【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『チェリー2000』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『チェリー2000』
原題:Cherry2000
1986年 アメリカ
監督:スティーヴ・ディ・ジャーナット
出演:デイヴィッド・アンドリューズ、メラニー・グリフィス、パメラ・ギドリー、ティム・トマースン、ベン・ジョンスン、キャメロン・ミルザー
 おススメ度★★☆☆☆(2/5)
 お気楽低予算B級アクション。1986年製作⇒2017年の近未来という設定ながら、未来考察どころか逆に70年代に逆行しちゃってるようなチープさが最高の一品。ラブ・アンドロイドと同棲していたマジメな男が、壊れてしまったチェリーちゃんを再び手に入れるために、無法地帯と化した荒野に乗り込んで荒くれ者たちと戦う!……うん、がんばれ。

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◆目次

 あらすじ(ネタバレなし)

 普通のサラリーマン・サムは、ラブ・アンドロイドのチェリーと暮らしていた。チェリーの見た目はまるで人間で、帰宅すると妻や彼女のように出迎えてくれる最高のパートナー。

 彼女に求められイチャイチャしていたサムだが、食器洗い機から噴き出した泡も気にせずに事に励んでいる最中、突然、チェリーがショートし止まってしまう。

 ロボット修理屋さんへ相談に行くと「水がダメだったな。もう壊れていてダメだ、これは。」と言われ、チェリーの耳の後ろからチップ(SIM)を取り出し「この中に性格や記憶が入っているから大事にな。」と渡される。2017年現在、チェリー型のような精巧なロボットは生産中止になっていて入手不可能だと言われる。他のアンドロイドを薦められるが、時代とともにセックスに特化していったようで、チェリー型のような製品はなかった。

 自宅に戻り、動かないチェリーの横で店員の言葉を思い出していた。「7区の回収屋ジョンソンのところへ行け。チェリー型があるかも知れない。グローリーホールへ行けば会える。」7区は無法地帯、危ない連中しかいない、危険なところだった。銃を用意し支度をするサム。

 車を飛ばし7区の手前の町まで行くサム。周りはほとんど荒野。

 サムは、街に「回収屋ジョンソン」の看板をみつけ訪ねる。室内に入ると女性のジョンソン(メラニー・グリフィス)がいた。「間違いだった」と去ろうとするが、女はサムを縄で捕まえ「私は7区生まれでガイドができ腕がいい。」とアピールし「何が望み?」と聞く、チェリー2000を持ち出して欲しいと告げ、報酬額を提示すると、女は服を着替え始め「7区で昼間に動くのは自殺行為よ。」「人形倉庫は通称・墓場と呼ばれる危険地帯にある。ひとりじゃ無理」とサムも一緒に来いと言う。サムは断って部屋を出る。

 他の回収屋に頼もうとバーへ行くが、お目当ての男「6本指のジェイク」はすでに死んでしまったと知らされる。他の回収屋二人組に売りこみされるが、その話は嘘で、路地裏で危うく殺されそうになるサム。

 サムはジョンソンのところへ戻り「気が変わった。やっぱり頼みたい」と言う。さっそく車に乗り込んで出発する二人。サムにヘルメットを被せ「気をつけて。撃たれるから。」というと、アクセルをふかし、監視員を銃撃しながらバリケードを突破するジョンソン。

 ラブ・アンドロイド、チェリーちゃんを探す旅に出発したサムと赤毛の女・ジョンソン。彼らは無事にチェリーちゃんをみつけられるのか。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 人形倉庫は、今や砂漠に埋もれた元・ラスベガスのカジノ内にあるという。地図をみせ状況を説明したジョンソンは「少し眠る」と車の中で睡眠に入る。サムはチェリーのSIMをレコーダーに入れ、チェリーの声を聴いて癒されている。それを見て呆れているジョンソン。

 「歩き回るな」というジョンソンの指示を無視して、崖の向こうで7区の独裁者・レスターたちが誰かを殺している光景を目撃するサム。「歩き回るなっていったでしょ。」とジョンソン。仕方なく2人は回り道することに。

 2人の車が7区に入ったことがレスターたちにバレる。レスターは「許可してない。殺せ。」と部下に指示を出す。人形倉庫を管理しているレスターは、回収屋を目の敵にしていた。
 
 捕まりそうになる二人だが、ジョンソンはバズーカを持ち出し手りゅう弾を投げ、部下たちをなぎ倒す。さらに巨大な排水溝を抜け、その先で待っていたジョンソンの仲間のオヤジと合流する。「よく来たな」と抱き合うオヤジとジョンソン。

 洞窟の中、オヤジの隠れ家。大量のアンティーク品が置いてある。オヤジに「都会の女ってどんな感じ?」と聞くジョンソン。オヤジから「クラブで商談する。汚いもんさ。お前にはできない。」と言われるジョンソン。サムを指し「あの男はどうだ?」と聞かれるが「お客よ。」と答える。

