【映画で語ろう】カムシネマ★3分で語れるようになるポイント【ネタバレあらすじ】

映画を観たなら語りたい。酒でも飲みつつ語りたい。3分で「語りポイント」がわかる映画ネタバレあらすじ集。

3分で映画『ビューティー・インサイド』を語れるようになるネタバレあらすじ

基本データ・おススメ度

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『ビューティ・インサイド』
原題:The Beauty Inside
2015年 韓国
監督:パク
出演:ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、イ・ジヌク、キム・ジュヒョウ、上野樹里
 おススメ度★☆☆☆☆(1/5)
 せっかくの斬新な設定をまったく活かしてない。もったいない。そもそも映画になっていない。映画心ゼロのオシャレ映像集。ただ、誰もがいつかは感じる「恋愛の切なさ」を想起させる良いセリフは出てきます。

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簡単にいうとこんな話(ネタバレなし)

 家具職人のジウンは、毎朝、起きるたびに別の人間になっているという奇病に悩まされていた。中身や意識はジウンのままなのに、顔、スタイル、視力、性別、年齢、言語…まで変わってしまう。そのため、社会に出るのをあきらめインターネット通販の家具職人として生きていた。そんなジウンが恋をする。
 一人二役…ならぬ「123人1役」というとんでもない設定を、CMディレクターがやたら綺麗なオシャレ映像で撮った作品。

ネタバレあらすじ

 30歳の家具職人・ジウンは、毎朝起きるたびに別の人間になっていた。中身や意識はジウンのままなのに、顔、スタイル、視力、性別、年齢、言語…まで、まったくの別人に変わってしまう。
 発症したのは18歳のとき。その姿をみて母親はジウンを抱きしめ「ごめんね。」と言った。そんな状況を知っているのは、母親と、おさななじみで親友のサンベクだけ。サンベクは、おばさんになったジウンに「俺の好きな日本の女優は?」などとジウンしか知らない質問をして、その答えに爆笑したり、ジウンがかわいい女の子になっている日には「俺たちは親友だよな。だから、一回やらせてくれ。せめて裸を見せるだけでも。」と言う。陽気に接してくれるサンベクに救われるジウン。ある時、サンベクが「二人で家具の会社をやろう。お前が作って俺が売る。」と持ち掛け、二人で家具の通販会社を設立する。
 ジウンは、アンティーク会社に勤務するイス(ハン・ヒジュ)に惚れる。ジウンは毎日姿が変わる自分を好きになってくれる人がいるわけがないと恋愛も結婚もあきらめていたが、イスに対する気持ちが高まってしまい告白を決意する。
 告白するために、まずはイケメンになるのを待った。ある朝、イケメンになっていたジウンはイスに接近しデートに誘う。イケメン好きなイスも、イケメン版ジウンを好きになり交際が始まる。ただ、ジウンは一晩寝ると違う風貌になってしまうから、がんばって三日間、寝ないようにした。その三日のうちにイスを口説いたのだった。が、四日目、電車の中で眠ってしまったジウンは、起きるとハゲ親父になっていた。ハゲ親父のままイスが働く姿を見に行き陰から見守っている。
 次に会う約束をしたまま連絡がつかなくなったジウンを、イスは「縁がなかった」と忘れようとしたが、ついに我慢できなくなったジウン(その時は若い女の子)は、イスを家に呼び「僕がジウンなんだ。」と告げる。しかし、信用しないイスは怒って帰ってしまう。
 別の日、気になるイスはジウンの元に来て、ジウンの言っていることが本当であることを確認する。そして、毎日、違う人間になってしまうジウンとつきあい始める。
 最初は、毎日姿が変わることも二人で楽しみつつつきあっているようだったが、当然のように歪みが出てくる。同僚からは「毎日、違う男と歩いている。」と誤解されるし、そもそも、毎日「知らない人」になっているジウンとのつきあいに疲れ果ててきたイスは、密かに心療内科に通い睡眠薬などの薬を処方してもらうようになる。体調の悪さは仕事にも悪影響を及ぼすようになり、男関係が派手だと誤解されていることも含め、会社の上司にも変な眼で見られだす。
 ジウンは「結婚しよう」というが、イスは「この状態で結婚するなんて、考えることが多すぎて無理。どうして何も考えずに自分勝手なことを言うの?」とジウンを責める。考え直した二人は「別れ」を選択する。
 しかし、ジウンのいなくなった日々はイスにとっては空虚でしかなかった。「辛いことも哀しいことも、全部、ジウンがいないことに比べたら乗り越えられる。あなたがいないことが苦しい」などとのたまう。
 10か月後、会社の同僚がインターネットでみつけたハンドメイドチェアを見て驚くイス。これを作っているのはジウンだと確信したイスは、発送元になっているチェコにいく。チェコではジウンが家具屋をやっていた。訪ねてきたイスに、最初は「人違いです。」と嘘をつくジウンだがイスは「私はもう大丈夫、一緒にいたい。」と手を握る。めでたしめでたし。

つまりこんな映画(語りポイント)

 そもそも映画になっていない。
 123人1役…なんて、後はどう作っても面白くなりそうな斬新なアイデアさえ台無ししてしまっている感がある。その理由は、作った人に「映画心」「映画愛」が皆無だから。
 そして「人間は見た目じゃない。中身が大事」と言いたいはずのテーマさえ「やっぱり見た目が大事だね。」と思えてしまう真逆の結果に。そこがなにより致命的。

