基本データ・おススメ度
『6デイズ/7ナイツ』
原題:Six Days Seven Nights
1998年 アメリカ
監督:アイヴァン・ライトマン
出演:ハリソン・フォード、アン・ヘッシュ、ランディ・エデルマン、マイケル・チャップマン、ジェルドン・カーン
おススメ度★★★★☆(4/5)
無人島サバイバル物ながら緊迫感ゼロのラブコメ。キャラ設定がうまく会話も面白い。50歳過ぎのハリソン・フォードが、当時30歳手前のアン・ヘッシュと恋に落ちる歳の差カップル設定も夢があって(?)良い。美しい景色(南の島、澄んだ海、透けた乳首)を堪能するだけでも楽しめます。ちょいエロ。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
雑誌編集者ロビン(アン・ヘッシュ)は仕事に燃えるキャリア・ウーマン。同じく仕事男の婚約者・フランクは、お互いの仕事が忙しく頻繁に会えない彼女を気にかけ、サプライズプレゼントとして、南海のマカテア島への7泊6日の旅行を提案する。喜ぶロビン。
マカテア島への中継空港に着いた二人。ここからはチャーター機で島まで飛ぶ予定。二人が予約したセスナ機を整備しているのは、50過ぎの中年・クイン(ハリソン・フォード)。セスナ機の調子が良くないようで、声を荒げながら修理をしている。
ロビンが声をかけると、クインの視線は、ロビンの着衣から透けた乳首に釘付けになる。観客の視線も釘付け中。
ロビンは、このオンボロセスナで行くのかと不安になるが、クインは「俺のセスナだ。大丈夫。ちゃんと飛ぶ。」と言う。
救命具を身に着けて後部座席に座ったロビンとフランク。運転席のクインに加え、後から、巨乳のセクシー女が乗り込んできて助手席に入る。クインとキスをした女性は副操縦士だというアンジェリカ。アンジェリカはいかにもアホっぽい喋り方で「は~い♪よろしくネ」と言う。
マカテア島に到着。若い婚約者たちのバカンスが始まった。バーで愛を語りながら、フランクはロビンに結婚指輪を渡す。幸せそうな二人。
ロビンがひとりになったタイミングで、酔っぱらったクインがロビンをナンパしにくる。昼間に自分が乗せたカップルだということを忘れて「お嬢さん、いつから島に?」と聞くクインに呆れながら適当にあしらうロビン。
まさかこの後、この中年男と無人島で二人っきりになるとは露とも思わず…。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
翌日、ビーチでくつろいでいたロビン宛てに仕事仲間から電話がかかってくる。すぐにタヒチまで来てくれないと困ると言う。バカンスに来たばかりのロビンは戸惑うが、仕事優先のロビンは、仕方なくタヒチに行くことにする。
「飛行機はある?」と聞かれたロビンは「あるわ」と言い、クインのところに交渉に行く。部屋でアンジェリカとイチャついていたクインは最初は断るが、700ドルを提示され引き受けることにする。、
タヒチに向かう上空。会話をするロビンとクインだが、オシャレな雑誌編集者のロビンと、現地でパイロットをする荒くれタイプのクインは、話が合わない。ロビンはどこかクインを見下したモノの言い方をするし、クインはそんなロビンが気にくわず、お互いに皮肉を言いあっている。
セスナが嵐にあう。島に引き返そうとするが、機体をやられたセスナはどこかの無人島に不時着してしまった。
翌朝、嵐がすっかり遠のき晴天の無人島で目を覚ましたロビン。クインは砂浜で酒を飲んでいる。「ここはどこ?」「マカテアとタヒチの中間、それ以上はわからん。」「車輪が壊れて離陸できない。無線も落雷にやられて使えない。俺たちはここにいるしかない。たぶん…ずっと。」と言うクイン。
「700ドル返して」というロビンに「途中までは連れてきた」と半分の350ドルを渡すクイン。
無人島でのサバイバル生活がはじまった。
島では、ロビンの婚約者フランクと、クインのパートナー・アンジェリカが状況を把握、心配して救助隊を要請している。
海辺、乳首が透けた服を着て歩くロビン。