 オヤジは、バーで噂になっていた回収屋「六本指のジェイク」だった。死んだという噂は目立たないようにするためだった。「お前らの目的は?」と聞かれ、ジョンソンが「彼のセックスロボットよ。前のを使いすぎて壊れたらしいわ。」と言うと「そうじゃない。ちゃんと会話ができたんだ。」と怒るサム。「しょせんロボットじゃない。」「チェリーとはロマンスがあったんだ。」と言い張るサムに、怒ったようにその場を離れてしまうジョンソン。

 「7区で昼間に動くのは自殺と同じ」昼は釣りをしたり、ゆっくり過ごす三人。

 夜、倉庫に侵入しようとする三人。部下たちに襲われ、気を失うサム。

 翌朝、サムが目を覚ますと見知らぬプールサイド。セクシーな女がたくさんいる。「エレーヌじゃないか。」その中に知り合いの女がいた。「元気そうね。私、ジンジャーって名前に変えたの。」。「仲間と一緒に襲われた」とサムが言うと「生き残ってるのは貴方だけみたい。」と、レスターを紹介する。笑顔で現れるレスター。サムはレスターの村に連れてこられていた。サムの素性はレスターにバレてはいないようだ。

 ジョンソンの車が回収されてくるが、中に人はいない。
 
 夜、レスターの食事会、サムは「こういうの知ってるか」とチェリーの写真を見せられるが、知らないフリをする。レスターは「ボディはたくさんあるんだが、肝心のチップがない。味は最高なんだがな、惜しい。」と笑う。そして、サムと同じように負傷しているところを連れてこられた男が回収屋だとバレてその場で処刑される光景を見る。素性がバレたらヤバい、ということだ。

 エレーヌから「あなたはレスターに気に入られている。」と言われるが「あんなの殺人鬼だ」と言う。「ここから逃げたい」というサムに「鉄条網が張られている。外は地雷だらけ。ここで幸せになることを考えなさい」と忠告される。

 

 夜中、村を抜け出そうと外に出るサム。部下にみつかりそうになるが、そこにジョンソンとジェイクが来る。「すぐに行こう」と言うジョンソンを待たせ、サムは村の入口に灯油を撒き、村を炎上させる。あわてるレスターたち。車を飛ばすサムとジョンソン。ジェイクは「また会おう」と言い残し一旦どこかに消えた。

 車の中、落ち込んでいるサム。チェリーのチップを失くしたという。これでもうボディを手に入れても意味がない。ジョンソンは「お金は返すから町へ帰ろう。」と言うが「お金の問題じゃない。」と答える。

 レスターは部下にサムたちを追うよう指示し「ただし、俺が行くまでは殺すな」と言う。

 成り行きから、ジョンソンにキスをするサム。ジョンソンも愛撫に応え、エッチなことが始まる。ジョンソンのズボンの後ろポケットにチェリーのチップ入りのレコーダーが差してあるのもが見える。良い雰囲気までいったところでレコーダーのスイッチが作動してしまいチェリーの声がする。チップはジョンソンが拾っていたのだ。

 「どうして隠してた?チェリーは嘘つかないぞ。」と責めるサムに「機械だからでしょ。」と答えるジョンソン。

 レスターの部下が追いついてきた。迎撃するジョンソンとサム。「気分がなおったわ。さぁ行きましょ」というジョンソン。「どこへ?」「ロボットの回収。そっち(ロボット)のほうがいいんでしょ?」

 荒野で、別の回収屋の拠点をみつけ侵入するジョンソンとサム。銃を向けあうが、そこにジェイクが来る。回収屋はジェイクの知り合いトムだった。

 ポンコツのセスナをみつけ修理しようとするジョンソン。「そんなの飛ばない。やめとけ」と止めるサムだが、ジョンソンは聞かず、車の部品を移植しつつ修理を続ける。

 トムの元にレスターから無線が入る。「牧場に放火して逃げた奴らがいる。来たら教えてくれ。」すかさず、トムの相棒の若い女が「そいつらここにいるよ。」と言ってしまう。トム達はレスターの手下だったが、サムたちは気づいていない。

 ジェイクがサムに聞く。「死ぬのが怖いか?」「わからない」と答えるサムに、ジェイクは「俺の考えじゃ、死ぬってことは自然の一部になるってことだ。例えば、風。一陣の嵐。時々悟った気になるが、他の時は何が何だかさっぱりわからんよ。」と語る。

 飛行機の修理ができた。走り出すセスナ。しかし、レスターたちがこっちへ向かってきた。裏切ったトムがジェイクを撃つ。ジェイクは殺されてしまった。ジョンソンの操縦するセスナに飛び乗るサム。

 セスナの上で、ジェイクが殺されたことをジョンソンに知らせるサム。

 トムのところにレスターたちが来る。「どうして逃がした?」と言うレスターに「あのセスナがなおるとは思わなかった。でも、ひとりは殺しておいたぜ。」と言うトムだが「殺すなといったはずだ。」と逆に怒りを買い、若い女は撃ち殺されてしまう。

 セスナの上「もうあきらめて帰ろう」と提案するサムに「仕事を途中でやめれないわ。ジェイクにも悪い。」と言うジョンソン。

 元ラスベガスのあった場所に着陸する。カジノの看板も建物も半分以上が砂に埋まっている。崩壊した建物内に侵入するサムとジョンソン。人形倉庫だ。チェリー型のボディを探しはじめる。レスターたちも後を追ってきた。

