【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『モスキートマン』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『モスキートマン』
原題:sucker
2012年 アメリカ
監督:マイケル・マナッセリ
出演:マイケル・マナッセリ、モンティ・ベイン、ジョーダン・トロヴィ、リッキー・ウェイン、ダニー・ムーニー、ロイド・カウフマン、キンバリー・ケイツ
 おススメ度★★★☆☆(3/5)
 シリアスでダークな雰囲気にしときながら、ところどころ全力でフザけているのが良い。その分、正統派のダークヒーローが好きな人には物足りないかも。僕は面白かったです。「蚊の能力を手に入れた男」…蚊の能力ってなによ。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 冒頭、夜道で強盗に追われる女性・エブリン。絶体絶命のピンチを救い、二人の強盗を殺したのはおぞましい顔をしたモスキートマン。声を聞いて「ジム!」と呼ぶエブリン。ジムが去った後、パトカーが到着。

 検死。遺体からは血がすべて吸い取られていた。「吸血鬼か?」と言うシャナハン刑事に検死官は「いえ、吸血鬼なら穴2個つくはず。これは1つだから違う。」「穴がひとつ…蚊だ!」

 場面はその日の朝に戻る。 

 全米に、危険な蚊のウイルスが流行していた。殺虫剤は売り切れ続出。

 研究所に勤めるジムは真面目に勤務していたが、長年うだつが上がらない。出世の見込みもない。妻は彼をバカにして他の男と浮気していた。そんな中、若い女性エブリンはジムを気にしてくれる仲の良い友達だった。、
 ある日、ジムは所長に呼び出され解雇を告げられます。ジムの代わりにダンという優秀な男を雇うという。ロッカーを整理し帰ろうとしても、駐車場の警備係が「もう社員ではない。お前はクズだ。」と車をレッカー移動させてしまっていた。

 妻の浮気相手は、解雇の原因となったダンだった。ヤケクソになり、雨の中でわめいていると、その様子を心配したようにデイブという男が声をかけてきた。デイブはジムをバーに連れていき、愚痴を聞いてやりながら酒を驕った。ジムが酔いつぶれ、マスターが「タクシーを呼びましょうか?」と言うが、デイブは「いい。俺が送っていくから。」と言う。

 デイブが泥酔したジムを連れて行ったのは、デイブが勤める研究所だった。デイブは蚊のワクチンを研究開発していて、完成間近のワクチンの人体実験をしたがっていた。失敗すると世間の風当たりが強いから極秘にやりたいと。成功すれば大金持ちになれると、共同研究者のバリーを巻き込んでジムに注射を打つ。

 ワクチンは失敗品で、ジムはモスキートマンに変身してしまう。

▼以下ネタバレ▼

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ネタバレあらすじ

 モスキートマンになったジムは、帰宅し、寝室でアイマスクをして寝転がっている妻に声をかける。ジムのおそまじい姿が見えていない妻は「なに?やりたいの?仕方ないわね、さっと済ませてね。」と、アイマスクをしたまま股を広げる。ジムはその股間に思い切り図太い針をぶちこみ、血を吸う。

 シャナハン刑事は事件解明のために、蚊の専門家としてデイブを呼んだ。そこにジムの妻が殺さられたとの連絡が入る。刑事たちは現場に急行する。遺体を見たデイブは「蚊だとしたら、大人の男くらい大きさだ。」と説明する。デイブは内心、自分の実験のせいでジムが蚊男になっているのでは?と気づきはじめていた。

 ジムは、保管所の警備員を脅して自分の車を取り返し去っていった。通報でやってきたシャナハン刑事たちは、監視カメラの映像に、おぞましい顔の男が写っているのを確認する。その頃、ジムは会社の駐車場に行き、自分を罵倒した警備員を殺していた。

 シャナハン刑事らとデイブは、ジムの車を見つけて追走する。追いつめられて車から出たジムは、両手を広げて蚊の大群を呼び寄せる。ジムは近づいたシャナハンに「すまん。空腹なんだ。」と行って飛び立った。
 
 シャナハンは「俺を殺そうと思えば殺せた。あいつは殺人鬼ではない。ただ空腹なんだ。そして、空腹を満たすためにも、過去に自分を蔑んだ奴らに復讐しているんだ。」と分析する。そしてデイブに「蚊が満腹になったら、次は何をする?」と聞くと、デイブは「交尾する」と答える。