 映像も脚本も、すべてが綺麗すぎて生活感やリアリティがない。設定がファンタジーなので、ある程度のリアリティはすっ飛ばしていいのだけど「普通に考えて普通に作ったら面白くなる」ところでさえ余計な嘘をついてしまっている。
 どういうことかと言いますと…、
 劇中、ジウンは123人の俳優が演じています。ワンカットごとに見た目が変わる(同じ場所の別の日を現す)手法を何度も使うのですが、まず、着ている服が、それぞれの俳優にやけにピッタリお似合い(サイズも色合いもセンスも)になっている。いろんな種類の服を前もって部屋に準備しているという設定はあるのだけど。どんな人になるかわからないはずの「朝起きた瞬間」でさえ、すでに、女性なら女性に、おやじならおやじに、とても似合う服を着ている。どう見ても不自然。
 「見た目は違うけど中身は同じジウンなんだよ。」と見せる気がサラサラないのです。そこを見せることがこの映画のキモだと思うのだけど。
 たとえば「どんな人になっても必ず同じパジャマを着ている」くらいのことは普通に思いつくし、「起きたら小さい子供になっていて、来ていたダブダブのTシャツから脱け出してくる。」とか「昨夜は女性だったからブラジャーをしている→朝起きたらハゲ親父→ハゲ親父がブラジャーをしている」なんてことも、普通にあるはずなのです。
 特に笑いをとろうと思わなくても、普通にちょっとリアルに考えて作ったら、それだけで面白くなるオイシイ設定なのに、それを一切やらない。
 さらに、たとえばジウンに特徴的な癖を作って、どんな人間のときでも洗面所で顔を洗う時に同じ仕草をするとか、カラダも顔も自分でも初めてみる人…若い女性になっていたりもするのだから、興味を持って自分のカラダを鏡で見るとか「普通、絶対やるであろうこと」がまったく描かれていない。
 そして、イスにしても、毎日「知らない人」になる彼氏とつきあっているわけで、セリフでは「毎日、慣れるまでに時間がかかる。」と言っているのに、それを演技でまったく表現していない。ものすごく普通に、違う顔のジウンをジウンと認めすぎているのです。まるで、たくさんの「ジウン役の俳優」をジウンと思って芝居をしているようにしか見えない(実際そうなんだけど)。時には、生理的に嫌悪感を持つタイプの顔になっているとか、あると思うのですよ。それでも中身はジウンだと言い聞かせて無理にキスしてる…なんてシーンが簡単に作れるはずなんです。
 そのうえ、物凄く都合よいことに、イスがジウンとラブラブな会話をする時や良いエピソードを語る時は100%の確率でイケメンなのです、ジウンが。それってイケメンになった時を狙ってるとしか思えなくて「なんだよ、やっぱり顔じゃねーか。」なんですよ。イスが相当なイケメン好きに見える。
 観ている僕らも、主役であるはずのジウンの見た目がコロコロ変わるから最後まで感情移入ができない。人間が「同じ人」と認識するには、やっぱり見た目は超・重要なのです。
 
 つまり「人間は中身だよ。見た目じゃないよ。」と言いたいはずの映画で「やっぱり見た目って重要だよな。」と再確認してしまうわけです。真逆の効果。

 後半のほうの「デートしたレストランのメニューは全部覚えているのに、彼の顔が思い出せない。」とか「あの人になにかあっても、行方不明になっても、私はあの人をみつけられないの。」なんてセリフで女優が涙を流すシーンを撮れば、だいたいの観客は、自分の過去の恋愛経験が脳裏をよぎって共感したり切なくなったりするのです、そりゃ。この映画を「切ない。感動した。良かった。」とレビューする人もいますが、それはそういうことかと。
 でも、確かにグっとくるセリフはあるのです。

 「今、思うと、私は何を怖がっていたのだろう。辛い事も哀しい事も二人で乗り越えらていけば良かっただけの事。どんな事も哀しくない、あの人がいないことに比べたら。」は、剛速球のストレートで素直に感動しました。他にも直球セリフがいくつか出てきます。

 思い切りキザなセリフを剛速球でぶつけられると、あまりのストレートに笑っちゃったりビックリしたりするのだけど、最終的には心に刺さってくるのです。恥ずかし気もなく言い切る…が大事なんですね。僕らの日常も同じか…。
   
 褒めるところとしては、親友のサンジク役の俳優さんの演技!
 前半のノーテンキなキャラと、後半、二人が別れた後にイスに冷たい目線を送るキャラの使い分けなど「親友であるジウンを本当に大切に思っている」ことが良くわかる。イスに妙に同情することなく「とにかくジウンの味方。ジウンに哀しい想いをさせたお前嫌い」という芝居ですね。ウマい俳優さんです。
 ウマイだけでなく、前半に、かわいい女の子になっている日のジウンに「俺たちは親友だよな。親友だから一回やらせてくれ」と頼むところなどは、上で書いた「普通、絶対にある(考える)こと」であり「普通の発想で普通に撮るだけで面白くなる」部分です。そこだけ唯一やっているのに、どうして他でもやってくれなかったのか?が疑問ですが…。

 良い悪い含めて、なにせアイデアは斬新なので観る価値はある作品だと思います。

  まったく映画ではないですが。

いやー、映画に必要なのは撮影技術でもオシャレセンスでもなく、やっぱ想い‥映画というものに対する想いだなと再認識。

ハン・ヒョジュはかわいい。