【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

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3分で映画『パッセンジャー (2016)』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

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『パッセンジャー (2016)』
原題:PASSENGERS
2016年 アメリカ
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・ブラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア
 おススメ度★★★☆☆(3/5)
 「移住先の星に向かう宇宙船の中で、予定より90年早く起きてしまった2人」いかにも面白そうな設定。中身は完全に恋愛映画ですが、物語の根幹に、男の、ある「賛否両論な行動」があることで妙な深みが生まれている。倫理観や恋愛哲学?的思考を問われる。面白い映画です。ジェニファー・ローレンスがプールで泳ぐシーン多すぎ。

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あらすじ(ネタバレなし)

 5000人の乗客を乗せた大型宇宙船アヴァロン号は、移住先のスペースコロニー、ホームテッド2へ向かっていた。乗客やクルーは全員冬眠している。彼らが目覚めるのは120年後の予定だった。しかし、アヴァロン号が小惑星と接触した影響で、ジムだけが冬眠ポッドから目覚めてしまう。予定より90年早く。

 全員が起きる予定だったのは、到着の四ヵ月前。広い船内には、到着後の生活に向けてのレクチャーを受けるシステムや、娯楽を楽しむ施設が整っていた。自動プログラムから船内施設の説明を受けるジムだが、自分以外に誰も起きていないことを不審に思う。地球にメッセージを送信するが「送信完了まで少しお時間をいただきます。メッセージの到着予定は19年後です。返信は早ければ55年後です。」と言われる。

 どうやら予定より90年早く目覚めてしまったことに気づいたジムは、再び冬眠しようとしたり、船のコントロールルームに入ろうとするが、重要な場所は侵入不可能になっており打つ手はなかった。

 バーに人がいた…と喜んだのも束の間、バーテンのアーサーは人間ではなくアンドロイドだった。アーサーから「どうしようもありません。どうせなら楽しんでみれば?」とアドバイスされ、娯楽施設を使いまくり豪遊するが、絶対的な孤独が解消されるわけもなく、何をしても虚しいだけだった。自殺を図ろうともするが失敗する。すっかり自堕落な生活を送るジム。

 一年が経った。ある日、孤独に疲れ果てたジムは、乗客が寝ているポッドの中に、めっちゃ好みの女性をみつける。彼女のプロファイルを検索する。彼女の名前はオーロラ(ジェニファー・ローレンス)。作家だった。どんどん彼女に惹かれていったジムは、彼女を目覚めさせたい願望を抱く。
 
 冬眠を解除する方法はわかっている。やろうと思えばできる。しかし、それは、彼女にも、自分と同じ哀しい運命を強いることだとわかっているジムは悩む。

 寂しさに耐え切れず、ついにジムは、オーロラの冬眠ポッドを操作し、彼女を目覚めさせる。

 目覚めたオーロラは、一年前のジムと同様、状況を知って錯乱する。あらゆることをしてみるが、すべて無駄だとジムから聞かされ愕然とする。ただ、彼女は、ジムが意図的に自分を起こしたことには気づいていなかった。

 ジムは、アーサーに「俺が起こしたことは内緒にしておいてくれ」と頼む。

 オーロラは、絶望しながらも、船内を毎日ランニングしたり、わざわざプールで泳ぐサービスカットを見せながら、前向きに生きようとする。

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ネタバレあらすじ

 今の状況を日記のように執筆しはじめるオーロラ。ジムに「どうして移住を選んだの?」と聞く。機械技術者であるジムは「新しい土地には技術が必要だ。必要とされる。やりがいがある。」と答える。オーロラの夢は、120年かけて移住し、もう一度120年かけて地球に戻ること。つまりおよそ250年後の未来の地球へ戻り、その間の自分の体験談を伝えたい、というものだった。

 明るく語っていた二人だが「それも、もう無理だ。」と嘆く。落ち込んだオーロラを励まそうと、ジムはオーロラを船内の娯楽施設に誘い。二人で遊びまくる。楽しそうな二人。アンドロイドのアーサーに「素晴らしい女性ですね、最高の選択です」と言われ複雑な表情を浮かべるジム。

 オシャレしてディナーをし、宇宙遊泳プログラムを楽しんだ後、二人はキスをし結ばれた。翌日は食堂でもセックスをはじめたり、すっかり恋人同士になる。

 オーロラは自伝に「こうならなければ出会わなかった人と出会えた。予期せぬ幸せ。彼がいれば人生は終わりじゃない。始まったばかりだ。」とのろける。

 すっかり幸せモードの二人だったが、アンドロイドのアーサーがオーロラに「一年前、あなたに会うのが楽しみでした。何か月も、起こそうかどうしようか悩まれていましたから。」と言ったことで、オーロラは、自分を起こした「犯人」がジムであったことを知ってしまう。

