【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

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3分で映画『ホワット・ライズ・ビニース』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『ホワット・ライズ・ビニース』
原題:What lies Beneath
2000年 アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ハリソン・フォード、ミシェル・ファイファー、ダイアナ・スカーウィッド、ジョー・モートン、ミランダ・オットー
 おススメ度★☆☆☆☆(1/5)
 脚本・演出・編集、俳優の芝居、すべてがヒドい。ちょっと酷すぎる。監督ロバートゼメキス、ハリソン・フォード&ミシェル・ファイファー…う~ん、どうしてこうなった?しかし、見どころはあります。クライマックスのハリソン・フォード!「まるで2時間ドラマのような説明セリフ」「まるで時代劇の悪代官のような悪人ぶり」が観れます。あまりのことに驚きます。ある意味で観る価値あります。そこに★1。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 バスルームで悪夢を見て飛び起きる女・クレア(ミシェル・ファイファー)。湖の底に沈んでいる女性(自分?)の夢。夢か…と、さほど気にはかけなかったが。

 クレアとノーマン(ハリソン・フォード)は幸せそうな夫婦。都会で普通に暮らしていたが、娘が大学進学で家を出ることになったことを期に、郊外の一軒家に越してきた。静かな環境で二人になり、恋愛時代に戻ったように仲良く暮らす二人。

 クレアは元々はバイオリニストでカーネギーホールにも出たことがある。ノーマンの父は高名な数学者、しかし一年前に自動車事故で亡くなっていた。ノーマンの書斎から、高額の保険金請求資料などをみつけるクレア。

 ある日、隣家の住人が庭で泣いているのを見かけ「大丈夫?」と声をかけるクレア。「これ以上耐えられない。(主人が)怖い。このままだと私はいつか(殺される)…」と泣く隣人の女性、メアリー。クレアは帰宅したノーマンにそのことを話すが、ノーマンは「どこの夫婦も喧嘩くらいする」と取り合わない。
 
 庭で、血のついたサンダルを見つける。

 クレアの友達が訪ねてきた。慣れない田舎暮らしをはじめたクレアを心配して様子を見に来た。高級車を見せつつ「離婚って最高よ。旦那が消えて高級車が手に入る」と、ひどいことを言う。

 ある雨の夜。クレアは、隣の旦那が車のトランクに大きな物を運びこんでいるのを発見し、急いで、寝ていたノーマンを起こすが、ノーマンが外を見た時には、隣家には人の気配がなかった。クレアの幻覚?

 次の日、隣家の様子を伺っていたクレアは、木の枝で手首に怪我をする。なにかと不穏なことが起こる。湖に気泡が浮き出てきたり、飼い犬のクーパーが湖に近づかなかったり。ラジオが勝手についたり。

 クレアは、隣の旦那が奥さんを殺したのではないかと勘繰る。姿が消えたからだ。知り合い夫婦との食事会に出かける途中、ノーマンに推理を話すが、ノーマンは「エイリアンにさらわれたんじゃね?」と流す。

 割れた写真立てを修理していたクレアは、床の隙間からどこかの「鍵」を発見する。 

 バスルームで、水面に見知らぬ女の顔が映って驚く。

 引っ越してきた家、心霊現象、どこかで何度も見たことがあるシチュエーションと、いかにも意味がありそうな細々した伏線、ミシェル・ファイファーの大袈裟なお芝居、を撒き散らしながら映画は進む。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 うつ病の薬を処方してもらおうと、ついにメンタルクリニックに行くクレア。「幽霊が出る」「私にそっくり」と話す。「心あたりは?」と聞かれ、「幽霊は隣人のメアリー」と話すと、医師は「その人に話を聞けばいい」と無茶なことを言う。

 友人を家に呼び、コックリさんを始めるクレア。血のついたサンダルを傍らに置き、メアリーの名前を呼ぶ。すると、異音が聞こえロウソクが揺れた。「メアリーが来た!」と思うが、気のせいだった。そりゃ気のせいだろうよ。

 ひとりになり、恐る恐るバスタブを見に行くクレア。バスタブにはお湯が張ってある。「なにが望みなの?」と空中に叫ぶクレア。部屋にいくとパソコンが勝手に動いている。ノーマンのところに飛んでいき「霊が出た!」と訴える。論文を執筆中のノーマンは「俺の仕事の邪魔をするのか」と怒る。すっかり喧嘩になる。

 ノーマンと共に外出した先で隣人の旦那をみつけたクレアは、本人に「あんたがメアリーを殺したのね。ふざけんな。」と突っかかるが、生きているメアリーが傍らにいた。「お騒がせしました。」と謝るノーマン。すごすご退散。

 再びメンタルクリニックで相談をするクレア。医師は夫婦仲が原因ではないかと疑うが、クレアは否定する。 

 クレアが家に帰ると友人から「あなた向けの本よ。」と、おどろおどろしい絵や魔術の本が置いてあった。皮肉だろうか。

 隣人メアリーが「ごめんなさい。私が心配させちゃったから」と謝りに来る。話をすると、メアリーが少し変になっていたのは単なる倦怠期で、不安でイライラしていただけだった。拍子抜けするクレア。それ以上に拍子抜けする観客。

