【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。映画の紹介から、ネタバレあらすじ、著者の独断と偏見による「語りポイント」まで。

3分で映画『シークレット・デイ』を語れるようになるネタバレあらすじ

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基本データ・おススメ度

『シークレット・デイ』
原題:Every Secret Thing 
2014年 アメリカ
監督:エイミー・バーグ
出演:ダニエル・マクドナルド、ダイアン・レイン、ダコタ・ファニング

 おススメ度★★☆☆☆(2/5)
 親と子の在り方。真実とはなにか? 等、重いテーマ。画面も暗いので楽しく鑑賞するのは難しいですが、充分に見応えはある映画です。あとは好き嫌い、好み次第。

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◆目次

あらすじ(ネタバレなし)

 二人の少女、ロニーとアリス。ロニーはアリスの母(ダイアン・レイン)とも仲が良く、娘のアリス同様に可愛がっていたが、アリスはそれが気に入らない。いじけるアリスに「ロニーは友達がいないのよ、遊んであげなさい」と言う。

 ある日、他人の家の庭にいた赤ん坊を2人が連れ去る。乳児誘拐事件。赤ん坊は遺体で発見された。2人は逮捕され7年間少年院に収監された。

 数年後、出所している二人。18歳くらい。

 アリスはおデブさん。痩せるために毎日散歩している。「自分は無実の罪で服役した」と言い続けている。すべてはロニーがやったことだと。私は知らない、と。

 当時の最大の証拠は、アリスのおもちゃ箱が現場に落ちていたこと。アリスにそんな覚えはなく、ロニーが自分を陥れるためにおもちゃ箱を現場に置いてきたと考えている。

 ロニーはスーパーで働いていた。綺麗な女性に成長しているが、目つきのするどさは幼い頃と変わっていない。

 アリス母は小学校の先生。「子供は個性的であるべき」との考えで、校長と意見がぶつかったりしている。

 毎日仕事を探して歩いているというアリスだが、あまり働く気はないようだ。過去のこともあるからか、アリスに甘い母。

 あらたな幼児誘拐事件が起こった。父は黒人、母は白人のハーフの女の子。捜査にあたったのは、以前のロニーたちの事件を解決して昇格した女刑事。

 胸騒ぎから、7年前の死体発見現場にいってみる刑事。そこにはあらたに誘拐された娘の衣服や髪飾りがみつかった。

 今度の誘拐も、ロニーとアリスの仕業なのか。

==以下ネタバレ==

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ネタバレあらすじ

 テレビのニュースで誘拐事件を知り、愕然としているのは、7年目に娘を誘拐された黒人女性。傍らにいるのは、その後に生まれた彼女の娘。今回誘拐された少女と顔がそっくりだった。

 女は刑事の元へ行き、7年前の事件と同じだと訴える。もしかしたら私の娘が誘拐されていたかも知れないと言う。

 刑事たちはロニーのアルバイト先へ行くが、ロニーは裏口から逃げてしまう。
 次に、アリス宅へ。アリス母は「娘は散歩中。なにか問題でも?」と非協力的。

 アリス母は、家に戻ったアリスに「警察が来た。貴女が犯人ではないことを祈る。」というと、アリスは「私はやっていない。前回も今回も。警察へ行こう。」と言う。

 自ら警察に来たアリス。刑事から聴取を受け「ロニーが怪しい」と言う。刑事は「参考にしたいから」と7年前の事件について聞く。

 アリスの7年前回想。

 『赤ん坊を連れてきたロニーに「返そう」と進言するアリスだが、ロニーは「この子は愛されてない。私が愛してあげる。」と言う。その後にロニーが赤ん坊を殺したが、アリスは何も見ていないし知らない。』

 夜、廃墟に隠れていたロニーを刑事が発見。しかし、ロニーはあらたな誘拐事件には関係ないという。スーパーから逃げたのは、テレビでみた女の子が7年前の赤ん坊とそっくりだったから怖くなったから。

 ロニーの7年前回想。

『連れ去った女の子をアリスが「私たちが育てよう」と言い「私がママよ。」と女の子を抱いて離さなかった。死にそうになっている赤ん坊を「返さなきゃ」と言ったのはロニーで「私たちが捕まる。置いてけぼりにするしかない。」と言ったのはアリス。』

 7年前の事件についてアリスとロニーの証言が真逆。

 ロニーがひさしぶりにアリス母の家へ来る。「大きくなったわね。」と迎えるアリス母。アリス母はロニーの幼い頃の絵の才能をあらためて褒め「私と貴女は考え方が似てる」と言う。

 散歩中のアリスに女刑事が近づく。ロニーが捜査に協力的だとカマをかけるとアリスは「どうせまた嘘をついてるんでしょ。」と嫌う。       
 知らない車に送ってもらって家に帰ったアリスに、母は「誰?」と問い詰めると、アリスは「デブでも孤独でもできる仕事をみつけた」と言うが、それは知らない男相手の売春を意味した。頭を抱える母。

 二人の少年院での記録を調べる刑事たち。ロニーは毎日のように喧嘩をしてほとんどを独房で過ごしていたらしい。そして、アリスには、性病と妊娠・出産の記録があった。驚く刑事たち。