 エブリンは、浴室で全裸でギターを弾いていた。

 そこに侵入して襲い掛かった…ように見えたが、そうではなく、二人は愛し合っていたようだ。「よかったわ」と嬉しそうな顔をするエブリン。エブリンはジムのことを前から好きだった。「外見は関係ない。愛してる」と言う。ジムは、デイブにワクチンを打たれたことを覚えておらず「ただ、親切な人と飲んでいて、酔ってしまい、気がついたらこうなってた。」と説明する。

 ジムが恨みを持つ人間が危ないとなり、クビにした所長の家に警備員を配備するが、所長はジムに血を吸われて真っ白になる。妻の浮気相手のダンもやられた、

 デイブは「次は俺だ」と思い、エブリンを誘拐し研究所に監禁、ベッドにエブリンを縛り付けたデイブは、注射器の針が首筋に近づいていく装置を設置し、コントロールルームに籠城する。

 かけつけたシャナハン刑事たちに蚊の大群を浴びせる。ジムが現れ、蚊の大群を制御しながら、エブリンも助けようとするが、両方同時は厳しい。さらにデイブは、ジムとエブリンの間に「電気虫取り器」を作動させる。ピンチだったが、シャナハンとエブリンを助けるジム。

 デイブは屋上に逃げる。追いつめるジムたち。デイブはジムに向かって「助けてやる。人間に戻せるのは俺だけだ。俺を殺したら元に戻れなくなるぞ。」と言い、エブリンも「ジム。お願い(人間に戻るのよ)。」と声をかけるが、ジムは「もう戻れない。殺人の記憶は消せない。」と言うと、デイブを階下に落とし、どこかに消えた。

 8か月後。エブリンはジムの子供を宿っていた。笑顔で、大きくなったお腹をさするエブリンの周りに蚊が寄ってくる。一匹の蚊が、愛おしそうにおへそのあたりを飛んでいる。

 ジムは完全に蚊になっていた。

つまりこういう映画(語りポイント)

 画面も暗め、いかにもシリアスなダークヒーロー物の雰囲気。そのつもりで観ているうち、ところどころ笑いをとるセリフが…。やがて「あ~、この人たち。全力でふざけようとしてるんだ。」と気付く。

 冒頭の「吸血鬼なら穴はふたつ。穴ひとつは…蚊だ!」から兆候はあったのですが、「満腹になったら…次は交尾だ。」あたりで「うん、こいつらふざけてる」と確信できる。最後の「電気蚊取り器」のくだりに至っては完全にコント。

 最初からコメディ色を前面に出してのお笑いより、ダークヒーロー物のパロディにもなるので、笑いの取り方としては賢くセンスが良い。

 「ヒロインが浴室で全裸でギターを弾いてる」なんて、さりげないところもツボで、なんで全裸でギターなんだよ、とか、エッチしたあとに「外見なんて関係ないっ」って「いや、あの外見はさすがに関係あるでしょ」とか。エブリンちゃんのボケ具合がそもそも「ダークヒーロー物のヒロインのパロディ」になっていてナイス。 

 その分、正当派のダークヒーローやホラーが好きな人には、きっと評判が悪そう。そりゃ、設定もユルユルだし、突っ込みどころ満載だし、シッカリと辻褄の合う物語を期待する人にとっては、なんだよこれ?です。

 とはいえ、主人公が単なる殺人鬼ではなく恨みのある人間だけを殺していく設定や、最後「殺人の記憶は消えないから」という理由で人間に戻ることを拒否するところなどは、ちゃんと行動原理にかなっているし、決して「わけわからないハチャメチャさ」ではなく、不条理でもない。

 一点、モスキートマンの造形を、もうちょっとオリジナリティあるものにできなかったのかな?と感じます。

 人間と虫との遺伝子結合は、だいたいこの映画のような「ドロドロのお顔」的な造形でイメージが固まっちゃってますが、蚊なんだから、もっと「蚊」にして欲しかった。

 1958年の「蠅男の恐怖」が、1986年に「ザ・フライ」としてリメイクされた時にも造形でガッカリしました。

 ▼「蠅男の恐怖」のときのハエ男

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 やっぱりこれでしょう。ハエ男というからには。

 同じく、モスキートマンというからには「思いっきり蚊」の造形であって欲しかった。いや、リアリティとかどうでもいいです。そのほうが笑えるというだけ。笑えりゃいいのか。

 ところで、劇中に固有名詞としての「モスキートマン」という言い方は出てきません。原題とも関係がないです。日本向けにわかりやすくしたのでしょうが、そこも賛否ありそう。