 写真立ての裏に隠してあった新聞記事をみつけるクレア。女子大学院生マディソンが失踪した記事。帰宅したノーマンに問いただすが「知らない。」と答えるノーマン。「いや、バスタブで見た顔は彼女よ!」と叫ぶクレアに「いい加減にしろ。またメンタルクリニックに行っとけ。」と怒るが、クレアは「絶対に彼女の霊よ!」と譲らない。

 クレアはマディソンの実家を調べ、マディソン母に会いに行く。マディソンの部屋に飾ってあった、彼女の髪の毛を盗んでくる。

 

 自宅に戻ったクレアは髪の毛を手にしながら「死者を蘇らせる方法」をマジメな顔で読んでいる。

 帰宅したノーマン。待ち受けるクレアがあきらかにオカシイ。リンゴをかじりながら、ロウソクの前で股を開く姿を見て、エロい気分になったノーマンは「機嫌が直ったようだ」と嬉しそう。そういうプレイだと思ったようだ。
 エッチなことを始めるが、やけに乱暴だったり、奇声をあげて笑ったり、あきらかにクレアが変。さすがに怖くなってきたノーマンは彼女を突き離す。
 玄関から自分が帰ってくる姿を見たクレア。ノーマンには見えない。クレアの幻想か。途端に「思い出した!」と叫ぶクレアは、ものすごく怖い顔で
「事故を起こす前、私はここにいた。そう、ある日自宅に戻ったら、家の中でささやく声がして、あなたが彼女(マディソン)と抱き合っていたの!」と唐突に説明を始める。

 ノーマンは、すぐにマディソンと浮気していたことを認め「確かにあの頃はおかしかった」と謝る。さらにキレたクレアは「出て行って」「私は音楽を捨てて一緒になったのに。」と、私の人生返せ的な恨み節を並べ立てる。
 
 それにはノーマンも怒り「テメェも子持ちだったじゃねぇか。俺が拾ってやったんだ、バーロー!」と言い返す。まったくもって大人げない。

 友人宅へ逃げるクレア。友人は以前からノーマンの浮気を知っていた。でもクレアには言えず、その後にクレアの自動車事故があったと聞き、クレアがノーマンの浮気を知って自殺しようとしたのだと思ったらしい。事故の後、ノーマンが本当に心配していたとフォローする友達。

 どうやら、クレアはノーマン父の交通事故に関連していて(同乗していた?)その際に、記憶の一部が消えてしまっていた。

 クレアが戻ると、ノーマンがバスタブの中で気を失っていた。バスタブにはドライヤーが入れてあった。自殺?と思われたが、それはアクシデントだった。

 ノーマンはあらためてマディソンとの関係について「彼女と関係を持った後、別れようとした。納得しないマディソンが家に来て『クレアを殺す』と言った。その後、姿を消した。(行方は知らない)」と釈明するが、マディソンの霊が居ると信じて疑わないクレアは「彼女はあなたを殺しにここに戻ってきたのよ。バスタブの事故もマディソンがやったこと」と言い張る。

 「霊じゃない。ただの事故だ。」と言いながら『火を使って悪魔祓いをする方法』を勉強しはじめるノーマン。勉強するんかい。

 クレアがふらふらと湖に出ていく姿が見えた。追いかけるノーマン。飛び込むクレア。後を追って飛び込みクレアを助けると、クレアは「髪の毛を落とした!」と慌てている。「髪の毛?マディソンの髪の毛か?」と驚きながら、水中に落としたといっている髪の毛を「それはこれのことかい?」となぜか持っているノーマン。おかしいってその演出。

 『火を使って悪魔祓いをする方法』の本を開きながら、マディソンの髪の毛を焼く二人。すっかり信じとるやん。

 「もう後悔させない。もう一度チャンスをくれ」と頼むノーマン。二人でセーリングに出る。仲直りした二人。しかし、クレアが湖近くの雑貨店で、マディソンがつけていたのと同じペンダントと、以前にみつけた鍵と同じ鍵の箱を発見したことで「やはりノーマンが殺した(のかも知れない)」と思い出すクレア。

 自宅に戻り、ノーマンが寝ている間に、湖から箱を引き上げた箱を開けると、そこにはマディソンのペンダント。「やっぱり」とショックを受けるクレア。そこにノーマンがやってくる。「貴方が殺したのね?」というクレアに「殺したんじゃない。死んでいたんだ」というノーマン。

 ノーマンの告白。「家に戻ったら彼女が死んでいた。俺への当てつけ自殺だ。遺体を焼いて、車ごと湖に落とした。持ち物は箱に入れて湖に沈めた。君との幸せな暮らしや、仕事を失いたくなかったからだ。表ざたになったらすべてを失くす。そうするしかなかったんだ。」そして「見なかったことにしてくれ。俺を許してくれ。」と頼む。

