【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

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3分で映画『グリフターズ 詐欺師たち』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

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『グリフターズ 詐欺師たち』
原題:The Grifters
1990年 アメリカ
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジョン・キューザック、アネット・ベニング、アンジェリカ・ヒューストン
 おススメ度★★★☆☆(3/5)
 「詐欺師たちの騙しあい」と思いがちな題名ですが、中身は全然違います。かっこいいハードボイルドでもなく、ちょっと演劇的なブラックコメディです(作った人たちがそう意図していたかは知りませんが)。駄作と傑作の狭間にある作品ですが、個人的には面白かった。若いアネット・ベニングがチャーミング!

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あらすじ(ネタバレなし)

 競馬場に現れ馬券を購入する中年女性・リリー(アンジェリカ・ヒューストン)。バーで小銭を稼ぐロイ(ジョン・キューザック)。宝石店で店員に色気をふりまくマイラ(アネット・ベニング)。

 三人は詐欺師(というかイカサマ師)。

 ロイはホテルに長期滞在中。フロントに「女が訪ねてくる。よろしく。」と伝えて部屋に上がる。部屋で下腹部を抑えて苦しがるロイ。なにか持病が持っている様子。

 ロイ回想。ふらふらと遊んでいる若い頃、飲み屋でトランプを使ったイカサマを披露するオヤジに弟子入りする。オヤジに「イカサマ師は人と組むな。誰かがポカをやる。」と教えられる。  

 部屋に来たのは出会って二か月の彼女・マイラ。イチャイチャ。

 翌朝、今度はリリーが訪ねてくる。リリーは14歳でロイを産んだ母親だが、会うもは8年ぶりだった。「今でも馬をやってる」というリリーを警戒しながらも「ひさしぶりに会えて嬉しい」と言う。
 突然、具合が悪くなり救急車で運ばれるロイ。

 病院に見舞いに来るマイラ。リリーと会うが、ウマが合わないのか嫌味を言いあう二人。

 イカサマ師3人、男・母親・彼女の「三角関係」の物語。

ネタバレあらすじ

 退院が近づいたロイ。見舞いのマイラが帰り、入れ替わってやってきたリリーは「あんたに詐欺は無理。そんな根性がないからやめたほうがいい」と言う。ロイの世話をしているのは若い看護師キャロル。リリーが雇った看護士だった。リリーの前で「キャロル。どうして雇われたかわかる?俺と寝るためだ。マイラを遠ざけるため。」と言うロイ。リリーは、息子になにかしら特別な感情を持っているのか、マイラを嫌っていた。焼きもちに近い。

 自宅に戻ったマイラ。隣に住む大家のジョーに「家賃を払ってくれ」と言われ請求書を渡されるが、全裸でベッドに寝転がって誘惑。最初はあきれていたジョーも、我慢できずにヤッてしまう。

 ボーボーと会うリリー。ボーボーはリリーがノミ屋の売り上げをごまかして納めたことに立腹。リリーは「息子が入院してお金が必要になった」と言い訳するが、部屋に入るとリリーを殴り倒し、最後は馬乗りになって右手の甲に葉巻の火を押し付けるボーボー。手の甲に火傷を負ったリリー。ボーボーには「息子は堅気のセールスマン」と嘘を言った。

 列車に乗って旅行に行くロイとマイラ。ロイは列車の中でも水兵を相手に小銭を巻き上げる。レストランでロイに「私は大仕掛けのペテン師。」と言うマイラ。その筋では有名な男と組んでいたらしく「あんたの稼ぎなんてハシタ金よ。組んで大きいことやろう」と誘う。

 当時の武勇伝を語るマイラ。マイラは男のパートナーとしてカモ探しをする役目。男の手口は株や為替のインサイダー情報があると嘘をついて資金を騙し取っていたが、最終的に「スティング」まがいの大芝居を打って、相手を警察に駆け込ませない手口だった。
 が、ある日、男が精神を病んだことで、稼ぎ口を失くしていた。