 生きる希望を失くして錯乱するオーロラ。ジムが話しかけようとしても、怖がって去ってしまう。寝ているジムを思い切り殴り蹴る。

 ジムは船内放送で「オーロラ、聞いてくれ。孤独で死にそうになった時、君に会った。君は命の恩人だ。君を失いたくない。」と聞かせるが、オーロラは「ふざけんな、あたしの人生を奪ったのよ。許さない。」と叫ぶ。

 宇宙船に乗る前の送迎会の動画を見ているオーロラ。「大きな事を成し遂げなくてもいい。愛する人ができたら信じてあげて。それがきっと幸せだから。」という同級生の言葉を聞いて、なにか考え始めるオーロラ。

 宇宙船の中に一本の植物を植えるジム。それを発見してちょっと感動するオーロラ。

 少し前から、宇宙船のシステムの挙動がおかしくなってきていた。ロボットが想定外の動きをしたり、部屋のドアが開かなくなったり、食堂のバーが壊れ、エレベーターも誤作動を起こす.

そこに現れたのは、甲板長のガス(ローレンス・フィッシュバーン)。ガスもまた、冬眠ポッドの故障で目覚めてしまった。重要なシステムへのアクセス権を持つガスが目覚めたことにより、ジムとオーロラは今までどうしても入れなかった場所へも入れるようになった。

 船内を調査したガスは、3人のポッドが開いた原因をすぐに特定する。オーロラのポッドをジムが意図的に開けたことも。「あんな美女と二人とは運がいいと思ったが、運じゃなかったんだな。許されないことだ。」とジムに言う。

 オーロラはガスに「あの男は私を殺した。これは殺人よ。」と言う。ガスは「わかる。ただ、溺れるものは誰かにしがみつくものだ。彼は溺れていた。」と話す。

 船内の重力維持装置が壊れる。プールで泳いでいたオーロラは重力を失くして宙に浮きあがる水の中で溺れかける。水着のサービスカット満点の中、重力は自然に修正され助かる。「なぜだ?どうしてこんなことが?」と不思議がるガス。診断システムでも特定不能だった。このままでは船はどんどん壊れていく。「私たちは沈没船に乗ってるのね。」というオーロラ。

 ガスは冬眠ポッド故障の際、身体に重大なダメージを受けていて、コンピューターに「余命わずか」と診断される。最後の苦痛を緩和する薬が処方される。安楽死の薬か。ガスは「時間をくれ」と言うと制服姿に着替え、二人にどこにでもアクセスできるidキーを預ける。「これで原因を特定してなんとかしてくれ」と言い残し、息を引き取った。

 二年前の隕石との衝突で、コントロールルームが大変なことになっているのを発見する。なんとか修復しようとする二人。自分が船の外に出て作業をするというジム。「戻ってきてね。あなたなしでは生きていけない」というオーロラ。

 ジムは船内の熱を放出するための通路を確保し、そのハッチを手であけた態勢で「早く。放出しろ。」と指示する。それは、同時にジムの命が危険にさらされる行為だった。「大丈夫。」「大丈夫なわけないでしょ!」「他に五千人乗ってるんだ。やらなきゃみんな死ぬ。」オーロラは叫びながらスイッチを入れる。

 熱は放出されたが、ジムは宇宙空間に放り出されてしまった。自力では戻れない。急いで宇宙服を着て助けに行くオーロラ。なんとかジムを船内に引き入れる。

 瀕死のジムを医療ポッドにいれるオーロラ。「すでに死んでいます。蘇生には医療チームの許可が必要です。」と言われるが、ガスから預かったidキーを使い蘇生処置を起動させる。助かるジム。

 平和が戻った。ジムは、再び冬眠状態に入れるポッドをみつける。但し、それは一台しかなかった。「君が入れ。」というジム。「ひとりになっちゃうわよ」「前もひとりだった。」

 しかし、オーロラは冬眠ポッドには入らなかった。ジムはオーロラに婚約指輪を渡し、プールで抱き合う。「素晴らしい人生…」というオーロラ。

 88年後。宇宙船はホームステッド2に到着した。

 冬眠から覚めたクルーは、船内が日本庭園のようになっているのを見て驚く。

 オーロラの書いた文章「どんな環境でも、そこで最大限輝くことが大事。私たちは運命の人に出会い、素晴らしい人生を作りあげた、一緒に。」

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つまりこういう映画(語りポイント)