 ついにチェリー型をみつけたサム。チップを挿入されたチェリー2000は「はい、ハニー」と喋りだす。抱き合うサムとチェリー。それを見て複雑な表情のジョンソン。

 そこにレスターたちが入ってくる。倉庫内での銃撃戦。チェリーを加えた三人で逃げながら応戦。必死に逃げる二人だが、チェリーは呑気に笑いながら逃げている。

 外にでたサムはレスターを銃撃。レスターがひるんだ隙にセスナに乗って飛び立とうとする三人だが、重すぎて飛び立てない。ジョンソンは「飛び降りるわ。仕事は終わったから」と言うとセスナから飛び降りる。

 「やった。飛んだぞ!」と後部座席を振り返ったサム。そこにはチェリーが笑っていたが、サムは、ジョンソンがいないことに愕然とする。下を見ると、ジョンソンが砂漠を走っている。

 「回収屋だ、殺せ!」。ジョンソンを銃撃するレスターたち。

 後部座席から「愛してる」とささやくチェリーだがサムは浮かぬ顔。そして、セスナを旋回させてジョンソンを助けに戻る。チェリーに「コーラを買ってきてくれ」と言ってセスナから降ろすと、ジョンソンを乗せて飛び立つ。レスタ―は建物から落下して死んだ。

 「大事なチェリーは?」「あれはロボットさ。」キスをする二人。

 

つまりこういう映画(語りポイント)

 1986年製作⇒2017年の近未来…って。「ブレードランナー」が1982年⇒2019年。「バック・トゥ・ザ・フューチャーpartⅡ」が1989年⇒2015年。80年代にとっての近未来とは概ね30年後という認識だったのか、単に30年後という設定は、いろいろ想定しやすいからなのか。ともあれ、上記2作品同様に「未来考察の答え合わせ」ができると、楽しみに見始めたところ…。

 序盤に出てくる室内の風景は、いかにも昔の人が考える未来の部屋といった感じ。「妙に流線形の三輪自動車」や「白や赤の原色が多く、とにかく丸い」家具。まるでディズニーランドのお菓子の家みたいで、新らしく見えるどころか、逆に60年代あたりに逆行しちゃってる感じがおかしくて、いきなりツボ。

 荒野に作られた奇々怪々な舞台セット(ガラクタを集めて作ったような家)や、砂漠に埋もれたベガスのカジノなど、細かいこと気にすんなと言わんばかりの、有無を言わせないテキトーさに、もはや時代考察などどうでも良くなる。

 加えて、メインキャストが廃品回収屋という設定であるために、当時(80年代)の電化製品がアンティーク扱いとして登場することのほうが多く「2017年はこんな風になってますよ」的な描写は少ない。これもきっと予算の関係。

 ただ『壊れてしまったチェリーちゃんのSIMを、同型のボディに挿入すれば元のチェリーちゃんの記憶や性格が復元される。』ここを描いているのはポイントが高いような。つまり、スマホのSIMフリー端末の概念です。中身のデータはすべてSIMにありあくまでSIMが魂。ボディはただの外見。そんなことは、きっとコンピューターの世界では80年代当時から常識だったのでしょうが、少くとも、それが一般庶民の感覚の中に当然の知識としてあるという設定は、なかなかの高得点ではないでしょうか。

 若くチャーミングな頃のメラニー・グリフィスが、バズーカをぶっ放したり、車ごと吊り上げられたり、ノリは「ルパン三世」に近い。

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 とはいえ、決してハードボイルドでもなく、

 そもそもが「ラブ・ドールが壊れた。治したい。」という動機で始まってる物語なので、どうしたってシリアスにはならない。

 セックス・アンドロイドということで、序盤と中盤に「ちょこっとエッチっぽいシーン」は出てくるものの、当時、テレビ東京で地上波放送されていたらしく、地上波でも流せる程度の健康的なエッチさ。

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 物語の着地としては、最初はロボットのチェリーのことを忘れられない主人公のサムが、最終的にはその虚しさに気付き、一緒に冒険をした人間のパートナー、ジョンソン(メラニー・グリフィス)を選ぶ。めでたしめでたしという流れ。

 僕は最初「アンドロイドも人間も関係ない。愛した人を取り返したいんだー。俺にはお前だけなんだー。」的な展開かと想像しただけに、ちょっと意外でした。

 ラスト間際、一度はチェリーを乗せて飛び立ちながら、思い直したサムが、ジョンソンを助けるためにセスナを旋回させて戻るところは、お約束ながら、ちょっと感動できるかも知れない。できないかも知れない。

 逆に、ロボットのチェリーちゃんは置いてけぼりになるのですが、そこに悲壮感がないことが救い。「コーラを買ってきて」と言われセスナを降りた後、呑気に「ペプシ?」と聞くところが笑える。最後も、嬉しそうにサンドイッチ食べてるシーンで終わるし。

 なかなかにチャーミングな映画。

 特に得るものはなにもありませんが。