「見られたくてそんな服を買うのか?見せるのが好きなのか?」と聞いたクインに「見せるのは好きよ。貴方以外なら。」と答えるロビン。「誰が見るか。お前なんて好みじゃない。おしゃべりで頑固で皮肉を言うし、それにペチャパイだ。」と言い返すクイン。
ジャングルで野ブタに出会い驚いたロビンは滝つぼに逃げるが、水中で蛇がパンツの中に入ってきて固まる。クインは「任せろ」と、ロビンのパンツの中に手を突っ込んで蛇を捕まえる。複雑な表情で礼を言うロビン。
夜、捕まえた鳥を焼き食べる二人。まるでキャンプを楽しむ二人のように会話をする。「じゃ、おやすみ」とセスナの操縦席に向かうロビン。エッチな期待をスカされたクインは「そうだよな、やっぱそうだよね。そりゃそうだ。」と残念そうに独り言。
次の日も、サバイバルの危機感ゼロ。ボートに乗ったり、無人島生活を楽しんでいるかのような二人。
「アンジェリカとはどういう関係?」と聞くロビンに「ただの友達」というクイン。クインの過去の女性関係も聞き出すロビン、さすがに50過ぎの男らしく「いろいろあったが今は独り」のクイン。
海上で海賊に遭遇し、追いかけられる二人。
崖に到達。クインはいきなりロビンの頭を掴んでキスをした。戸惑うクインに「ごめん」と謝るクイン。「キスのこと?」と聞いたロビンを「いいや、こっちのこと」と、崖から海に突き落とし、自分も飛び込むクイン。
なんとか岸に辿りついた二人。砂浜に寝転がったロビンにキスをするクイン。ロビンも応える。恋人同士のように抱き合う二人。
同じく墜落したらしき、旧日本軍の水上機の残骸をみつけるクイン。50年もここにあったらしい。部品を利用して、セスナ機を修理しようと考える。
一方、島では、二人の安否はすでに絶望的というムードになっていて、フランクとアンジェリカが悲しんでいる。アンジェリカを部屋に送っていったフランクだったが、アンジェリカに誘惑される。
「まだロビンが生きているかも知れないんだ。そんなことはできない」と断るフランク。アンジェリカは「あたしは寂しい。ほら、なんていうの?葬式のときって、やけにエッチしたくならない?みんな。」と言う。フランクはアンジェリカの顔を不思議そうに見ながら「…それ、みんなじゃない。」と突っ込む。
しかし、結果的には、誘惑に負けて一夜を共にしてしまう。翌朝、眼を覚ましたときから「僕は罪をおかした。最低の男だ。」と、浮気した自分を責めるフランク。レストランでも、ガツガツと食事をするアンジェリカを横目に、「食欲なんかない。僕は人間失格だ。意志の弱い男だってことがハッキリ分かった。」とクヨクヨと言い続けている。
そこに「捜索打ち切り」の知らせが来る。
島ではロビンとクインの「お葬式」が行われていたが、そこに、修理したセスナに乗ってロビンとクインが飛んできて砂浜に着陸する。
疲労困ぱいの二人を、アンジェリカたちが救出する。フランクに手を差し伸べられるロビンだったが、気持ちは、助手席で弱っているクインのほうを向いていた。
翌日、ホテルの部屋。フランクとロビン。フランクはここでも「もう2度と君と会えないだろうと思った。それで自分を見失った。人間って弱い。わかるよね?」と、聞かれてもいない浮気を匂わすことを言い出す。なんのことかわからないロビン。
クインが入院している病院に見舞いに行くロビン。「どうするの?これから。」「なんのこと?」「わたしたちのこと。」と、クインに告るロビンだが、クインは冷静に「君はまだまだこれからだ。若い男と幸せになるべきだ」と突き放す。
それでも言い寄るロビンに「俺は今の暮らしを変えられない。君は副操縦士なんてイヤだろ?俺も、君の秘書にはなりたくない。複雑なことは嫌いだ。シンプルに生きたい。」と言うと、ロビンはあきらめ「思いどおりの人生が送れるといいね。」と言い残し、哀しそうに病室を出て行った。
空港の待合室。都会に戻るフランクとロビン。「現実に戻るね。」というフランクに、ロビンから婚約解消を告げる。
「モヤモヤした気持ちになったまま、結婚はできない。」というロビンの言葉を誤解したフランクは「許してくれ。ドアを開けたら彼女は素っ裸だったんだ。最初は断ったんだ」などと、聞いてもいないのに喋りだす。
