基本データ・おススメ度
『4 FOUR』
2011年 イギリス
監督:ジョン・ラングリッジ
おススメ度★★☆☆☆(2/5)
いわゆる「騙しあいモノ」。先の展開がほぼ読めてしまいますが、俳優の演技の面白さでそれなりに楽しめます。ほぼワンシュチュエーション、出演者4人だけ、演劇チックな犯罪コメディ。まったく深みゼロですが、時間つぶしには良いかも。
◆目次
簡単にいうとこんな話(ネタバレなし)
妻の浮気をつきとめ、探偵を雇って浮気男を監禁した夫。しかし、探偵は頼んでもいない妻も誘拐してきてしまった。浮気男は若い男で麻薬密売人。二人は浮気男を痛ぶりつつ、次に妻の元に行くが、逆上した夫が女の頭からかぶせていた袋をとると、それは、妻ではなく見知らぬ女だった。
==以下ネタバレ==
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ネタバレあらすじ
夫は探偵に大金を払い、妻の浮気相手を監禁するよう指示する。
廃墟に連れてこられた浮気男は、椅子に縛り付けられ頭から袋をかぶせられている。男は夫に進言する。「妻にも理由を話すべきだ。そうしないと男と妻は同じことを繰り返す。あんたが絡んでることを言わないと意味がない。」夫は「俺がボスだ。俺が決める」と強がるが、結局は探偵の意見に納得する。しかし、その話の前に、すでに男は妻もこの廃墟に連れてきており、別の場所で縛りつけてあるらしい。
椅子に縛りつけられた浮気男が連れてこられる。浮気男は、自分がなぜ連れてこられたか身に覚えがないと言って泣く。男の兄はヤクの取引をしていてトラブルメーカーだと、きっと兄のせいで自分がとばっちりを受けているのではないかと言う。人違いではないか?と探偵に聞く夫だが、俺は何年もこの仕事をやっているから間違いないと言われる。
映画好きな探偵は、なにかと映画の話をする。「俺はれザボアドッグスが好きだ。マイケル・マドセンの耳切りダンスのシーンを知ってるか?」と言いながら、浮気男を痛ぶる。さすにがに引いた様子の夫は、男を止めるが、妻の話で逆上し、、袋の上から男を殴る。
二人で男に尋問する。妻との浮気が原因でここに連れてこられたことを聞き、確かに浮気していたのは事実だと認める。ただ、結婚していることは知らなかったと嘘をつく。女は変な女で、女から誘ってきたこと、最初は断ったことなどを話すが、妻を変な女と言われた夫は怒る。
男を放置し、二人で妻の元へ向かう夫と探偵。しかし探偵は途中で足を止め「お前ひとりでいけ。袋はとるなよ。そして、最初は夫だと言わないほうがいい。」とアドバイスする。妻の元へいった夫は、最初は声をかえて別人のフリをしていたが、すぐに逆上し妻の頭の袋をとり殴ろうとする。が、顔を見て驚く。知らない女だった。
夫が廃墟の中へ戻ってみると、探偵と男は消えていた。
女のところへ戻る夫。女は、男をさんざん馬鹿にする。あんたに同情の余地はない、馬鹿なのよ、と罵倒しながら、このままだと、私は警察に行って、あんたに誘拐されてレイプされたと証言するよと脅し、縄をといてくれたら悪いようにはしないと交渉。
夫は女の縄を解くが、自由になった女はさらに強気になり夫を殴り倒す。
探偵と男は別室にいた。解放してくれたら上物の薬を用意するなどと交渉する浮気男だったが、探偵は聞き入れない。浮気男は、妻が夫を馬鹿にしていたことや、自分とのセックスに喜んでいたことを話す。話はエスカレートしてきて、夫のことをどんどん馬鹿にしだす。なぜか探偵が逆上し、浮気男を殴る。
妻の元いった二人は、殴り倒された夫を見て驚く。女が出てきて、女の夫は本当は探偵であることがわかる。
つまり、金で雇われた探偵が、依頼主である夫の妻ではなく、自分の妻とその浮気相手を誘拐してきたということ。
「俺は他人の妻を誘拐するためにお前に金を払ったんじゃない」と怒り「俺は関係ない」と帰ろうとする夫だったが、女は夫の携帯で密かに警察に通報していて、男たちの会話をすべて警察に聞かせていた。
浮気男はポケットにヤクを持っていて「今、捕まったら刑務所へ入ってしまう」と焦る。焦りのあまり「兄はギャングだ。お前らを全員殺すからな、覚えていろ」という。
それを聞いてビビる夫と探偵だったが、女がパイプで浮気男を殴り殺す。「あんたたちの脅しより、この男の脅しが怖かったわ。」
女はパイプを探偵に渡し、男たちに罪を着せる。
そこに警察がやってくる。呆然とする男二人と、被害者面でその場に座り込む女。
つまりこういう映画(語りポイント)
まず、最初から探偵が怪しすぎる。ボス気取りで偉そうにしたがる夫が、きっと一杯食わされるであろうことも、あらかた想像がついてしまいます。
全体的なアイデアはいいのですが、わかりやすすぎるのです。
そこから、一旦わかりやすいと思わせての裏切りがあれば、それがミスリードになって脚本的な深みが出るのですが、残念ながら予想通りの展開。
とはいえ、わかっていても、夫が袋を取ったら知らない女だったのクダリは「やられた感」があって面白い。妻が浮気男を殴り殺すクダリも「そう来たか」な驚きはあるのです。
実のところ、観客にわかってしまっても良いのだと思うんですよ、大筋の流れは。でも、そのうえで、感心させてくれたり、笑わせてくれれば観て飽きない。
ストーリーだけを観るのではなく、俳優の演技や躍動感を楽しむのが映画や演劇ですから。
そういう意味では「椅子に縛られながらもメッチャ強気な女」とか「ライターの火がつかないことにイラついて投げてしまうのだけど、結局、ライターを探しに行く夫の小物感」など、芝居的に面白い部分があるため、けっこう楽しめます。
そう考えると、これは映画というよりは演劇に近い。
ほぼワンシュチュエーションな舞台設定もそうですしね。短編にして舞台でやったら味が出るタイプの脚本。
ラストの、もうひと捻りは欲しくなる物足りなさも、なんら深みのない脚本も「演技の面白さを楽しむコメディ」と思って、大目に見るのが正しい鑑賞法かと。
ホメてるのかけなしてるのか良くわかりませんが…。
明日になれば何ひとつ心に残っていないであろう作品ですが、ひとまず観ている間はそれなりに楽しめます。