【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『モンスター(2003)』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『モンスター』
原題:Monster
2003年 アメリカ
監督:バティ・ジェンキンス
出演:シャーリーズ・セロン、クリスティーナ・リッチ、ブルース・ダーン、アニー・コリー

 おススメ度 ★★★☆☆(3/5)

 実在の女死刑囚アイリーン・ウォーノスになりきるために、シャーリーズ・セロンが脅威の逆ダイエットで別人の風貌になったことで有名な映画。恐ろしい女優魂。個人的には大好きな映画なのですが、一般的には、シャーリーの変貌と、ぽっちゃぽちゃのクリスティーナ・リッチ。女優二人以外にさほどの見どころはない。ただ、シャーリーのものすごい芝居を見るだけでも充分に価値はある。とにかく凄い!の一言。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 実在した連続殺人犯ウォーリン・アイノスと、同性愛者のセルビー。ふたりの女性の愛憎劇。

 1986年、フロリダ。ヒッチハイクをしながら男に身体を売る生活に疲れ果て、自殺する覚悟を固めたアイリーン・ウォーノス。有り金の5ドルを使い果たそうと飛び込んだバーで、彼女は一人の女性セルビーと運命的な出会いを果たす。同性愛の治療を強制されフロリダにやってきたセルビーもまた自分と同じように社会からの疎外感を抱いて生きていた。初めて自分を偏見なく受け入れてくれる人物と出会ったと感じたアイリーンは、“一緒に暮らそう”と提案する。しかしそのためにお金が必要になった彼女は、再び客を取るため道路脇に立つのだったが…。(allcinema) 

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 アイリーンは、セルビーと一緒に暮らすために再び売春で客をとることにするが、そもそもそんな生活に疲れ果て自殺まで考えていた世界に戻ることは容易ではなく、相手の男を殺してしまう。
 思い直して普通の仕事に就こうとするも、当然のごとく勤まらない。追いつめられたアイリーンは、最初から意図的に、売春を装い相手を殺して金銭を奪うようになってしまう。もはや連続殺人犯となったアイリーン。
 ある日、客として来た警察官を殺してしまい追われる身となる。セルビーの身を案じたアイリーンは、彼女に今まで稼いだカネを渡して逃がす。
 その後、逮捕され、拘置所にセルビーから電話がかかってくるが、どうも様子がおかしい。どうやらセルビーの背後で警察が盗聴していことに気づくアイリーン。渡したお金のことを知らないと嘘をつくセルビーに話を合わせ、罪をすべて被りセルビーの立場を守る。

 セルビーは完全に保身に走っていた。アイリーンとの関係も嘘の証言を交え、自信の罪を逃れる。裁判に出頭し「犯人は?」と聞かれアイリーンを指差す。
 状況を把握したアイリーンは悲しそうな顔をする。自分がその身を捧げて愛そうとした対象に裏切られ、生きる意味も、気力も、今度こそ完全に喪失したアイリーンは、最後の最後まで「ふざけんな」と悪態をつきながら死刑場に歩を進めた。

つまりこんな映画(語りポイント)

 事実の基づくストーリー。連続殺人鬼として死刑となったアイリーン・ウォーノスは実際に有名人で、その顔写真も広く出回っている。

 その醜い風貌に似せるため、シャーリーズ・セロンが逆ダイエットで14kg増量、ほとんど別人の風貌になったことは有名。翌年のオスカー授賞式には、ダイエットに成功し、すっかり元の美貌で登壇したというから驚き。

 W主演といえるセルビー役は「ブラック・スネーク・モーン」「バッファロー66」のクリスティーナ・リッチ。二人の出会いのシーンは泣ける。
彼女と彼女がスケート場で初めてキスをする。ジャーニーの「Don't Stop Believing」が流れる。そこ最高です。

 アイリーンもセルビーも、幼少期からワケアリだったらしく、精神的に苦しんで生きてきた様子がうかがえる。

 諸悪の根源は、複雑な家庭環境が生み出す「愛情の欠如」である場合が多い。

 愛情の欠如によって壊れてしまっている人が、愛情の代替として求めるのは、社会的成功、対外的評価。心の中では愛情を渇望しているのに、心の歪みから本当は大切なことを否定、他者に対して罪を重ねる。罪に対する後悔、コンプレックスとプライド、負のスパイラル…。劇中、シャーリー演じるアイリーンは、そんな痛みを、全身で、ノーガードで受けまくるサンドバックのような役割。
 でも、愛情の欠損は、愛情でしか補えない。そこで不幸が生まれる。

 不幸は、社会的立場や経済的状況とは別の次元にある。また、それらを救うのは「愛情」でしかない。愛情を注ぐ幸せ、愛情を受ける幸せ、結局、人間に必要なものはそれだけなのかも知れない。

 愛にとことん見放された主人公を描くことで逆説的に「愛が大事」を訴える映画

ちなみに、シャーリーズ・セロンは私生活でもワケアリの人生だったようで…、

 シャーリーが15歳の時のエピソード。
「母親が、アル中の父親を銃で撃ち殺したのを、目の前で見た」あかんやん。

 彼女のかっとんだ感覚は、幼少のころのトラウマや壮絶な体験から生まれたと思えば、不幸体験を成功に転嫁させた稀有な例といえる。

 エンディングでもう一度流れる「Don't Stop Believing」でいつも泣きます。