 主人公ジムが、冬眠ポッドを開けてオーロラを目覚めさせた行動が賛否両論のようです。どちらかといえば「理解できない」「ひどい」という意見が多そう。確かに、あれは殺人と同じ行為であり、自分の境遇に、無理やり彼女を巻き込む行為です。

 三番目に目覚めたガスが「溺れる人は、誰かにしがみつくものだ。彼は溺れていたんだ。」と、途方もない孤独に耐え兼ねての行動だと、彼を庇う発言をする。それはわかるのだけど、それは、例えば、現実の世の中で「孤独が辛かったから」と女性を誘拐監禁するのと変わらない行為であり、まったくもって自分勝手な理屈。ストーカー同然。気持ち悪い。…というのが、賛否の否のほうの意見でしょう。

 ただ、ジムが置かれた特殊な状況を思えば、自分の意志ひとつで誰かを目覚めさせることができるのであれば、それはきっとやってしまうだろうと。僕なら、きっとやってしまいます。なんなら三人くらい起こします。「この先死ぬまで無人島にひとり」は想像を絶する辛さだと思うから。

 思うに、そんな議論になっちゃうのは演出の問題なのです。脚本は悪くない。

 思い立ってから実行に移すまで数か月、ジムは悩んだという設定ですが、あそこで、ジムがもう廃人同然まで精神的にも身体的にも追い詰められ、そのままだと絶対に死んでしまうと思えるくらいの壮絶な描写があれば、批判している人たちももう少し違った見方になるのです追い詰められて…という描写が甘いから否の意見が出る。監督の責任です。(あるいは、イケメンのイメージを壊すなと指示したプロデューサーの責任か)

 そして、そもそも恋愛・結婚ってなにか?と言うと「自分の人生に誰かを巻き込むこと」「巻き込まれること」なのです。そもそも。いえ、確信的にではなくとも、そうなってしまうということ。その面倒臭さや大変さと、孤独の寂しさ哀しさを天秤にかけて、みんな面倒臭い・大変なほうをチョイスしているのです。

  だからあれは「恋愛・結婚に於けるごく普通の構図」だと言えます。もちろん、そこに「オーロラ側の取捨選択はないこと」と、ジムが「確信犯的に巻き込んでいること」が、議論の余地を生んでいるのだけど。

 アンドロイドのアーサーがジムに「良い人を選びましたね。」と言う。まるで、お見合い結婚した人に言うセリフのようです。僕は、結婚や恋愛に対する、ちょっとした皮肉に聞こえました。

 誰かと運命を共にするということは、なにかしらの不利益も当然出てくる。理不尽なことを受け入れる必要も時にはある。恋愛や結婚の良い部分だけでなく残酷な部分も描いている…と思えば、これは、ちょっと深みのあるラブ・ストーリーなのではないか?と、僕は擁護したいのです。

 映画では、最後のオーロラの独白「どんな環境でも、そこで最大限輝くことが大事。私たちは運命の人に出会い、素晴らしい人生を作りあげた、2人で一緒に。」と、すべて運命として受け入れる方向でまとめています。

 序盤、オーロラが、移住システムに関する主にお金の話をします。移住先で稼いだお金は何パーセントかを上納する。渡航費用はすべて借金とされ返済していく。というように、国や大きな組織が、庶民から搾取し続けるシステムが語られる。この映画とちょっと似た設定の「月に囚われた男」(ダンカン・ジョーンズ監督)でも、結局はすべて企業の利益のためであり、ちっぽけな人間が運命に翻弄される構図がある。作った人、意識したんでしょうか?

 絶望して、部屋で泣きわめくオーロラの姿から、カメラが引いていき、まず大きな宇宙船、次に広大な宇宙空間…と広がっていくシーンは、人間のちっぽけさ無力さを表現した良いカメラワークだと思いました。

 惜しいなと思ったのは脚本構成。きっちりと時系列通りに進む構成ですが、例えば最初にオーロラが目覚めるシーンから始まって、先に目覚めてるこの男は誰?となり、そこから男がひとりで目覚めるシーンやオーロラのポッドを開けるまでの過程を挿入していけば、観客は、真相がわかって錯乱するオーロラと同じタイミングで驚くことができたのに。最初からオーロラ主観で進めるほうが良いような気もします。そこは、好みと狙い方の問題で、どっちもアリなのでしょうが。

 賛否ありますが、僕は、面白い良い映画だと思います。

 最後にワンカットだけ出てくるアンディ・ガルシアのギャラはいくらなのでしょう?