【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。酒でも飲みつつ語りたい。3分で「語りポイント」がわかる映画ネタバレあらすじ集。

3分で映画『ザ・ギフト』を語れるようになるネタバレあらすじ

基本データ・おススメ度

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『ザ・ギフト』
原題:THE GIFT
2015年 アメリカ
監督:ジョエル・エドガードン
出演:ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール、ジョエル・エドガートン、アリソン・トルマン
 おススメ度★★★★☆(4/5)
 単なる「幸せな夫婦を襲うストーカー物」?と思いがちですが、ところがどっこいの展開をみせる異色作。すべての真実と題名「ギフト=贈り物」の本当の意味を解釈していくと面白い。先入観と「人間の眼(他人を見る目)」の不確かさたるや…。

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あらすじ(ネタバレなし)

 新しい会社での仕事も順調なサイモンは妻・ロビンと新居を購入する。町で買い物をしている二人に、覚えのない男が近づいてくる。同じ高校だったと聞かされ、やがて思い出すサイモン。男はゴードン、同級生だった。

  翌日、サイモンの家の玄関先にワインが置いてある。カードがついており、ゴードンからの新居祝いだとわかる。

  昼、妻ロビンがひとりでいる時に、ゴードンがやってくる。ゴードンは地元業者の一覧をくれたりテレビをセッティングしてくれたり、なにかと世話を焼いてくれる。感謝するロビン。お礼にゴードンを夕食に招待する夫婦。機嫌よくしゃべるゴードンだったが、夫のサイモンはロビンに「あまり飲ませるな。奴は昔から変わり者だったんだ」と耳打ちする。ゴードンが帰った後「もうあいつを呼ぶのはやめよう。」というサイモン。

 家の玄関にまたプレゼントが置いてある。魚のえさ。池にはコイが泳いでいた。不気味がるサイモン。「勝手に他人の家に鯉を入れたんだぞ?」やはりあいつは変人だと言う。

 決まって、ロビンがひとりでいる昼間に、家にやってくるゴードン。

 ゴードンから夕食の誘いがあった。隣の夫婦も、ストーカーっぽいゴードンを警戒し「断るべきだ」と忠告する。しかし「興味本位だ。家を見てみたい」とサイモンたちは招待を受けることにする。

 住所を頼りにゴードンの家にいくと豪邸だった。驚く二人だが、ゴードンは「俺が成功しているわけじゃない。ここは別れた妻の実家なんだ。」という。

 サイモンはゴードンに「もう俺たち夫婦に近づかないでくれ」と告げる。

 翌朝 飼い犬が行方不明になり、池の鯉が死んでいた。ゴードンの仕業だと怒るサイモン。警察にく二人。警察でわかったことは、ゴードンの自宅だと思っていた豪邸は関係のない夫婦の家で、ゴードンはそこで運転手として雇われていただけだった。夫婦が旅行にいっている隙に、勝手に家を使ったことがわかる。

 玄関に犬が戻され、ゴードンから謝りの手紙。「二人に謝りたい。僕の本当の暮らしはとても見せられない。成功している君らとは違う。過去のことは水に流そうと思っていた。本当にそう思ってたんだ」という内容だったが、ロビンは「過去のことは~」の部分が気になり、サイモンに問い詰める。「過去になにがあったの?」と聞くロビンに「覚えてない。奴は情緒不安定なんだ。」と一蹴する。

 会社でさらに出世することになったサイモン。かたやロビンは、夢にゴードンが出てくるなど、精神的におかしくなってくる。あらためて「過去になにがあったの?話して」とサイモンを追及するが、サイモンは逆ギレするだけ。

 ゴードンは一体何者なのか?高校時代に、彼らになにがあったのか?