 自首を促すクレアから受け取った電話機で、警察に「失踪人の情報がある。刑事をよこしてもらいたい」と連絡するノーマン。しかし、その後にクレアが電話機を確認すると、リダイヤル先は警察ではなくお天気情報かなにかだった。

 後ろからクレアを襲ったノーマンは薬を嗅がせた。薬によってクレアは「意識はあるがカラダが動かない」状態となる。
 
 動けないクレアをバスルームに話しながら、聞かれてもいないのに真実をペラペラしゃべりだすノーマン。「忘れろと頼んだはずだ。」「僕が望んだのは君に愛されることだ。」「あの女は僕を脅した。学長に話すと。そんなことを見逃せない。だからバスタブで押さえつけて殺した。」「そうするしかなかった。」「最初は●●だった。」「次に●●だと思ったが」「やはり、●●だったから」「それで●●したんだ。」と、2時間ドラマの解決シーンのように語りだすハリソン・フォード。

 クレアを寝かせたバスタブに水を貯めながら知り合いに電話「クレアと喧嘩した。今夜は研究室に泊まる。心配だから、翌朝、クレアの様子を見に行ってくれないか?」と、アリバイ工作をしているところまで、ご丁寧に描写。

 クレアの薬がキレかかっていることまで丁寧に説明した後、ふと、クレアのネックレスを見たノーマン。それはマディソンのネックレスだった。次の瞬間、心霊マディソンの顔がドン!と現れ「うわ~!」と腰を抜かすノーマン。洗面所に頭を打ち、血を流して倒れてしまった。

 薬が切れかかってきたという説明があった通り、身体が少し動くようになってきたクレア。脚の指を使ってバスタブのお湯を抜こうする。あれこれ頑張って、一度は口が全部お湯に浸かってしまうが、ギリギリで栓を抜き、なんとか助かる。

 その後は、怪我と流血でボロボロの二人の追いかけ合い。部屋の中から外、車の中、と争いは続き、最後は車ごと湖に落ちてしまう。

 このままじゃ二人とも死ぬ…という時、水中にマディソンの亡霊が現れ、ノーマンの腕を掴んで離さない。その隙に逃げ出し水面に上がるクレア。

 ノーマン死んだ。クレア助かった。以上。

 

つまりこういう映画(語りポイント)

 最初から「これから怖いことが起こりますよ」と云うムードをこれでもかと醸し出す過剰演出に疲れます。

 サスペンスやミステリーの作り方の基本は「誰々は知っている」「誰々はまだ知らない」「誰々はここで知った」等の段階を見せていくこと。それによって「知らなかったこと」が自動的にミステリーになる。誰々…には観客も含む。

 もう、なんかね、最初から全員が知ってるみたいなんですよ。「怖い事が起こる」って。ミシェル・ファイファーは最初から異常に警戒してるし、ハリソン・フォードなんて最初から犯人の顔してるんです。演技のせいじゃなく、シーンや小道具の見せ方、効果音の入れ方がアザトイから、そう見える。

 ミシェル・ファイファーも完全にやりすぎ。演技過剰。途中、この人がどんどん精神的におかしくなっていく話かと思いました(むしろそのほうが面白くなったと思いますが)。

 うまく使えば面白くなりそうな、細々とした伏線がいろいろ出てきます。「ノーマンが遺伝子工学を勉強している」とか「自動車事故の保険金請求書」とか。一番の無駄設定は、クレアの「事故で一部の記憶が消えていた」というやつ。面白い方向に持って行けそうなのに、もったいない。

  血のついたサンダルは?なにより前半でさんざん出てきた隣の夫婦は?

 すべての伏線が、ほぼ回収されないまま黙殺される。

 最終的には「心霊でした」で解決。不思議なことも全部「心霊だったから」伏線なんてどうでもよくなります。なんでもアリです。

 そんなことより驚いたのは、クライマックスでのハリソン・フォード。

 まず、絶対的に不自然な説明セリフ。聞かれてもいない犯罪の流れからアリバイ偽装の手口まで、全部、丁寧に説明してくれます。まるで2時間ドラマ。
 おまけにその前には、悪者だということがバレた途端にいきなり人格が変わります。時代劇で「ええい、バレたら仕方あるめぇ!」ってやる、あれです。あれそのものです。水戸黄門でも最近はそこまでしない。

 その一連、よくハリソン・フォードにやらせたなと。ハリソン・フォードも、良く文句言わずやったなと。そこ是非見てください。あまりのことに驚きます。むしろ見る価値あります。そう見ることができないレベルなので。

  この映画一本分の予算で、良質な低予算映画が何十本撮れるのかと思うと、ため息が出ます。

 ▼そういえば、ミシェル・ファイファーは「オリエント急行殺人事件(2017版)」で熟練の渋いお芝居を見せてくれました。

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