 アリス母に聴取。母によるとそれは院内での強姦で、中絶するには遅すぎたので産んだのだと。そのコはどこかに引き取られ、どこにいるかは自分もアリスも知らないという。

 アリスとロニーが森で再会。アリスはロニーを罵倒。怖がるロニー。幼い頃、アリスとロニーが主従関係であったこと、アリスがロニーに命令をしていろいろやらせていたことがわかる。7年前、ロニーにすべてを押し付けて捕まれば「もうあんたと遊ばなくて済むと思っていた」と告白。
 ロニーはその場を走り去るが、代わって刑事たちが来る。「ロニーが白状した。逮捕して」というが、刑事たちは「あなたを逮捕しにきた。」と警察に連れて行く。「不公平よ。ロニーがやった。私じゃない。」と言い続けるアリス。

 アリスの散歩は「どこかに連れ去られた自分の娘を探すため」だった。

 少年院で職員の黒人男と恋仲になったこと。初めての彼氏で嬉しかったこと。など、当時のことを嬉しそうに話す。

 アリス母の告白。ある日、高級そうな住宅街で、7年前の被害者母を見た。新たに出産した可愛い子供と幸せそうに過ごしている姿。「あの子はアリスが赤ん坊を殺したから産まれた。アリスのおかげで産まれた子」「アリスがやったことが正当化された。」「その子の存在でアリスは癒される」とめちゃくちゃなことを言う。

 アリス母はアリスに「あなたの子供を見た。子供の背中にはハート型のあざがある」と話したが、それは、アリスを喜ばせるための作り話だった。アリスは喜んだと云う。 

 そして、アリスは家具屋で黒人と白人のハーフの女の子をみかけ、自分の子だと思い込んで連れ去った。背中には、偶然、ハート型のあざがあった。 

 「自分の子を連れていくのは犯罪?あの子を絶対に離さない。ママみたいに。」とアリス。

 刑事たちは出生証明書を並べ「誘拐した子は君の子ではない、別人だ。」と諭す。アリスは事実を認めながらも「私は間違っていた。でも、私に起きたことも間違っている。子供を返して。」と泣く。

 刑事は「私を助けて。貴女も助けるから。」というと、アリスは、さらった子供を父親の母の家に預けたこと、ロニーに疑いの眼が向くまでそうする計画だったことを白状する。

 7年前の真相。
 アリスの指示で、ロニーとアリスの二人で死にそうな赤ん坊を放置した。アリスはすべてロニーがやったことにするつもりだったが、事件の直後、気が動転したままアリス母を訪ねた幼いロニーは「アリスにやらされたの」と泣く。アリス母は「わかった。罪はつぐなう必要がある。ただ、アリスにもそうさせる。公平にしなきゃ。」と、アリスのおもちゃ箱をロニーに渡し、現場に置いてくるように指示をしたのだった。

 子供は無事に保護された。テレビのニュースでは「警察はアリスとの司法取引に応じて起訴を取りさげた」「強姦容疑のあった父親は誘拐罪で10年の服役」だと報道。

 アリスがメディアのインタビューを受けている。晴れやかな表情。「子供の頃、無実の罪で服役した。少年院でレイプされ子供を産んだ。子供は奪われた。今日、正義が果たされた。私は自由を手に入れた。成人としての権利を。」と話している。

 それを聞いている刑事ふたり。「やるな、恐ろしいよ。」という男性刑事に、女刑事が「もっと上手がいるわ。」と言った視線の先には、身を隠すように裏口から警察を後にするアリス母の姿があった。

 

つまりこういう映画(語りポイント)

 重くて暗い設定ですが、メインテーマは「親子」であり「親離れ、子離れを経て、ようやく成人として歩き出せるのだ」ということ。

 それ以上に個人的に響いたのは「真実とはなにか?」の問いかけ。

 アリス母(ダイアン・レイン)は、夫を愛しきれなかった後悔から、娘のアリスを溺愛して甘やかしている。しかし、アリスにとってはその愛が重い。

 同時に、アリス母には教師らしい正義感が強くある。アリスを甘やかしながらも、娘の友達であるロニーを認め、愛し、常に「公平であるべき」との考えの元に行動する。たとえそれが娘に不利益をもたらそうとも「(自分の子じゃなくても)子供を愛する」という強い想いがある。それが、この映画の救いとなっている。

 「事実」は重要ではなく「真実」が重要。

 どうすれば関係した人間たちの傷を浅く済ますのか、罪は罪として償いながら、それぞれに救いを残すにはどんな「真実」が必要なのか。
 アリス母は非常に策略的ではあるけども、その動機が「愛」であるだけに、そこに嫌悪感はないし、劇中でも、最後は刑事たちでさえ、その想いを尊重し、やや「事実」を曲げた「真実」を黙認する。

 起こったこと=事実、だとするならば、それがどんな想いから行われたことなのか、そこにどう接して、関係した人間に救いを与えるのかを考慮した先に「真実」があるべき。そのような考え方のお話。
 裁判制度にも関わる命題ですね。

 じっくりと観て考えると、脚本も良く考えられているし、テーマもしっかりした映画、ミステリー要素もあるので引き込まれますが、難をいえば、やや群集劇にようになっていて主観が明確でないこと。どこに感情移入して観るべきかが曖昧なため、やや集中力をそがれる。画面が終始、暗いことも疲れる要素ではある。
 
 原作は小説で、小説では、ロニーの心情をメインで語っているという話ですが、映画では、そこがほとんど語られていない。そう聞くと、確かにロニーの心情をメインで描くほうが、わかりやすい映画になったかも知れませんね。

 決して面白い映画ではないけど秀作、という部類でしょうか。

 

▼盲目的なまでの母親の愛を描いた映画なら。さらに暗いけど。

cinema.kamuin.com