 「今でもカモを釣る腕は一流よ」と自己アピール。
 
 ホテルで別の部屋に入る二人。「疲れちゃったの」とお預けにするマイラ。ロイは自分の部屋に入って「ペテン師はダメだ。こっちがカモられる」と警戒するが、直後、全裸のマイラが現れてメロメロ。

 翌朝、リリーのオフィスを訪ねるロイ。手を組むために来たのか。リリーは「まだ25歳でしょ。詐欺なんてやってるとそのうち痛い目にあうわよ。」と忠告するが「それでもいい」と言うロイ。「お互い、もっと素直になりたいわね」とリリー。

 ひとりで競馬場に行ったマイラは、双眼鏡で、リリーがいつものように大金を車の後部トランクに乗せている光景を見る。
 夜、「どうして競馬場へ行った?リリーに会うためか?」と聞くロイに「友人に彼女の正体を調べてもらった。」とマイラ。

 相変わらず「一緒に組もう」と誘うマイラだが、ロイは「誰とも組まない」と拒否する。「リリーと組んでるの?」と聞かれ「俺は17で家を出た。リリーの世話にはなったことはない。」と言う。

 大金をホテルの額縁の裏に隠していたロイ。マイラが現れ「最高のカモがみつかった。居ぬきで借りれる事務所もみつかった。お金も一万なら用意できる。あなたが二万用意して(手を組もう)」と誘うが「お金なんてない」「持ってるでしょ。知ってるわ」「誰とも組まない。」頑なに断るロイ。

 「イイ時代を取り戻したいの。相棒が欲しいの」と訴えるマイラ。

 「どうしてそこまで拒否するの?」と聞かれたロイは「君が恐ろしいからだ。君みたいな女を知っている。欲しいものは力ずくで手に入れる。だが永久には続かない。どこかでバチが当たる。巻き添えにはなりたくない。」

 マイラの態度が急変した。「わかった…。リリーね。母と息子で(できてるのね?)。もっと早く気付くべきだったわ。そうでしょ?」と迫る。逆ギレしてマイラを殴り倒し「出ていけ」と追い出すロイ。
 
 「話がある」とリリーに電話するロイ。嬉しそうな顔を見せるリリー。ロイは「母親に会うだけだ」と自分に言い聞かせるように独り言。
 リリーに関係者から電話がかかってくる。「誰かがタレこんだ。あんたが車に大金を隠していると。ボーボーにバレた。やばい。」
 部屋を飛び出すリリー。事情を知らず待ちぼうけをくらうロイ。

 モーテルに隠れるリリー。追ってマイラも同じモーテルに。ベッドに寝るリリー。マイラはカバンから合鍵の束を取り出し、ガウンを着ると、部屋を間違えたたフリをしてリリーの部屋に侵入。寝ているリリーに馬乗りになり、首を絞める。

 警察に呼ばれるロイ。殺されたリリーの本人確認のためだ。モーテルの部屋で自分の口から拳銃を差し込んで自殺したと聞かされる。そのため顔は原型をとどめていないが、確認してくれと。
 遺体と対面するロイだが、遺体の右手に、リリーがボーボーにつけられた葉巻の火傷がないことに気づく。しかし、警察には「母親だ。間違いない」と告げ、笑みを浮かべながら警察を後にする。

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 遺体はマイラだった。ベッドで首を絞められたリリーが拳銃で反撃して殺したのだった。

 リリーはマイラの服を着てロイの部屋に戻った。部屋の額縁から大金を発見したとき、ロイが入ってくる。「ボーボーと警察から逃げるためにお金が必要なのよ。(自分は死んだので)これでやっとマトモな暮らしができる」と言うリリー。
 冷たくあしらうロイ。「じゃマトモに就職しろ」と言われ「就職なんてしたことないわよ」と言い返すリリー。「俺も足を洗う。考え直せ」と、おカネを渡そうとしないロイ。
 
