誰にも理解できない、本人にしか理解できない行動をしたりするものです、好きな相手と成就できない人が、少しくらいおかしくなるのは当然なこと。そこで、みっともない行動をしてますます嫌われたり、ストーカー気味なことまでして怖がられたり。でも、それも根本は対象の相手が好きだからで、誰かを好きな気持ちに罪はない

 この「アパートメント」でも、登場人物の強烈な想い、いくつかの嘘、思惑、…それだけの要素で、銃も殺人も強盗も何もでてこない恋愛映画が、複雑なミステリーを生み、実はなんてことない物語が立派なサスペンス映画に仕上がってしまう。

 時間軸を飛び回る脚本の妙。

 上のあらすじ以外に、彼らの二年前の物語を平行して見せる構造になっていて、観客は、髪型や服装で現在との区別をつけることになる。絵がない脚本の段階だと、読む人にはわけわからない脚本に見えるかも知れません。メインの三人の衣装や髪型があきらかに若く見える造りにしてあるため、映画を観る限りはさほど混乱しない。

 そこに、赤い靴、コンパクト…といったアイテムが効果的かつ象徴的にに使われていて、どこかおとぎ話のような世界観を醸し出している。靴といえばシンデレラ、コンパクトといえば白雪姫のイメージがあるからでしょうか。

 固定電話を巡るすれ違い…

 リザが電話をかけた時にマックスがシャワーを浴びていたために電話に出れずにすれ違ってしまう、なんてエピソードは固定電話ならでは。携帯電話やスマホが普及してしまった現在はもう使えない手法になった。携帯以前にナンバーディスプレイもあるし「誰から電話があったかわからない」なんてことはほぼない。昔の映画は「固定電話を介したすれ違い」をうまく使う映画が多かったけど、この映画あたりが最後の世代になるのでしょうか。

 そして、三人の女性の間で揺れ動くヴァンサン・カッセルの終盤の行動が、このミステリー映画の「答え」。運命の悪戯で、お互いに気がありながらすれ違いになってしまうモニカ・ベルッチではなく「どんな手を使ってでも…」と彼に求愛するロマーヌ・ボーランジェの元に走るあたりが、人間心理、恋愛心理の面白さ。

 さらにそこから、最終的には、空港に迎えに来た奥さんの元へ戻るという行動も含めて、行動の動機は「結局、理屈じゃない」。だから、男女関係は「摩訶不思議なもの」となる。

 主演の三人はみんな年齢的にも乗りに乗っている頃。

 若いヴァンサン・カッセルは、2年前の学生風の髪型も2年後のサラリーマン風の造りもどちらもカッコいい。

 ゴージャスキャラになってしまう前の普通に綺麗なお姉さんなモニカ・ベルッチが見れます。

  ロマーヌ・ポーランジェの「童顔で巨乳」はもはや兵器。反則です。

 

▼ヴァンサン・カッセル&モニカ・ベルッチの、その次の共演作。「アパートメント」とはまったく違ったカットビな二人が見れます。

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