 

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ネタバレあらすじ

 サイモンの同級生たちにあったロビンは事情を知る。
 高校時代、ゴードンは車の中で男に性的虐待を受けた。ゲイだという噂が広まった。

それにより、ゴードンは父に焼き殺されそうにもなり、学校も退学になったと。そして、その事件の発見者であり通報者がサイモンだったと。つまり、ゴードンにとってサイモンは助けてくれた恩人ということになる。

 しかし、当時、サイモンが探偵を雇ってゴードンの身辺調査をしていたことがわかる。どうしてそんなことをしたのか?不可解に思うロビンは、さらに当時を知る関係者たちにヒアリングしてまわる。

 ゴードンはその後、すっかり人生を狂わせ、未成年の誘拐未遂で軍隊を除隊になったりと、さんざんな経歴になっていた。すべては高校時代のあの事件から。

 さらに真実がわかる。

 「事件は本当はなかった」。

 すべては、いじめっ子のサイモンがゴードンをいじめるためにでっちあげた大嘘だった。性的虐待も、何もなかったのだ。「なぜ夫がそんな嘘を?」と聞くロビンに、同級生は「(サイモンは)そういう奴なんだ。」と答える。

 夜、自宅でサイモンを問い詰めるロビンだが、サイモンはまた逆ギレして怒る。「人生は勝つか負けるかだ」「負け犬の人生なんて知ったこっちゃない」と言う。その後、反省したように「奴が家にきたあと。弁護士を通じて奴に接見禁止を通達したんだ」と告白するが、ロビンは「もう嘘はたくさん。あなたは何者?」と哀しそうな顔をする。

 ゴードンをみつけ駐車場で「謝りに来た」というサイモンだったが「もう手遅れだ」と謝罪を受け入れないゴードンに、またしても逆ギレ。ゴードンを殴って去る。

 サイモンの出世をいわうホームパーティが行われていたが、そこにダニーという男が殴り込んでくる。ダニーはサイモンが新しく着く予定の役職の前任で、どうやらサイモンが嘘の内部情報を会社上部に流し、ダニーを意図的に失脚させたことがわかる。
 後日、会社上部に真相がばれたサイモンは、出世が一転して解雇となる。

 妊娠していたロビンが出産する。喜ぶサイモンだったが、ロビンは「もうあなたとは一緒に家に帰りたくない」と突き放される。

 サイモンがひとりで家に帰ると、玄関にゴードンからの贈り物があった。中身はベビーベッドと「1」「2」「3」と番号がつけられた包み。順に中身を確認していくサイモン。(1)ロビンの寝室の合鍵(2)音声CD サイモンがロビンと二人でいるときに「ゴードンは君と結婚したがっている。あいつは変態だ。」などと話している会話が録音された盗聴音声。(3)DVD 再生すると、自宅でなにか飲み物を飲まされ気を失うロビンと、猿の仮面をかぶったゴードンが、ロビンの上にまたがる…までの映像。

 取り乱し、病院に走るサイモン。その頃、ゴードンはロビンの病室を訪れ、出産祝いの花を渡していた。ゴードンはロビンに「良い人には、良いことがあるべきだ。」と言う。

 病院でゴードンをみつけて追うサイモンだったが、見失う。直後、ゴードンから携帯に電話がかかってくる。

 「彼女には俺から話そうか?(やめてくれというサイモンに)不安だろ?言ってほしいはずだ『何もなかった』と。言ってやる、俺は彼女に何もしていない。でも、そう言っても信じないだろ?成長していく子供の顔を楽しみにしていればいい。不安か?思い出すはずだ、俺への仕打ちを。人を弄ぶとはこういうことだ」と言う。

 窓越しに赤ちゃんを抱いているロビンをみつめるサイモン。カーテンが閉められる。廊下で崩れ落ちるサイモン。

 それを見て安心したように去っていくゴードン。

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つまりこういう映画(語りポイント)

 題名「ギフト=贈り物」の意味

 劇中で、ゴードンからサイモンたちに何度も送られてくる、やや不気味なプレゼントのことを指している…と普通は考えるのですが、そこに込められた本当の意味は別にあります。