 「一杯飲む?」と誘うリリー。ふたつ作ったグラスを「選びなさい」と渡しながら「生きるって大変なのよ。」と言うリリー。
 
 「私も子供だったから大変だった。二度、命をあげたわ。今度はあなたが私を助けて。お金が必要なの」と頼むが「やめてくれ」と嫌がるロイ。

「ワルをやってたら私の歳まで生きられないわ」「あー堅気になる」「じゃお金はいらないじゃない、私にちょうだいよ。」と、めちゃめちゃな会話になってくる。

 「ロイ。私が母親じゃなかったら?わかってるわよ」といきなり誘惑しだすリリー。キスをする。動揺するロイ。
 
 落ち着こうとグラスワインを飲みはじめたロイ。と、リリーが大金の入ったカバンを持ち上げたとき、誤ってロイにぶつかる、グラスが割れ、破片がロイの首筋をかっきった。血を流し絶命するロイ。
 
 泣き叫ぶリリーだったが、血まみれの札をカバンにつめこみ、逃げていく。

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つまりこういう映画(語りポイント)

 ちょっと演劇っぽい映画です。普通にハードボイルドだと思って観ていると「あれ?」となるはず。決して「詐欺師たちが腕を競いあうエンターテイメント」ではない。

 設定上は、悪い世界にはまって抜け出せなくなっている人たちの葛藤を描いていて「欲とカネばかり追いかけた人間たちの末路」といった結末にたどり着いています。それも間違いなく、わかりやすい映画のテーマではある。

 ただ、設定を忘れて彼らの会話を聞いていると、詐欺師などという特別な設定に限らない、すべての人間に当てはまる「生きること」という問いかけが聞こえてくる。

 マイラが、しきりにロイと手を組みたがり「良かった時代に戻りたいのよ。相棒が欲しいの。」と訴え、ロイが「君という人間が恐ろしいんだ」とビビるくだりなどは、まるで、男女の恋愛話に聞こえなくもない。

 マイラが本当に求めているものは、お金や良い生活や、そんなものではなく(それも欲しいだろうけども)、彼女の願望の本質は「楽しかった日々」「今は失くしたあの頃のような日々」にある。充実して楽しかった日々に戻りたいだけなのでしょう。

 ところで、マイラ役のアネット・ベニング(当時30代前半)が、めちゃチャーミング。アネット・ベニングの印象は、ものすごく真面目な女優さん。悪い意味のセレブ臭がなく、純粋にお芝居が好きな人だと想像していました。歳を重ねてからも「可愛いおばさん」が似合う人ですが、こんなチャーミングな頃があったんだな~という感想。

 母親リリーは「ひたすらお金と欲に生きた人」の完成形のような役割。息子さえ色仕掛けで騙そうとするところは、母親としての純粋な気持ちさえ、目の前の「事情」の前では後に回されてしまうというミもフタもない展開。そんなリリーが最後に生き残り、血まみれのお金を抱えて逃げるラストシーンは「それで彼女は本当に幸せなのだろうか」というブラックな皮肉に見えた。

 ジャングルで獲物を捕食しながら「ただ生きるために生きている」動物たちを連想する。それは「生きるってなに?」という問いかけ。

 一応、主人公であるロイ(ジョン・キューザック)の考え方や生き方が、一番、中途半端で一貫性がないのですが、「そんな生き方をしてたら長生きしないわよ」とずっと忠告していた母親自身の手で殺されてしまうドジ加減にも、けっこうなブラックさがある。

 近親相姦っぽい設定も、それそのものを言いたかったわけではなく、あくまで「絆」の比喩だと解釈しています。最も堅いはずの絆まで、欲の前では吹き飛んでしまう、と。

 つまり「悪い奴らのイキザマを描いた(かっこいい)ハードボイルド」と思って観るから、いろいろ変なわけで、最初から「これはブラック・コメディ」と思って最後まで観ると、なかなかに味のある面白い映画だと思うのです、これ。