基本データ・おススメ度
『愛の監獄』
原題:Eperdument/Down by love
2015年 フランス
監督:ピエール・ゴドー
出演:アデル・エグザルコプロス、ギョーム・ガリエンヌ、マリー・リヴィエール
おススメ度
普通のひと=☆☆☆☆☆(0/5)
アデル好き=★★★★★(5/5)
「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロス主演のセクシー映画。アデルの若い魅力は全開ですが、映画自体は、アホな中年刑務所長が立場を利用して若い女囚と不倫、パワハラ&セクハラするだけのお話。わりと虫唾が走る。彼女には、なんとかこのテの路線から脱して大成してほしいと個人的に…。
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◆目次
あらすじ(ネタバレなし)
刑務所へ移送されてきたアンナ(アデル・エルザルコプロス)は、気にいらないと先輩女囚にも殴りかかるなど、気の強さを発揮してすぐに騒ぎを起こす。中年の所長・ジャンは、妻子と幸せな家庭を築いていたが、アンヌの若さと色気に目がくらむ。
色目を使われたジャンは「フランス初の試み」などとわけのわからない理由をつけ、アンヌに特別室で勤務させるをなど、立場を利用して優遇をはじめる。アンナと反りの合わない女囚からの直訴で、一旦はアンナを別の刑務所へ移すと決めたジャンだったが、軽くおっぱいを見せられた途端、アンナを残し直訴してきたほうの女を他の刑務所へ送って恨まれる。
二人の関係は、やがて、刑務所内でどんどん噂になっていき…。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
ジャンは立場を利用して、やたらアンナと二人きりになれるように仕向けエッチしまくる。やがて、囚人たち、刑務官たち、さらには面会に来たアンナの母にまで関係を見透かされる。
刑務所内では外部からの物品の購入がある程度認められていたがアンナが、他の囚人たちと共有の携帯電話を持っていてることを知り、いきなりビビる。家庭でも、妻にもバレバレで、娘をアンナと呼び間違えてしまったり、家族と食事中に思い切りアンナとlineをやってるわ。ユルユル。
ついに堪忍袋の緒が切れた刑務所側に事情を聞かれるが、逆ギレでごまかすジャン。しかし、アンナは別の刑務所に移され、ジャンは休暇を取った。
暇になったのをいいことに、アンナのいる刑務所に面会に行くジャン。外出日にはホテルでデート。しかし、その様子は警察に捜査されていた。ホテルの近くで購入した彼女用の携帯電話のシムが違法なものだったのか、盗品を購入して囚人に与えたという容疑で逮捕されてしまう。
妻は「若い女に利用されて、それで家庭もすべて壊す気?」と責められる。ビビりまくりのパワハラ不倫男。
アンナが妊娠した。先輩女囚に相談するアンナ。相手はジャンしかありえない。先輩は、次の外出日には違う男とデートしろとアドバイスする。彼の子供を産みたいのか?と聞かれ、複雑な表情を浮かべながらもNOと答えるアンナ。
刑務所員は、ジャンのこれまでの仕事っぷりを認めつつ「彼女に誘惑されたことにするんだ。そうすれば職は失わないで済む」と進言するが、聞く耳を持たない不倫オヤジは仕事を辞める。
アンナの外出日、警察が見張っていることもわかっているのにあからさまにアンナを迎えにきてキスをしようとする不倫野郎。しかし、アンナは他の若い男と連れ添って出かけてしまう。アンナは若い男にジャンのことを「友達」と言う。すがりつくが男に邪魔されてしまうオヤジ。
アンナは男に連れ添われ、中絶手術に向かった。
一年後、すべてを失ったジャンは裁判所にいた。入ってきた訴訟相手はアンナ。しかし、ふと目があった二人はなぜか笑いあう。
つまりこういう映画(語りポイント)
俳優(女優)が売れるためには、なにかしらのレッテルが必要。「この役ならあの人」というファーストイメージがつかないと、売れることは難しい。
そういう意味で『アデル、ブルーは熱い色』で、大胆な体当たり演技を絶賛されパルムドールに輝いたアデル・エグザルコプロスに、このテのセクシー系の役がまわってくるのも、ある程度は仕方のないこと。ただ、それにしても…。「アデル~」が芸術性の高い名作だったからこそ、この映画の低クオリティさは悲しくなる。そりゃ、彼女の裸がガンガン出てくるのはファンとしては嬉しいですけども。
アデルには、ぜひこのレベルから抜け出して女優として大成して欲しいです。
映画の内容としては…、
フランスの刑務所が本当にこんなにユルユルなのかどうか知らないですが、アデルは常に私服で、しかも毎回違うカラフルな服装。そこに生活感はなく、いかにも新しく買ってきたばかりの衣装を着ていて、とても刑務所で生活しているように見えない。ここが刑務所であるという厳しさや辛さは描かれず、刑務所内のあっちゃこっちゃで、所長と普通にエッチしたりイチャイチャします。リアリティ・ゼロ。
まるで、全寮制の女子高を舞台にした、先生と生徒の不倫みたい。
いやいやフランスの女子刑務所ってこうなんよって言われたらゴメンナサイですが。
中年不倫男・ジャンは、刑務所内で追及されたら「俺は所長だ」と逆ギレする様子や、家庭に戻ったら妻の冷ややかな視線にヒヤヒヤする小心ぶりから、ずっと温室で育ってきたオボッチャンで、ナルシスト、あまり思慮深い人ではないと推測できる。もちろんそれは脚本の狙い。
計算高い中年男が立場を利用して若い女囚を弄ぶ…なんて構図になってしまうとそれじゃ誰も共感できない映画になってしまうので、ジャンを「根は子供のように純真な人」にする必要があったのでしょう。対して、若いアンナのほうが、むしろジャンを利用して刑務所内で優遇されるように仕向けたとも見えるようにしてある。
実際のアンナの心境はわかりませんが、愛と打算でいえば、打算のほうが大きかったのではないか。とか言ったところで、そもそも愛も打算も同じようなものだから、セットでついてくるものだから、どっち?と考えても意味はないか。両方。
ハートウォーミング派は「二人の愛は本物だった」という着地に持っていきたいだろうけども、ここは「打算だった」のほうがリアルだし切なく、個人的には好み。あとはこれも個人的に、不倫そのものはさておき、そこに上司と部下などのパワハラ要素が絡むと、途端に虫唾が走る。
映画の構図としては、中年男がおカネや立場を若い女に貢ぎまくるんだけど、最後には、一段階成長して、ほぼ自動的にしたたかさを身に着けてきた女に男のほうがボロボロにされる…という定番のパターンではある。日本映画でも「化身」とかありましたね、それ。
若さという罪、男であるという罪、性欲、愛、裏切り、打算…いろんな「罪」の映画ということになる。
ひどい映画だけど、アデル・エグザルコプロスが大好きなのでまぁいいや。エグザルコプロスって覚えにくい。
▼もはや説明不要のアデルの出世作。
▼さらにひどい「自己中男の不倫物語」ならコレ。ペネロペ・クルス!