ポカンとしてロビンは「アンジェリカと寝たの?」と静かに聞く。フランクは「え?知らなかったの?」「知るわけないじゃん。」「…。」
その頃、思い直したクインは、病室を飛び出て空港に向かって走っていた。
空港についたクインは、飛び立った飛行機を寂しそうに見上げていたが、ふと見ると、飛行機に乗らず、戻ってきたロビンが荷物のことで職員と揉めている姿を発見し、歩み寄る。
「どうして降りたんだ?」「あなたこそ、どうしてここに?」「俺の暮らしはシンプルすぎると思ってな。ちょっとくらい複雑にしてみるのも、いいかと思って。」
二人は長いキス。手を取り合って歩き出す。
「俺の家へ帰ろう。家というより小屋だけどね。」「ベッドしかないんだっけ?」「イチイチうるさい女だな。」
楽しそうな二人の笑い声。
つまりこういう映画(語りポイント)
南の島、澄んだ海、透けた乳首…美しい風景を堪能しつつ、ノーテンキに都合良く進む恋愛ストーリーにウットリする…のが正しい鑑賞法。
同時期の日本映画でいえば『私をスキーに連れてって』と同類。ストーリーなんてどうでも良くて、ただ雰囲気と会話を楽しむもの。
無人島サバイバルの緊迫感はゼロ。バカンスを楽しんでいるカップルにしか見せませんが、それでも充分に面白いのは、主要4人のキャラ設定がわかりやすくバランスも良いから。会話も面白い。
・50代中年男(ハリソン・フォード)
今は島でパイロットをしながら孤独な貧乏暮らしをしている男だが、昔は会社を経営したこともあり、結婚を考えた女性もいたと想像させる過去もあり、根っからの野男ではなく、過去の事情や経験を感じさせるキャラになっているところが良い。
それにより、ラストシーンに「一度は諦めていた『なにか』を手にした」幸福感が滲み出る。
・キャリア志向の生意気女(アン・ヘッシュ)
仕事優先で生きてきて、同様に、仕事を選ぶように婚約者を選んでいた自分。無人島でウンと年上ながらまるで子供のような感覚を持ったクインと出会った自分。二人の自分と向き合ったことで人生観が変わる。
そのスタンスの柔軟さが心地良い。そして懐かしい。
レビューでは「キャラがウザい」という意見も多い。確かにちょっと演技があざとい(コメディっぽくやろうとしすぎな)感じはある。ただ、綺麗な顔だちと、やたら透けてみえる乳首に免じてすべて許したい。まったくもって許したい。
演じるアン・ヘッシュはバイセクシャルを公言していて、同性(女性)との交際宣言をしたこともある。その情報を知ってから、あのショートカットのボーイッシュな顔を見ると妙に納得。父親はゲイでエイズで死亡。兄も交通事故死で、母と妹を育てるために芸能界に入ったとか。父親から性的虐待を受けていた過去も明かしている。なかなかにワケアリな人。
個人的には、そのボーイッシュな感じがド・ストライクに好み。だからなんでも許す。
・実直な婚約者 フランク。
このキャラが良い!チャラ男っぽいんだけど、実はすごい真剣にロビンを愛していて、浮気をしたことをずっと悔やんでいたり、聞かれてもいないのに自分から白状してしまう感じは、人間として憎む要素ゼロ。アンジェリカと寝たことで自分を責め続けるネタが徹底していて「オイシイ」キャラになっている。何度か声出して笑いました。
・パッパラ女 アンジェリカ。
セクシー係として映画に登場しますが、めちゃ脱いでる印象ながら、実は脱いでいない。それでも男を刺激する色気満載なキャラ。バカそうな感じは「いかにも」なんだけど、いつの時代も、絶対に、こういうキャラっているんです実際に。こちらも憎めない。
「葬式の後ってムラムラするよね?みんな。」に対してのフランクの「ううん、みんなではない、それ。」という冷めた突っ込みに爆笑しました。
南の島でのアバンチュールだけでなく、50過ぎの独身男が若い女と恋に落ちる…中年男の夢物語にもなっている。ハリソン・フォードだからなんですけどね、それ。
駄作認定する人も多そうな映画ですが、僕は、意外や意外に好きです、この映画。なにも考えずに気楽に観るにはちょうど良い。
▼ハリソン・フォード出演の駄作といえば、こっちのほうでしょう。