基本データ・おススメ度
『シャギー・ドッグ』
原題:The Shaggy Dog
2006年 アメリカ
監督:ブライアン・ロビンス
出演:ティム・アレン、ロバ―ト・ダウニー・Jr、クリスティン・デイヴィス
おススメ度☆☆☆☆☆(0/5)
お父さんが犬になっちゃうコメディ。家族で楽しめるハート・ウォーミングとのこと。確かにワンコはかわいいし笑えるところはあるけども、動物実験や遺伝子操作の部分で、個人的には非常に気分が悪くなった。ディズニーらしくない、傲慢な人間のための物語。本当に腹が立ちました。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
検事のお父さん、今の案件は、製薬会社の動物実験への抗議で研究所に放火した教師の裁判。お父さんの娘は、動物実験の反対運動に参加していて、研究所に忍び込み、一匹のワンコを連れて帰る。 ワンコ=シャギーは変わった遺伝子を持っていて300歳の長寿犬。すぐに捕まって研究所に戻されてしまったが、その際、シャギーはお父さんを噛む。噛まれたお父さんは、段々とワンコに変貌していく。
家に帰ったワンコお父さんだが、娘たちは「シャギーが帰ってきた」としか思わない。必死に「お父さんだ」とアピールしようとるすが、フリスビーを投げられると本能で追いかけてしまったりする。
お父さんは時々、人間の姿に戻る。人間でいるときも犬の性質が出てしまったり、他の犬にお尻の匂いをかがれたりする。
さて、どうなるお父さんワンコ。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
お父さんは、ワンコとして家族に接するうち、家族の秘めた想いをいろいろ耳にする。お父さんに気をつかって好きでもないアメフトをやっている息子とか。
シャギー父さんは、研究所の悪いやつに捕まってしまう。秘密を隠そうとする悪いひとたちだったが、シャギー父さんは研究所で他の動物と手を組み、みんなで脱走する。
裁判で、研究所の悪事を暴いたお父さんは、これからは家族を大切にしようと誓ったのでした。めでたしめでたし。
つまりこういう映画(語りポイント)
まず良かったところから。
お父さんが犬になる。俳優が犬みたいな仕草をするところが面白いと評判ですが、僕は、犬になった後のフリスビーのくだりがお約束すぎて笑いました。「そんなバカなことするか」の前フリから、いざフリスビーを投げられたら「任せろ!」と走っていくところですね。
そして、やはりワンコを見ているのは可愛いのです。可愛いのですけども…。
悪いところ。
ディズニーらしくない。って、普段ディズニーをほとんど観ないもので偉そうには言えませんが、他のディズニーって、大抵、動物が擬人化されてしゃべってません?この映画、動物がしゃべらないんです。
視点がずっと人間なのです。
お父さんが犬になって動物と言葉が通じるようになるんだけど、動物が動物の鳴き声のままなんですね、あそこはぜひアテレコで、観客もお父さんと同じ感覚で観れるようにしないとダメでしょう。そこで動物側の考えや事情とか、それを聞いたお父さんが、傲慢だった自分に気づく、という流れじゃないと。
動物実験や遺伝子操作を悪として研究所がギャフンという勧善懲悪になっていますが、そこも、あくまで主体は人間、それも、アメリカの俗福な家庭に限定された視点でしかない。
映画を作る側に、動物に対する思い入れがないことがバレバレに伝わってきます。偽善として、それらの要素を使っているだけなんですね、あくまで人間様のために存在する動物たち。
カエルワンコ…あれはない。ひどい。問題提起ではなく、ただ笑い者にしているだけ。非常に気分が悪くなりました。腹が立ちます。
傲慢な人間が、人間のためだけに作った映画。
最後も、人間だけがめでたしめでたし。いや、カエルワンコを普通のワンコに戻さなきゃハッピーエンドにならないでしょう。どうでもいいんでしょうね、人間以外は。
他にも、不老不死の設定必要?とか、中盤、本物のシャギーがまったく忘れられているとか、そもそも最初から、家族にさほどの問題があったわけじゃないやん、とか。脚本的な突っ込みどころもたくさんあって、映画としても非常に粗雑です。
自分の子供にこんな映画は見せたくないなぁ。
この映画を観て「家族で楽しめましたぁ♪」などと言ってる母親の頭をひとまずスリッパではたきたい。