【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。酒でも飲みつつ語りたい。3分で「語りポイント」がわかる映画ネタバレあらすじ集。

3分で映画『パーフェクトマン 完全犯罪』を語れるようになるネタバレあらすじ

基本データ・おススメ度

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『パーフェクトマン 完全犯罪』
原題:UN HOMME IDEAL
2015年 フランス
監督:ヤン・ゴズラン
出演」ピエール・ニネ、アナ・ジラルド、アンドレ・マルコン、ヴァレリア・カヴァッリ、ティボー・ヴァンソン、マルク・バルベ、ロラン・グレヴィル
 おススメ度★★★☆☆(3/5)
 才能のない作家志望の青年が盗作でベストセラー作家となり、その立場を守るために、次から次へと新たな嘘と犯罪にまみれていく映画。突っ込みどころ満載で穴だらけの脚本ですが、「太陽がいっぱい」へのオマージュもあったり、古きフィルム・ノワールの香りが微かに漂う良さはある。なにもかも浅い映画ではあるけど、主人公のあまりのバカさを哀れにさえ感じつつ、それなりに楽しめる映画です。邦題(&英題)ひどい。

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あらすじ(ネタバレなし)

 作家志望の若者・マチューは、運送会社でアルバイトをしながら小説を書いていますが、処女作「陰の男」は出版社から酷評。「とても出版できるレベルではない。」と相手にされません。
 仕事で立ち寄った大学で、たまたまアリスという女性の講義を見掛け一目ぼれをしますが、何の縁もないため、あきらめて帰ります。

 孤独死した老人の自宅の遺品整理。老人の書斎を任されたマチューはゴミ袋にどんどんと詰めていきますが、その中に、皮表紙の日記をみつける。それは、老人が書いた戦地での体験談で、1950年代に書かれたもの。マチューは日記を密かに持ち帰る。

 自宅で、日記を自分の言葉にアレンジしながら、「黒い砂」という題名の小説に仕立てあげます。盗作ということ。

 すぐに出版社が反応し、マチューは、一躍ベストセラー作家となる。出版パーティで偶然アリスをみかけたマチューは声をかけ、二人は付き合い始める。

 盗作によって、名声も女も、一気に夢を手にいれたマチュー。やがて…。

ネタバレあらすじ

 3年後、マチューとアリスの交際は順調。お金持ちのアリスの両親の別荘で優雅に過ごしている。

 しかし、マチューは「黒い砂」以降、2作目を書いておらず出版社からギャラの前借りばかりしている。電話で「早く原稿を送れ」と督促されますが、元々才能がないため一行も書けない。
 試しに、彼の本当の著作「陰の男」の作者名を変えてアリスに読ませてみるが「最低の小説。ひどい。」と言われ、マチューはますます自信を失くす。

 アリスの幼馴なじみ・スタンという男が別荘にやってくる。スタンはアリスに好意を持っているようで、マチューとアリスの関係に嫉妬している。スタンはマチューに「僕はアルジェリアに詳しい。行ったこともないのにあんなに詳しく書けるなんて不思議だ。」と言う。スタンはあきらかにマチューを疑っていた。

 カード会社から借金をしているマチューは督促電話を受ける。編集者からの督促。カード会社からの督促、と、マチューの携帯電話が騒がしくなってきた。

 ある日、マチューは山道で自作自演の強盗事件をでっちあげ、パソコンのデータが消失したことにする。それにより、原稿の締め切りを先送りすることに成功。

 マチューの携帯に、またあらたな着信が。今度は謎の男。男は盗作の事実や皮表紙の日記の存在まで知っていて、マチューを脅迫してきた。要求はおカネ。マチューは、アリスの父親のコレクションである猟銃を盗みおカネに変えようと考えた。銃は空き巣に盗まれたことにした。

 怪しんだのはスタンで、マチューのバッグから銃をみつける。スタンはマチューに殴りかかり馬乗りになる。思わず近くの鈍器でスタンの頭を殴ってしまったマチュー。スタンは即死。