 おそらく、制作側が意図した意味は「子供」であり、その子供がゴードンの子供かも知れないという「不安」でしょう。

 ゴードンはきっと妻をレイプはしていないのではないかと思います。だとするとあの子供は無事にサイモンの子供だということになりますが、だとしても、真実を確かめるまでの長い時間、サイモンに「不安な気持ち」と与えることが復讐であり、サイモンにとっては最悪の贈り物。

 なかなか秀逸な、題名とのひっかけ方だと思います。

 そこに加えて、もうひとつ、自分なりの解釈を考えてみました。

 ギフト=贈り物というのは、原則、相手に許可を得ずに(得てしまうとサプライズにならないから)一方的に贈りつける性質のモノ。

 映画が言いたいことのひとつは「些細なことも含め、自分が誰かに対してした行いが、他人の人生を大きく狂わせることもある。」と云う、例えば「オールド・ボーイ」と共通する教訓。本人は覚えてもいない(意識的に忘れようとしている)ことが、他人にとっては一生忘れられない傷になっているという構図。

 他人から一方的に贈られる「行為」あるいは「言葉」を「ギフト=贈り物」とかけているとも解釈できる。人生を大きく変えるほどの「なにか」を他人から一方的に贈りつけられてしまうこともある、ということです。

 高校時代のサイモンの「嘘」は、ゴードンにとって人生最悪の贈り物であったし、ゴードンの復讐の行為を、今度はサイモンが、避けることができないギフトとして受け取るしかない。

 それは、他人との関係なしに生きてはいけない僕ら人間の、サガであり当然のリスクであると。そんな意味にもとれる。

 善と悪の逆転

 前半と後半で、善と悪が逆転する映画はいろいろありますが、総じて面白いです。勧善懲悪って、安心して観られるので良い面もありますが当たり前すぎて驚きはしない。そこで、善と悪をシャッフルすることで、観客は意外性を感じてビックリする。脚本的なテクニックでもあります。

 劇中、最初はみんな、ゴードンが悪者だと感じるでしょう。夫婦につきまとう気持ち悪い男だと。そう見せようとしているのだから、そう見えて当然なのですが。

 僕らの日常でも、そのような「見誤り」ってけっこうあるのだと思います。

 事件報道や芸能スキャンダルを見ても、マスコミの情報操作ひとつで、簡単に「この人悪い」と思ってしまう。人間って、どんだけ「他人を見る目」がないんだ。自分も含めて。

 この映画では「夫婦」という契りまで交わした相手でさえ、本性を見誤っていたという設定です。実際、そんなもんだったりします長年連れ添いながら相手にお互いに失望して離婚する夫婦もいれば、逆に、遊びのつもりだった不倫相手の中身に気づかないまま、大事な家庭を壊してしまい、最終的に両方失ってしまうとか。
 人間って愚かです。特に異性関係が絡むと、愚かさを最大限に発揮してしまうのが人間です。

 嘘の功罪

 とはいえ、人間にはそれぞれに欠点があります。もうどうしようもない欠点のひとつくらい、みんなあります。妻・ロビンにとって、サイモンの「人を蹴落としてでも自分がのし上がる」異常までの野心とか、他人への思いやりのなさとか、そんなことは、結婚生活までしていて知らなかったはずはないんです。それくらい許容していないとそもそも結婚まで至らないはず。

 彼女がどうしても許せなくなったのは「嘘」です。

 彼が根っからの嘘つきだったことに愛想を尽かしたのですね。
 嘘をつく側に自覚がない場合、30年間くらい騙され続けてもおかしくないですから。嘘とはそういう性質のものなので。

 嘘をつくことが常態化している人って確かにいます。そんな人は、何年たとうが、それによって他人がどうなろうが、決して自分のせいだとは思わない。あまりにも堂々としているから、周りも気づかないのです。

 しかし、最終的には「自分の利益のための嘘」が人を幸せにすることは少ない。幸せの定義にもよるけども。

 いろいろ、人生教訓らしきことが詰まった秀作です。