 夜、マチューはスタンの遺体をビニールシートに包み海に破棄する。マチューは密かにベッドに戻ったつもりだったが、アリスは実は起きていた。アリスはマチューの子供を妊娠していた。

 しかし、度重なる電話も、夜中の外出も、アリスは「浮気」だと思っていたようで、マチューの「俺には才能がないんだ。」「書けないんだ」という半ば本当のカミングアウトを、重圧で書けないのだと良い方向に解釈し、浮気ではなかったことに安心する。

 マチューはパソコンの前で、ふとなにかを想う。途端に、今まで一行も掛けなかった指が動き、あっという間に新作「偽り」を完成させる。

 警察の捜査でスタンの遺体が海から引き揚げられた。スタンの爪から犯人のものと思われる皮膚がみつかったこと。全員のDNA検査をすることを聞かされたマチューは、内心「もう逃げられない」と覚悟する。

 アリスと両親はスタンの葬儀のため、一時、ロンドンへ向かった。「月曜にまた会おう」と、マチューはアリスとの最後の会話をした。何も知らず出かけるアリス。
  
 また脅迫してきた男を、シートベルトに細工をした自分の車に乗せたマチューは、そのまま山道でアクセルを全開にし、車ごと壁に衝突させた。エアーバックでマチューは助かるが、男は助手席で死んでいた。
 男を運転的に移し、自分の時計をつけさせると、灯油をかけクルマごと燃やすマチュー。

 マチューが交通事故死したとのニュースが流れている。

 2年後、マチューはどこかの工場で働いていた。偶然通りかかった本屋で、マチューの新作「偽り」の販売会が行われていた。死んだ(ことになっている)マチューの代わりにアリスが出席している。アリスは幼い子供を抱いていた。

 その様子を見届けると、黙ってその場を去るマチュー。 

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つまりこういう映画(語りポイント)

 青いビニールシートに包まれた遺体が船に絡まって岸にあがってきて、女の人「きゃ~!」と叫ぶ…という、あきらかに「太陽がいっぱい」へのオマージュ・シーンがあり、ニヤリとさせられます。

 但し、あの名作とはほど遠く、主人公の情けなさ、ヒロインの浅はかさ、周りの人間の無能さ、そこを狙っているとも考えにくいけど、狙っていないとするとじゃ何を狙ったの?と聞きたくなる不可解な脚本。突っ込みどころ多すぎ。

 盗作で名声を得たなら、なんとか次の良い作品を書いて、名声を本物にしようと頑張るのがきっと普通でしょうけど、こいつときたら、三年も、一行も書いていません。そして原稿料だけ前借りして困っています。さすがにアホすぎるのですが、それほど、本当に才能がなかったと解釈するしかない。

 ヒロインにしても、そんな男と三年もつきあっていて、まだ「ベストセラー作家の彼。素敵♪」などと恋愛初期状態のままでウキウキしているでしょうか、普通。

 最後の「自分が死んだと見せかける作戦」のズサンさはもはや詳しく書くまでもないですが。あれでバレないほど無能な警察が世界のどこかにいるのでしょうか。

 諸々、きっと誰もが同じところを突っ込むはずです。

 いや!でも面白いんですよ、この映画。

 「こいつはこういう奴」と頭の悪さを充分に認識して、なにかを諦めて観続けていると、不思議に「頑張れ」という気にもなってきて、いつのまにか応援している僕がいる(ほんまか)。
 「若い野心の果てに全てを失くす」という構図も、まさに「太陽がいっぱい」であり、とても映画っぽくて好感が持てるのです。

 最後に開き直って「偽り」という小説を書いたと。「偽り」の内容については劇中で言及されていない。そこなんですが、普通に考えると「ここまでの罪を正直に書いた私小説」なのだと思うのです。あれほど何も書けなかった人が急にスラスラ書けたのは、罪をすべてうちあけようと開き直ったからとしか考えられないのだけど。
 それなら、そこから映画のラストまでが、もっと違うものになるような気もするし。そこもまた不可解ですが…。

  そんなこともこんなことも、暖かい眼で見守りたい映画ではあります。面白いか面白くないかでいうと面白いので。